お父さんじゃない？

朝歯医者に行く時、線路ぞいから大通りへ出るまでの細道に入ったところで私の車の前を危なげに自転車をこぐ男の人がいた。ゆっくり自転車をこいでいる。耳聴こえないみたいだが、軽くクラクションを鳴らしてみた。ちょっと後ろを振り返った横顔にハッとした。父に似ていたの。通り越して脇道に車を寄せて停まり待っていたら、ゆっくりゆっくり近づいてきた。私はもう一度顔を見たかったの。ほんと似ている、からだつきもあんな感じだな。懐かしい、生きていたら年も同じくらい。゛お父さん゛って言ってみた。まだ探してるんだと思った。私もしつこいね。さあ大変遅れちゃう！と、飛んで歯医者に向かいました。