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「ブラック・スワン」の足音が聞こえる

2024-03-02 17:37:46 | 日記
「ブラック・スワン」の足音が聞こえる

 今回の「バフェットからの手紙」でもっとも注目すべきは、バフェットには昨年12月6日公開「世界的金融・経済の惨劇はある日突然~ブラック・スワンはいつやってきてもおかしくない」で述べた「ブラック・スワン」の大きな足音が聞こえているであろうということだ。

 1914年、2001年、2008年などを例に挙げながら、市場の「予想外」の「不調」や「暴落」について語っている。

 もちろん、バフェットは常々「私に未来は予測できない。もしできるという人がいるのなら目の前に連れてきてほしい」と述べているから、バフェットにできるのは「予想」では無く、万が一に対する「備え」である。


 その備えの中心である「現金」が、Bloomberg 2月25日「バフェット氏、『目を見張る』業績望めない-現金水準が過去最高に」との状況だ。同記事によれば、バークシャーの現金保有高は昨年10-12月(第4四半期)に過去最高の1676億ドル(約25兆2000億円)に膨らんだ。

 日本の税収が71兆円であるから、その3分の1を少し上回る莫大な金額である。


 そして前記記事の「『目を見張る』業績望めない」には二つの大きな理由がある。

 一つ目(の短期的理由)は、「株価が高すぎて」投資先の企業が見つからないという理由だ。バフェットの投資は「企業の本質的価値」を基準に行われる。2019年3月7日公開「投資の神様・バフェットはなぜ『株価の下落』を喜ぶのか」冒頭「株価下落でも『企業の本質的価値』は変わらない」で述べた通りだ。

 だから、株価が「熱狂」によって「本質的価値」を大幅に上回る状況(バブル)は、バフェット流にとって好ましくない。バフェットの投資基準は、市場が高騰しようが暴落しようが変わらないから、市場(の株価)が暴騰したときには「投資先が見つからない」ということになり、現金が積みあがる。そのことが自然と「暴落に対する備え」になるわけだ。

 過去においても、バフェットの現金準備が積みあがった時に、市場の暴落が起こる傾向にあるから、「バフェットが現金を積み上げている」ということは、市場の暴落がやってくるサインの1つであるといえよう。バフェットは、シリコンバレーバンク破綻の際に見られたような、インターネットを始めとする情報通信手段の発達によって「瞬時」に混乱が世界に広がることを恐れている。



5大総合商社、アメックス、コカ・コーラは手放さない

 だが、それでも米国の将来を信じ、「永久保有銘柄」を手放すつもりは無いようだ。

 バフェットの「米国の将来」に対する信頼は筋金入りで、しばしば「建国以来の米国の輝かしい成長」を持ち出す。今回は「彼が11歳の時に初めて株を購入した際、100ドルを割ったダウ平均が38000ドル近辺まで上昇した」例を取り上げている。つまり約380倍である。

 現在「永久保有銘柄」といえるアメックスとコカ・コーラについては、昨年3月2日公開「『大乱』こそが投資のチャンス! 『バフェットからの手紙2023』を読み込む」4ページ目「歴史的に株価は上昇し続けている」でも解説したが、今年も登場した。そしてその利益貢献ぶりを「眠ってばかりいるのに稼いでくれる」と絶賛している。

 そしてさらに我々日本の投資家にとって興味深いのは、5大総合商社である。「5社まとめ買い」の経緯・分析については、2020年9月16日公開「結局、『総合商社』は何がスゴいのか? “投資の神様”バフェットはこう考える」、同10月2日公開「バフェットの『商社投資』で、生き残る日本企業の共通点がわかった…!」、2021年3月6日公開「投資の神様・バフェットが『日本の商社』に投資した『本当の理由』がわかった…!」、同10月19日公開「バフェットがまとめ買いの5大総合商社、買い増し候補の勝者と敗者」などを参照していただきたい。

 「バフェットからの手紙」の中では、日本を訪問し経営陣と交流した後、株式を買い増した事に触れている。日本人にとっては当たり前だが、総合商社の経営陣が米国の一般的経営者のように「強欲」ではなく、また(借金をしてまで自社株買いをするなどして「株価をあげることに汲々」とせず)本業の成長のために資金を使っていることは好印象であったようだ。

 また、総合商社とバークシャーのビジネスは「似ている」とも述べている。違いは、前記記事でも述べたように、まずバークシャーが「油田のように噴出する資金」を蓄えバフェット(バークシャー本部)がコントロールしているのに対して、(グループの金融機関も含めて)総合商社は外部からの資金調達に頼っていることだ。

 この点については、バークシャーが資金を供給することによって、5大総合商社と共に世界中で「投資(事業)活動」を「協業」することも視野に入っているようだ。特に5大総合商社がバークシャーよりも「グローバルな視野」と「国際的な信用(ブランド)」を持っている事を強調している。


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