Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

All My Sons を鑑賞

2019-06-18 00:00:00 | コリン・モーガン


劇場内ではイギリスの割に厳しく撮影禁止。それでも俳優が出る前には撮る人がいて、私の隣のカップルも自撮りしてました。というのも外側はモダンな割に内部はさすがの200周年の歴史を感じさせる豪華さだからです。

下の写真は公式ページから。


このステージを囲む時代がかった装飾の前にも「50年代アメリカの庭セット」が作られているのが、ないものを観客に想像させるモダンな手法の逆で、あるものをなかったことにさせる手法もあったか!と感心しちゃいました。



ストーリー;

戦争特需で工場長として成功したジョー(ビル・プルマン)の次男ラリーは戦争以来3年行方不明となっている。今は次男のフィアンセだった隣の家の娘アン(ジェナ・コールマン)は生き残って帰ってきた長男クリス(コリン・モーガン)と相思相愛で結婚しようとしている。しかしジョーの妻ケイト(サリー・フィールド)は次男も生きて帰ってくると信じ、皆にもそう信じさせるよう強要、つまりアンは元の恋人を待つべきだから二人の結婚はありえないと反対。

弁護士であるアンの兄も戦後以来初めて故郷に戻り、彼から次男を含む米軍の若者21人のパイロットが帰って来れないのは、実はジョーの工場が出荷した欠陥品の部品のせいで飛行機事故が起きたと一家は責められる。彼とアンの父は今ジョーの罪をきせられて投獄されていることも。

戦争中のことで、工場の利益を守り家族のためにしたことだという父ジョーを許せないクリスは、ジョーに自首するよう怒りをぶつけ、そしてアンが受け取ったラリーからの手紙によってラリーの死の真実が明かされる・・・



もういかにも平和ボケてそうなアメリカの田舎町の裏庭で、ジョー一家とご近所さんたちの会話から、田舎の人間関係が表面は平和な影で実はドロドロしていたことがバレていき、ビルや隣の奥さんスーなどが田舎者を張ってる人が実は計算高いことがわかってきます。

そんな息苦しい空間で、ひとりイノセントなのがクリス

彼は隣人の医者の本当に望む道を励まして奥さんに給料が減るのに余計なことを!と疎まれたり、

「お前は自分が好きなら相手も自分のことを好きだろうと信じてるから、人の憎しみをわからないんだよ」と母に言われたり、

心が純粋な天使ちゃんで、コリンがそれは上手に演じていました!

やっぱりなあ!!本番の写真が公開された時、コリンだけ裸足!というところに目が釘付けになったのですが、

あれは心が天真爛漫の裸だということの演出なんだ!と確信!

他の登場人物たちは全員本心を隠しているところがあって、その上に各自のキャラを出しているのだけど、コリンのクリスだけは子供のまんまで正直な世界に住んでいます。

それが、4人の主役たちが話している(特に口数が多いのは父母)の聞いているクリスの表情の演技でわかるんですよ。だからセリフをしゃべている人を視界に収めつつコリンを見るので視力が総動員。

この辺りを、ナショナルシアターライブのカメラがどれだけ拾ってくれるかが大きな案件でしょう!喋る人を映さないわけにはいかないし、喋る人と聞く人と同時に2画面でしてほしい。

しかし私は2回鑑賞したうち2回とも1階席の4列目だったため、目の高さがコリンの足、って感じなのはいいけど前の人が邪魔で上半身しか見えなくなったり、裸足を目で追っても追いきれずに腕の血管で止まる、と静かに目だけでジタバタしていたのでもうすごいストレスでした笑

しかも若いふたりは愛を語るのに地べたに座り込むこと数回、ステージの前方に来てくれてドキドキなのですが、そこでも役者が座ると前列の人たちの頭の間に埋もれて、もう私は右に寄ったり左に寄ったり忙しかったです。後ろの人のことなんか考えてられません。

この芝居の前半の平和を保っていたのは、ジョーの罪をみんなで知らないふりをする、代わりに投獄されてるアンの父のことを忘れるという共通の思いだったんですが、

それを破るのがアンの隠していたみんなの知らない秘密。

その秘密を3年も自分だけ知っていたアンはやはり強かった。ジェナが採用されたのは、サリー・フィールドが小さいからバランスいいように、というだけじゃなかったのね笑

ついでに言うとビル・プルマンってそんなに背が高いと思ってなかったのに、コリンよりも高かったのが意外だった。

1回目に見た時は、コリンとジェナがアメリカ〜ンな感じで喋るのに違和感感じたけれど、お父さんとお母さんがアメリカンだし、作品がアメリカの戦後、ってところで外せないのかな。同じアーサー・ミラーの「るつぼ」をベン・ウィショーとソフィー・オコネドはアメリカ風に話さないで演じたので、必然性とは・・・と考えました。

