梅のシロップ漬け

　もう、１０年分の雷鳴を聞いたような気がする。
　むしむしして、気温の変化が激しい。

　何となく、梅を漬けたものが欲しくなった。
　体がクエン酸を欲しているのかもしれない。

　去年母親が漬けたものがあった。
　大きいみごとな梅だった。

　肩が凝るといいながら、一つ一つへたを取って、よくしみるよう、爪楊枝で刺して、いくつも穴を開けていく。
　今年はやめようと、いつもいっているが、食べる人が喜ぶ姿を想像しながら、毎年作っている。

　照れもあって、いらんといいながら、置いていったものを少しづつ食べる。
　根性が曲がっているのか、母親の気持ちがわかりすぎるのか、素直に、ありがとうと言いづらい。

　でも、こっそり感謝し、じっくりと味わって、食べさせてもらっている。