隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1945.黄昏の光と影

2020年03月11日 | サスペンス

 

 

黄昏の光と影
読了日 2019/12/25
著 者 ">柴田哲孝
出版社 光文社
形 態 単行本
ページ数 290
発行日 2014/01/20
ISBN 978-4-334-92923-7

 

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日、3月11日は9年前に起こった東日本大震災の日だ。 今でもあの日のテレビで見た映像は忘れることのできない衝撃的なものだった。実際に被害にあった人、身近で大切な人を失った人は、どんな日々を送ってきたのだろうかと、その心の中は想像することさえ出来ないでいるが、僕は昭和20年3月の東京大空襲を思い出す。当時5歳だった僕はほんの一部分しか覚えていないのだが、まだ1歳だった弟を背にしたお袋に手を引かれて、火の海の中を隅田公園に逃れたことが、鮮明に頭に浮かぶことから、まったく事情は異なるが東日本大震災のさ中にいた人たちの、どうしようもなかった気持ちが多少なりとも、分かるような気もするのだ。
時々テレビで報道される現在の福島県や宮城県の、被災地の模様は残念ながら完全復興したとは思えないところも多く、我々他県の人々から次第に忘れ去られていくのではないかという、現地の人たちの想いをどう受け止めればいいのか?
なんともやるせない気持ちになるのだ。

相変わらず毎日、新たな感染者が発生している、新型コロナウィルスの勢いは止まらない。
先の見えないウィルスの脅威は、その正体がはっきりと分かっていないことにもよる。その繁殖力や性質が分からないことには、効果的な薬剤の開発もままならないときているから、厄介なのだ。世界的にも優秀とされる我が国の化学者たちだから、一刻も早い解決法を見出してほしいものだ。

 

 

そんな状況の中とは思えないような今日の天候は、晴れて暖かく―というより服装によっては暑さを感じるくらいだ。
読書記録をブログに投稿するため、ばかりではないが僕は過去に読んだ本についてのデータを、余さずデジタル記録として保存している。
主としてExcelとWordのデータだが、数が多くなると時にはその更新を忘れることもあるので見直しが必要だ。先日もそうした修正作業を行っていたら、1400番台のデータを見ることになり、柴田哲孝氏の『下山事件』の記録が目に入り、読み返すとその当時本当は本書を読みたかったのに、新刊だった本書は人気が高く、図書館で借りることが出来なかったので、仕方なく在庫していた『下山事件』を読んだということだった。
そこで遅まきながら改めて目に入った本書を借りてきたというわけだ。

 

 

馬区石神井のハイツ長谷川というマンションの一室で、老人の死体が発見された。
石神井警察の刑事・片倉らが部屋を調べると、スーツケースに収まった女の白骨死体も見つかった。そんなおかしな事件を追って、刑事たちの、歩く、歩く、歩く、とにかく歩く、といった印象が長く続く。
片倉康孝刑事と、新米の部下・柳井、二人の刑事が上司を説き伏せて、岐阜へ出張しての捜査だが、時折若い刑事が鋭いところを見せることに興味が惹かれる。

まったく進展を見せない事件を諦めず、しつこく追いかける片倉が、休暇を取ってまで一人名古屋まで向かおうとする中、新幹線のホームで好物の鳥めしを買おうとすると、そこに現れた柳井が、「鳥めしは買ってあります」と袋を差し出すのだった。
こうした泣かせる成り行きが、ところどころに現れて、この刑事たちのコンビが事件の核心に迫ることを願わずにはいられなくなる。

 

 

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