Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

三文オペラ

2017-06-21 17:16:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


こういう芝居だったのですね!

タイトル以外ほとんど知らずに見た「三文オペラ」。

ローリーさんの役(主役)マックはロンドンはソーホーの悪党なのか。
不細工な悪党?
あのちょび髭はちょっとコミカルなイメージだったのか・・・
(「ちょい」どころではないのはポスターから憶測可であろうが)

シアターライブの冒頭舞台裏でも、眉毛テンプレートみたいな型抜きでヒゲメイクされてたローリーさん。その定規を鼻の下に当てられながらも『モゴモゴ』とメイクさんと雑談してたのが可笑しい。そんなにしゃべりたい?他人に顔を触れられるというちょっとプライベートゾーンへの侵入みたいな状況では、無言だと返って気まずいからでしょうか。

チラリと作品概要に目を通した時は、1920年代ベルリンの大ヒット劇とあったのでてっきりドイツの話かと思ってた私は、おっとどっこい私の第2の故郷ロンドンが舞台と知りにわかに親しみを感じました。

場末の貧民街と言えばイーストエンドだろうと思ったら、エンドはエンドでもウエストの方はNYのブロードウエイと並ぶ演劇の聖地ソーホーではありませんか。

しかしそれはソーホーの一面で、実際は今でも売春宿とかのぞき部屋のような一角も地味にあるし、ゲイバーやセクシーグッズのショップもある。バーとカフェがぎっちり、生地屋も多い(衣装製作のため?)100年前はもっといかがわしかった、それが三文オペラの舞台ですね。

そこにローリーさんの似合うこと!

「容姿に恵まれてはいない悪色男」って言われてもビジュアル化が難しいですが、ローリーさんの役がまさにそれ。

ローリー・キニアは私にとって「ハムレット」や「007」、「嘆きの王冠」の演技派のイメージがまずあって、その後「カムバック」「マンアップ」系のちょいゲス男もやけに上手くて大好きですが、

このマックも大変似合っていました。

それどころか、彼の「ゲスくても気品のある」キャラ作りというか、滲み出るものに大変救われていると思いました。

「みんなのシアター」ナショナルシアターとはいえ、乞食、盗賊、売春婦に囲まれた女好きの犯罪者を主役に見せるには、悪党の顔の向こうに気品がないといけないと思います。

そんな濃いキャラでもローリーさんの薄い顔立ちで、他のもっと濃い出演者とのバランスが取れていました。


ところで、社会の底辺の悪い男たちが幅を利かす世界で、女は男に翻弄されていそうで、実はもっと計算高くて強かなのがこの話のいいところなんですが、

・・・なんか最近こういう話あった、と思ったら「T2 トレインスポッティング」でした。


ケチな意見:

ナショナルシアターライブは、映画館の割引料金も適応されない特別枠上映なのですが、確かにこういう舞台記録というものは、見たい人は割引じゃなくても見に来ると思います。

でもそれならばなぜ私が見に行った映画館ではいつもの邦画の予告編も見せるのか。しかも高校生ものとか、客層外したらそれは拷問。

その後の、ナショナルシアターライブの予告、「ヘッダ・カーブレル」「誰もいない国」はもちろん見る方も嬉しいし、映画館としても適切な次の宣伝となりましょう。

シネコンだから、ありとあらゆる映画を上映してくれるのはありがたいんですけどね、それなら豊富なラインナップから、youtubeみたいに「これが好きならこれもどう?」的なお勧めしてくれたらいいのに。

POLDARK 0302

2017-06-20 18:03:00 | POLDARK
だんだん「ロミオとジュリエット」みたい、親のケンカが子に報い・・・みたいに思えてきました

ちょっと整理してみます?!

ポルダーク家・・・ロス&デメルザ小さい息子
デメルザの弟ふたりサムドレイク


デメルザとドレイク

対する

ワールガン家・・・ジョージ&エリザベス
生まれたばかりのヴァレンタイン(実はロスの子)

しかしこの一家が住むのは、エリザベスの前夫フランシスの家で、

アガサおばちゃん
エリザベスとフランシスの息子ジェフリー・チャールズつき

ジェフリー・チャールズの家庭教師としてモワナ

ここに今エピでは嫁に出たフランシスの妹ヴァリティが帰省

つまりジョージは金の力でポルダーク家を内側から乗っ取ったようなものですね。


可憐なモワナ16歳くらい?