2回目の時は慣れたのと少しだけ原作を読み返して臨んだので英語がもっと聞き取れて気にならなくなりました。


日本では10月にナショナルシアターライブで見られるので最後までネタバレはしないでおきます。

プレミアでの主役たち。



千秋楽のチケットが高かったせいなのかよくわからないけど、2回分のe-チケットが同じメールで送られてきたな〜と思ったらよくわからない数枚のチケットも入ってて、直前によく見たら、プログラム、シャンパン、アイスクリームのバウチャーでした。

1回目鑑賞の時、まだそれに気づいてなくて、プログラムをお金で買ってしまいました。でも2回目の直前に気付いたのでアイスクリームはいただきました。



「洋ナシとエルダーフラワーのシャーベット」という珍しい味のがあったので思わず手に取ったら売り子のお兄さんに「絶対美味しいよ」と言われました。

シャンパンは飲みたかったけど、短期滞在の夜は時差で睡魔との戦いになるのでここでいい気分になったら一巻の終わり!と自粛しましたとも・・・


The Old Vic の意外なつながり

2019-06-17 00:00:00 | イギリス
イギリスに到着して3日目に今回の旅の目的、The Old Vic劇場へとたどり着きました。誰が撮っても絵になる正面玄関です。

ここに毎日コリン・モーガンが来ていると思うだけでブルッとします。



入場前のザワザワ感。黒服のスタッフが大勢います。表示はStallsという日本でいうアリーナ席?1回席?の入場口への案内。左半分の席の人はこちらから入る。



向かって右の壁面には右半分のStalls席の案内。2階、3階席へは正面から建物に入って中の階段を上がってから席に入ります。



2階のカフェから外を見るとこんな風。正面の写真を撮るために立っていたあたりが見えます。



建物左には現在仮設トイレが設置され、その黒い長い箱みたいなのの向こう側にステージドアが。日が暮れる前はこんなに静かで寂れてるのね。。。



そしてこれ、黒い箱の手前、左のStalls入り口の横にあった何やら古い文。



すみません、すみません、ちょっとコリンの演技を語る前に、こちらについて語らせてください。

This first stone of the Royal Coburg Theatre was laid on the 14th day of September in the year 1816 by his Serene Highness, the Prince of Saxe Coburg and her Royal Highness the Princess Charlotte of Wales by their Serene and Royal Highness’s proxy, Alderman Goodbehere.

と全文がこちらのページにあり、

手短に書くと、The Old VicのVicとはVictoriaのことで、もともと去年200周年を迎えたこの劇場の最初の名前はthe Royal Coburg Theatre、1833年に the Royal Victoria Theatreとなっています。

私がさっさとコリンの演技を語らず、何日にもわたってヴィクトリア&アルバート周りを騒いできたのも、ここに繋げたかったということもあります。

このCoburgというのは、ヴィクトリア&アルバートのもともとの家系で、

the Prince of Saxe Coburg とはレオポルド1世=V&Aのおじさん

the Princess Charlotte of Wales とはヴィクトリアの父方の従姉妹(ヴィクトリアが生まれる前にすでに死去)

そしてこのふたりが、この劇場のパトロンだったというわけです!

まあ、イギリスというのは帝国最盛期のヴィクトリア時代の遺産の上に成り立ってる国だとは知ってましたが、

ドラマオタクとして手を広げたつもりが同じ1本の糸を掴んでいたことに気づいた瞬間でした。

次こそ「All My Sons/みんな我が子」に・・・・



Victoria展 @ケンジントン宮殿

2019-06-16 00:00:00 | イギリス
ささっと紹介するつもりがまた写真がいっぱいになったので文字は少なめで!!

今ロンドンの地下鉄には↓のようなポスターが貼ってあります。



ヴィクトリア女王生誕200周年を祝い、陛下の産まれ育った宮殿にて陛下を紹介する企画展です。それは表向きで、ドラマ「ヴィクトリア」のファンを狙ったポンド搾取の恐ろしい罠。

ホラホラ、ネズミ捕りの入り口ですよ〜




衣装を見るとやはり小柄でした。でもだからどれもシンプルで可愛らしいドレスなんですね、イギリス行くとチビな東洋人としてコンプレックス感じますが、小さくでもいいのね・・・(女王様だから、とか言いっこなしですよ!)



