SUPER FLAT 2

非ファルス的にもっこりするものを肯定せよ!(神の性的不器用あるいはその性的悪戯に由来するもの達について)

カオス/破滅・ラウンジとは何だったのか

2010年11月11日 | Weblog
RT @hisao_nakai(中井久夫):戦争が大幅にエントロピーの増大を許すのに対して、平和は絶えずエネルギーを費やして負のエントロピー(ネゲントロピー)を注入して秩序を立て直しつづけなければならない。一般にエントロピーの低い状態、たとえば生体はそのようにして維持されるのである。エントロピーの増大は死に到る過程である。秩序を維持するほうが格段に難しいのは、部屋を散らかすのと片付けるのとの違いである。戦争では散らかす「過程」が優勢である。戦争は男性の中の「子ども性」が水を得た魚のようになる。〔...〕負のエントロピーを生み出すためには高いエントロピー(無秩序)をどこかに排出しなければならない。部屋の整理でいえば、片付けられたものの始末であり、現在の問題でいえば整然とした都市とその大量の廃棄物との関係である。(中井久夫著「戦争と平和についての観察」より、『埋葬と亡霊―トラウマ概念の再吟味』112ページ)

 ときに現代アートは「幼稚」で「質が低い」と非難されたりするわけだが、そこにはおそらく何かの倫理がある。という意味で上記の「子ども性」と「廃棄物」という言葉はアート的にも重要である。マキャベリとかいう人は「国家には時々排泄しなければならないものが溜まる」と言ったそうだが、黒瀬陽平(代表)の「カオス/破滅・ラウンジ」とは、そうして都市に溜まったカオス(高いエントロピー)を排泄・廃棄するための場所(スラム)でもあったろう。芸術というネゲントロピーの注入効果が弱くなった社会では、代わりにアートがガラクタとして大量に廃棄され続けることで、最終的に死(システムの決壊点)に到るエントロピーの増大を防ぐのである。(続く)

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