そして物語は、フランスとの戦争に出たヴァリティの夫とロスの友人エニスの消息を追うロス、

ロスの苦労も知らず(ただジョージに譲る原因は身から出た錆なんですけどね)教会でジョージを逆なでする信心深い弟たち、

そのうちのひとりドレイクといい感じなモワナ、危ない、危ない~
ドロドロな大人たちの関係に比べ宗教画のようにピュアなふたり。

エニスと結婚したキャロラインの伯父さんがなくなったので、裁判官の席をロスに提示してきたのは、70年代の「ポルダーク」でロス役だった俳優さんの演じるもう一人の判事。

裁判官はポルダーク家が代々務めてきたとのこと、本当に名家なのですね。断るロスと、その結果その席に座るジョージ。時代の流れか、ロスの性格のせいだけなのか。

得意げに「ワールガン家初の判事だ、すごいと思わないのか?」と喜びを見せるでもないエリザベスにきくジョージに「意外とは思ってないもの」と返すエリザベス・・・

悪魔の道を歩むエリザベスの形相が、もう美女オーラを放ってないことに気づきました。

自分が窮地だからって、ベビーベッドで泣き叫ぶヴァレンタインを無視し続けるシーンは胸が痛い・・・この子の性格はどうなっちゃうの?

とやきもきするエピでしたが、それも

ドレイク、サム、そして元祖ロスのシャツレス三つ巴が充実でした。

特に、信心深いくせにやけに脱ぐデメルザの弟たちよ。がんばれ!




Versailles 0209

2017-06-18 16:46:00 | その他の映画・ドラマ・舞台

王の弟フィリップの愛人シュバリエ

ルイは戦争での不利を、神にすがって解決しようとしています。

もうこの辺で彼の中では、自分の王としての野心=フランスの民の利益となっています。が、ある意味正しくはあります。

その祈る姿は、全身全霊で神にすがってはいるものの、そこはルイですから、高飛車なのが私には可笑しいやらかわいいような。

「聞いてますか?!」

「見てくれてますか?!」

そして、キリストのように民のために身を犠牲にしなくてはならないのか?!
と悩み始めたルイのところに、信心深いスカロン夫人(モンテスパンの侍女)が寄り添って祈り、ルイを導き、パワーを与え始めました。

そうか~、王として自分が成功するにはフランスの富国強兵が必要、
それには当時は戦略だけでなく神の力が必須(僧侶の身分が高いわけだ)、
神との媒体の役割をスカロン夫人が果たしたと・・・!

後に、王妃マリー・テレーズが亡くなった後に、このスカロン夫人とルイは秘密結婚をする、と歴史に残されているんです。身分の違いで王妃にはなれなかったのですが、ルイがなぜ彼女に結婚するほど惹かれたわけがこれでわかりました。

一方、遠ざけられた愛人のモンテスパンは、王を振り向かせるために黒魔術にまで手を染めてしまいます~~~。さすがの彼女もビビってます。

いくら強気の彼女でもそんな悪魔の道は望んでいなかったようですが、相談した相手が悪かった・・・ベルサイユの貴族達に毒を売って人気のマダム・アガサ。

そしてスパイのへっぽこ詩人トマも、ルイと弟フィリップが珍しく協力しあって偽情報をつかませるため、フィリップがトマを可愛がり罠にかけ、ほんと珍しくフィリップが得意の手練手管で王に貢献している・・・のに、

そうとは知らないフィリップの愛人シュバリエが、嫉妬のあまりトマを追いかけて逆にこてんぱんにやられてすごすごとフィリップの元に泣いて帰ってくる始末。

そのあまりの惨めさに、このおちゃらけ男に初めて同情してしまいました。

でもフィリップが「理由は言えなくてもやらねば」と強く言って、シュバリエの目を見て「I LOVE YOU.」とも初めて(多分)口にしたら我にかえるという素直な奴だった。愛に生きる国民ですものね・・・。

