Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

名古屋鉄道、沿線団地開発事業から撤退。

2005-07-24 10:14:52 | 鉄道(都市部)
かつて大手私鉄の経営モデルを語る時に、必ず出た言葉がある。
それは「沿線開発」。
自らが経営する路線沿線に大規模な団地開発を行い、沿線人口を増やして需要増を図りつつ収益増を狙うというものである。

例えば、東急の「多摩田園都市」や阪急の「豊中・池田の住宅開発」など事例は多い。
名古屋鉄道(以下「名鉄」)もその流れに乗って沿線での団地開発事業を進めていたが、地価下落に伴う収益性の低下や都心部への回帰傾向が増加してきたことを踏まえて、沿線での大規模団地開発事業からの撤退を決めた。

「名鉄 団地開発事業から撤退」(読売新聞、7/23)

バブル崩壊直前の「四季報」などの名鉄の紹介を見ると「事業用不動産の保有は大手私鉄中トップクラス」とあったのを想い出す。
それだけ不動産開発に熱心な訳だったが、それだけにバブル崩壊に伴う地価下落のダメージは大きく、大規模なリストラの一因ともなった。

現在同社沿線で進めている大規模団地開発事業を挙げろと言われれば、真っ先に知多新線で展開された「美浜緑苑」が思い浮かぶ。
87年から分譲が始まっているが、総戸数600戸のうち100戸が売れ残っているという。
分譲開始から20年近くが経過し、今なお1/6が売れ残っていることになる。

最寄り駅の美浜緑苑駅は特急停車駅かと思って時刻表を確認してみた。
しかし、特急は通過する。
特急が停車しないこと、名古屋から急行で約50分という所要時間がネックになったのだろうか。

ここに特急を停車させると、知多新線内の特急通過駅は野間駅だけになってしまう、という妙な話になる。
しかし、自社が分譲する団地住民の利便性を考えると朝夕のラッシュ時に着発する特急ぐらいは停車させてもいいのではないかという気がする。
その類の議論は名鉄社内でもなされていると思うのだが、未だに特急停車が実現しないところを見ると、隣の知多奥田駅まで車で送ってもらうというパターンが定着しているのか、それとも思ったより名古屋へ向かう人がいないのだろうかと考えてみたりもする。
夜遅く名鉄名古屋駅を出発する内海方面の全車特別車特急を見ていると、結構人が乗っているような印象はあるのだが。

閑話休題。
話を元に戻すと、名鉄が今回撤退するのは「沿線団地開発事業」であって、子会社の名鉄不動産を通じたマンション分譲や駅周辺の土地利用は積極的に進めていくという。

そうなると、気になってくるのは名鉄岐阜駅の「新岐阜百貨店」と旧市ノ坪駅に隣接する「岐阜検車区」。
前者は今年中の閉店、会社清算が決まっている。建物解体後の跡地利用は未定。
後者も今年3月の廃止以降実施している福井鉄道向け譲渡車両の改造工事が終了する来年度以降の用途は公表されていない。
不要になった不動産は他用途へ転用し、高付加価値を生む他用途へ転用するのが常。
これらの用地がマンション用地となったとしても全く不思議はない。

前者は駅に隣接しているため、所要時間はゼロ。
後者も田神駅から徒歩で10分程度と、アクセス条件は良い部類に入る。
しかも、「都心回帰」という最近の需要にマッチしている。

名鉄の不動産開発に関する方針転換がこれらの土地利用にどのような影響を及ぼしていくか注目してみたいと思っている。


レンタルチャット

最新の画像もっと見る