女彫刻家 THE SCULPTRESS |
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読 了 日 | 2005/03/09 | |
著 者 | ミネット・ウォルターズ Minette Walters |
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訳 者 | 成川裕子 | |
出 版 社 | 東京創元社 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 489 | |
発 行 日 | 2000/08/25 | |
ISBN | 4-488-18702-1 |
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000年9月に読んだ「氷の家」(71.参照)に続く著者の2作目だ。でも僕は、氷の家を読むまで、こちらの女彫刻家の方がデビュー作だとばかり思っていた。
というのも、この作品もドラマの方を先に見ていたからだ。英本国で制作されたドラマがビデオになってレンタル店に並んでいたのを借りて見たのだ。衝撃的な作品で、見た後すぐに原作を読もうと思い文庫を買ったのだが、なぜか積ン読のまま4年が過ぎてしまった。
今回読んでみて、テーマの重さにかかわらず文体も平易で読みやすく、自然とストーリーに没入できた。著者は、この後先に読んだ「氷の家」や、「鉄の枷」、「昏い部屋」と問題作を次々に発表して、英国のテレビは、これまた次々とそれらの作品をドラマ化した。
氷の家はNHKでも放送されたのだが、この女彫刻家の方は、ビデオ化されている所為か、それとも冒頭の事件の残酷さの所為か放送されなかった。
しかし、この作品の主張するところは、事件の残酷性ではなく、人の心の不可解さというか、人間心理を追求することだと思う。
物語は、母と妹を殺害した上、その遺体を切り刻んだとして終身刑となったオリーブ・マーチンという女性についての本を書くために、フリーライターのロザリンドが、面会に行くところから始まる。
凶悪な殺人者として収監された女性は、どんな人物だろうかという不安を持って面会に望んだロザリンド(ロズ)は、囚人が遺体を切り刻んだことと、自身の大きな体つきから「女彫刻家」と呼ばれていることから想像していたよりずっと女性らしく、教養さえ垣間見せる女性だった。
こうして何回か面会するうちにロズは、オリーブが事件の加害者であるということに疑問を感じていくのだ。MWA賞最優秀長編賞に輝く巨編である。
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