下はアルバートが亡くなった時のヴィクトリアの喪をアーティストがインスタレーションにした作品のひとつ。



子供達の衣装の可愛いのなんのって・・・



喪服に合わせて従者、犬、馬まで黒にした絵なのかと思ったら、喪中でもお仕事してますアピールのつもりが、公開された時に、描かれているジョン・ブラウンとの仲を噂されてしまったそうです。(へえ〜)



ここからは、ネズミ捕りから出て常設展の一部、ヴィクトリアの子供時代の部屋そのものに。



ママ(ケント公夫人)とヴィクトリア



簡素でも居心地の良さそうなセンスのいいお部屋



お部屋の奥のドールハウス



右壁に貼られた愛犬ダッシュの絵。ヴィクトリアが画家に描かせたんでしょうね・・・



この部屋には鏡と蓋のあいた衣装箱と衣装があったのでコスプレでもして遊んだんでしょうか



ダッシュとヴィクトリア。愛らしい〜



他の展示を色々はしょっても、やはりアルバートさんは必須。しかしどう頑張っても正面から撮ると向かい側の窓が写り込んでしまいました。



そしてなぜか上の絵と対になったヴィクトリアの方は未完成。どうしたんだろ。



私にこんなことをさせた張本人のドラマ版ヴィクトリア、ジェナ・コールマン。




ケンジントン宮殿でお茶

2019-06-15 00:58:00 | イギリス
なかなか観劇のお話にならなくてすみません。

前日に行った「V&A」とは「ヴィクトリア&アルバート」の略で、ちょうどイギリスで放送済みのシリーズ3ではこの博物館の元になった万国博覧会のエピがあり、ドラマ「女王ヴィクトリア」ファンとしては関連所巡りになるのです。



ということで、ヴィクトリア生誕200年です。

有名なハイドパークに隣接するケンジントンガーデンはその名の通りケンジントン宮殿の庭です。

今までず〜っとこの女王様像はここに鎮座されていましたが、ITVドラマを見るまで、ヴィクトリア女王は私にとって「過去のおばあさん」というイメージでした。

しかしジェナ・コールマンとトム・ヒューズによって美男美女カップルとして認知し直したのは私だけではないはず!その女王がバッキンガム宮殿へ引っ越すまで住んでいたのがここです。

他にも「女王陛下のお気に入り」のアン女王、「ザ・クラウン」の次のシリーズで登場するダイアナ妃、現在のプリンス・ウィリアム一家の家でもあるので、にわかに私の中で身近な存在となりました笑。

宮殿の庭内にパビリオンという結婚式場のような建物があり、アフタヌーンティー、朝食、ランチができます。



宮殿内ということで、小ぶりで日本でもよく見かけるサイズのケーキとサンドイッチでした。ジャムの小瓶で大きさがお分かりになるでしょうか?

コーヒーみたいな色ですけど紅茶です!



私が注文したのは「Afternoon at the Palace/宮殿の午後」という名。ウェイターさんによると「Queen's Favourite/女王陛下のお気に入り」ですって!




お料理を平らげるとお皿に王冠が!



ややや!と萌えて他の食器を見たら全部に王冠は付いていた。



室内の席もあったけど、ほどほどに暖かい日だったのでデッキにて。



パビリオンの前には美しいフランス式のお庭が。



お茶を飲んだら次に行くところ、それはここ。




ディオール @V&A

2019-06-14 22:06:00 | イギリス
マリークワントに大量の写真をアップしましたので、こちらはサラッと行きます。ご興味のある方は公式ページをご覧になった方がいいですよね。

一般的にはディオールの方が人気展示で、チケットはソールドアウトです。

私がおおっ!と思ったのは、展示の中でも入り口すぐにある(つまり目玉)マーガレット王女が21歳の誕生日に着用したドレス。

ドラマ「クラウン」でもエリザベス女王の反抗的な妹として存在感を放っています。



本当にウエストが細いです!55cmくらいじゃないでしょうか。

1920~40年代は、アールデコや戦争があったので前世紀のヴィクトリア時代とは打って変わってモダンな寸胴シルエットが続き、その反動でクリスチャン・ディオールが50年代に発表した細いウエストと広がるスカートのニュールックは絶賛されたわけですが、

生まれた時からコルセットで締め付けてた世代ならば変形して成長していたと推測するのですが、

私達と同じ人間が、「ニューラインですよ!」と言われたからって急にウエストを締められるものなのだろうか・・・・?





下の写真は展示の最後の方にある天井の高い部屋で、白い生地で作られたサンプルと思われるドレスのコレクション。

オートクチュールは刺繍、ビーズ、スパンコール付けなどの手仕事の装飾技術を駆使した作品なのですが、その土台になる服のパターンがよくわかります。



展示は、初代クリスチャン・ディオールから、彼が亡くなった後の歴代デザイナーまでを網羅しており、

クリスチャン・ディオール
イヴ・サン・ローラン
マルク・ボアン
ジャン・フランコフェレ
ジョン・ガリアーノ
ラフ・シモンズ
マリア・グラツィア・キウリ

と70年間の歴史の中でたったのこれしかデザイナーがいなかったことを知りました。

正統派の正当のエレガンスをガリアーノが滅多斬りし、ラフ・シモンズがアバンギャルドながらも正当派に返し、今また初の女性デザイナーが原点回帰している流れがよくわかっておもしろかった。