白昼の悪夢

其の場所は、一般の人があまり出入りしない静かな住宅街の一角にあった。
少し、小雨交じりの肌寒い日の午後のことだった、

机上には、熱い湯気の立っているコ－ヒ－が置かれていた。
一口～三口　喉に通した・・・？
すこし、苦味の強いコ－ヒ－だった・・・

「・・・あなたは、人を見る基準を何においていますか・・・？」
その人は、そのように聞いてきた？

「ハイ　！　そうですね・・」
私は、少し考えて間をおいて答えた。
「やはり、金でしょうね？」

ハァ？　その人にとって思わぬ私の答えだったのか不思議そうに笑みを見せた。

「お金に対して、どんな姿勢を持っているか、それで判断するでしょうね！」

「何故ですか？」と聞いてきた、

「どんなに仕事が出来ても、金に汚い者は、物事の全体像を見ることができんでしようね、そんな人間を私は評価できません・・・」
私は、答えた！

「次は、何処を見ますか？」
穏やかな口調だが、私を見る目はきつかった、

「本人が意識するせんは別として、嘘つきは、認めませんね・・・？」
さらに私は答えた・・・
「どんなに、やり手であっても、言動にぶれのある者は、嫌いですね？」
「そんな人間は、いざという時に、部下または他の者に責任を押し付けて
逃げますよ？」

私は、些か頭に血が上るのを意識しながら・・答えていた！

「そんな上司や経営者であったら、どうしますか？」
目は笑っていないが、口元に笑みを見せてそのひとは聞いてきた・・・？

「その会社を辞めるか？　または、他の社員のことを考えたら、進言して訴えるでしょうかね・・・？しかし、上は聞かんでしょうね？」

「そうですか？」そのひとは、一言言って、資料に目を通した・・・
何事か、ペ－パ－に書き込んでいる・・・！

「ところで・・・上杉さん！・・・こんな話があるんですよ・・・！？」

其の後に、そのひとから出てきた言葉、その内容は・・・
私が、思いもよらなかった驚愕の事実であった（嘘であることを願った？）
「えっ・・・！　後の言葉が出なかった・・・！」

私の、行政書士としての矜持が音を立てて崩れ落ちるものだった。
どうか、夢であって欲しい・・・？　

ガラス窓越の外を見た・・・冷たい雨が樹の枝葉とガラス窓を叩いていた・・・！


ああっ・・・　思わず、うめき声をもらした・・・！



・・・・・・・・・・！？