隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

2050.隣はシリアルキラー

2021年09月16日 | サスペンス
隣はシリアルキラー
読了日 2021/06/13
著 者 中山七里
出版社 集英社
形 態 単行本
ページ数 278
発行日 2020/09/30
ISBN 978-4-08-771723-5

 

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津中央病院のNドクターになんて言い訳しようかと考えている。彼女は僕の通院事情を考えてのことか、紹介状を書いて、行きつけの病院で治療を継続させようとしているのだが、僕は行きつけの病院のYドクターから他の病院で治療を続けるよう紹介状をもらっているのだった。
どういうことかと言えば、そもそもは、眩暈を生じたことで行きつけの病院のYドクターの診察を受けていたのだが、診察の継続を金曜日にと言われて、金曜日は仕事があるので都合が悪いというと、それではほかの病院へと紹介状を書くからと言うことになっていたのだ、ところが、僕のいい加減な所は一日二日と様子を見ている内に、具合が良くなっていたために、他の病院へ行かずに済ませていたのだ。
そこへ今回の脳梗塞が起こったのだ。

何もかも僕のいい加減な対応から生じたことで、何とも言い訳のしようがないのだ。
Yドクターの紹介状を持って僕は君津中央病院へ行こうとしていたのだが、日時を過ごしてその機会を逸してしまったのだから・・・・。しかし考えていても仕方がない。9月27日にNドクターには最初から正直に事実を話すしかないだろう、また。大いに呆れかえって怒るかな? 自分の失敗だから仕方がない。

 

 

 

木更津市立図書館から「予約の資料が用意できました」とのメールが届き、6月6日に行って、本書を借りてきた。中山七里氏の著書は人気があって発行日(本当は図書館に購入された日)近辺は大体複数の予約が入っており、借りることの出来るまでかなりの時日を要する。
だから予約を入れてじっくりと待つしかない。本書を手にして少し驚いたことには、本の状態が良かったことだ。他の人よりずっと遅く読む僕の場合は、多数の人に読まれた後の状態が、表と裏の表紙が閉じたとき多少ずれていることが多く、そうした癖のついていることが圧倒的に多かった。
本書にはそんな癖がないことが少しうれしい。
そうした嬉しい気持ちで読めるということがめったにないことから、何かいいことがあるのではないかと、変な期待を持たせて読み始める。

 

 

足(コウタリ)友哉と言うのがこのストーリーの主人公、すなわちメインキャラクターのようだ。
ニシクラ加工というメッキ工場に勤める神足は、社宅の隣室の音がうるさくて夜中に起こされるため、睡眠不足がたたって、うっかりメッキ加工の酸侵漬槽―金属に付着している錆や酸化被膜を溶解するための硫酸のプール―に危うく落ちそうになり、同僚に助けられる始末だ。
隣室は出稼ぎの中国人で言葉がうまく通じず、うるさい音は一向に止まず、神足は同時期に起きたバラバラ事件の犯人が隣人ではないかと推測したのだ。そう思うと何もかもが、うるさい音も隣人の態度も、彼が凶悪なシリアルキラーだとしか思えなくなってくるのであった。
同僚や友人は神足の妄想だというが、一度そうだと思い込んだ彼は警察に告発までする始末だ。
果たして彼は本当にバラバラ事件の犯人なのか?


寒さを感じさせたりまた無視暑さが戻ったりと、このところ迷走する台風の影響もあって、気象状況も安定だ。
雨が降るかもしれないという今日の予報だが、今のところ晴れ間が広がっており、我が家の庭の百日紅の花がそよ風に揺られながら咲き誇っている。
そんな状況を見ていると、コロナ騒ぎなど忘れてしまいそうだ。

 

収録作
# タイトル
1 寺の隣に鬼が棲む
2 隣の疝気を頭痛に病む
3 隣の餅も食ってみる
4 隣の貧乏鴨の味
5 汝の隣人を愛せよ

 

 

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