隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0874.銀の檻を溶かして

2008年04月01日 | ファンタジー
銀の檻を溶かして
読 了 日 2008/04/01
著  者 高里椎奈
出 版 社 講談社
形  態 新書
ページ数 278
発 行 日 1999/03/05
I S B N 4-06-182059-1

 

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OOKOFFの105円の棚にあったので、買って来た。
この著者の作品は、講談社ノベルスで何冊か出ているのを以前から知っており、どんな内容なのだろうと気になって、機会があったら読んでみようと思っていた。

講談社の文芸誌「小説現代」が別冊として年3回発行している「メフィスト」で選考しているメフィスト賞を受賞した作品だそうだ。
近頃では、ミステリーもいろんなところで文学賞を出しているから、とても覚えきれないが、今まで僕が読んできた中では、森博嗣氏の「すべてがFになる」(101.参照)や、高田崇史氏の「QED百人一首の呪」(97.参照)が同じくメフィスト賞の受賞作のようだ。

 

 

本書は、一応本格ミステリーの形を成しているが、主役の探偵と、それを補佐する2名?の合わせて3人が人間ではなく妖怪という設定だ。読み始めて僕は好みではないので「しまった!」と思ったが、何とか休み休み読み進めると、次第に抵抗なく読めるようになった。
妖怪が探偵といっても、妖術でもって事件を解明していくということではなく、データの収集や、分析、推理による事件へのかかわり方は、なんら人間の探偵と変わることなく進められていくからだ。
彼ら3人?の妖怪たちは人間の姿をして、普段は薬屋として生活しており、合言葉を以て尋ねてきた妖怪の絡む事件の依頼人があったときだけ、探偵活動を開始する。
本作では、全く異なった二つの事件が調べるうちに、繋がりを見せていくというストーリーで、途中で警察の捜査の状況も描かれるが、妖怪たちが必要とした時に、警察の捜査資料をどのようにして引き出すのかというところで、妖怪ならではのテクニックが使われる。
作者の女性・高里椎奈氏は1976年12月の生まれというから、この本が発行された時点ではまだ、若干22歳だったということだ。僕の好みは兎も角として、こうした若い才能は出るべくして出たという感じだ。

 

 

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