あと、もう一人見直した人物は、拷問係(正しくは警察隊長・・・だったのか)のマーシャルです。

彼はいつも拷問シーンに登場するのでその陰気さが憂鬱だったのですが、悪魔の儀式を執り行っていた司祭が、彼の愛する女性を殺した犯人だと知った時(それも拷問中)、常に冷静な彼が激昂して司祭を一瞬にして葬ったのには胸キュン・・・。


盛り上がってきたなあと思ったら、道理で次回がシリーズ2の最終回です。
もうDVDデザインも。
ドクター・フーみたい(笑)。



銀座三越 美女と野獣の世界展

2017-06-16 11:08:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
去る4月19日~5月9日に銀座三越で開かれた「美女と野獣展」、まだ映画も大人気上映中ですので、少し古い情報ですが記録としてアップすることにしました。




エマちゃんダンちゃんが受付嬢のように動画でお迎えしてくれていました。

全体像は下の感じ。右側にはこの2倍くらいのスペースでグッズ売り場もありましたが、映画のグッズよりもアニメのグッズが多かったのが私としては残念でした。ダンちゃん王子グッズがあったら買っていたのに!



ガラスケースで守られているのに、さらに赤いテープでガード?ガラスに指紋をつけられないためでしょうか。美的観念から反対する人はいなかったのでしょうか。

「美は内側に見いだすもの」とガラスにも書いてあるし、中の方をよく見てねというジョークにもとれなくもない・・・



野獣サイドにも「外見を超えて見よ」と書いてありますね。

確かに二人は内面で惹かれあったカップルであるけど、二人とも美女でもある・・・もちろんだからこそ私も映画を見に行ったわけですが、表現の難しいセオリー。



さあ、野獣の衣装のアップです。
繊細なタフタの生地と刺繍が、大きな傴僂のジャケットと矛盾して結構恐ろしかったです。



ベルのお靴。オーガンジーのリボン、靴自体には羽が描かれています。



サイド。比較するものがないのですが、見た感じで7号くらいでした。エマちゃん細い。



ドレスにはスワロウスキークリスタルがつけられているそうです。



あとこの美女と野獣の衣装のお向かいには、ルミエールとコグスワースのお二人も。しかし、この置物は本当に撮影に使用されたのかは私はわからないまま・・・



コグスワースのお腹は武器のモチーフだったんですね。






怪物はささやく

2017-06-14 19:05:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


13歳。主人公のコナーは声変わりもまだの小柄な少年で、ママのベッドにも潜り込んでしまう。(ママは末期癌患者なのだ・・・)私は10歳くらいかと思って見ていたら、

同じクラスにはティーネイジャーらしい颯爽とした少年もいて、その子がまたコナーを虐めるんですね。ハリー・ポッターのセドリックみたいなモテ男タイプなのに、性格はマルフォイなんですよ。

パパはママと離婚して米国に住んでいるので、コナーはママのママ、つまり祖母の家に住むことになります。

おばあちゃんはとてもキチンとしていて厳しくて、コナーにとってはママの具合が悪いだけで辛いのに世の中辛いことだらけです。

詳しいあらすじは公式で見ていただくとして、

大きな木のモンスター(どうしてもグルートに見えるんですが)の話は、それまで大人が子供に言い聞かせていた「いい子にしていれば立派な大人になって幸せになせますよ」とは違うストーリーでした。

それはまた「悪いことをしたら罰を受けます。」というもう一つの子供の世界の掟とも違っていました。

「いい子にしていれば悪いことは起こらない」のはいつも大人に守られている子供だからなのであって、

守ってくれるパパは外国で、ママは病気で死にそうで、

誰もママが治らないとは言わないけれど、コナーはママが死ぬのだとわかるくらいに大人になっていたのです。

モンスターは、何も知らなくていい子供の世界にいたいコナーに、母の死やほかの環境やそして自分自身の嫌なことも人生に受け入れなくてはいけないと告げる、自分自身の大人の意識だったのですね。

コナー役のルイス・マクドゥーガルが、ファニー・フェイスなのだけどいい味を出してとても美しく撮られています。微妙な年齢だったので、プレミアの頃の写真を見ると、多分もう声変わりしてるだろうな、というくらいに成長してました。

窮屈な環境を象徴するおばあちゃんの家が、古いイギリスの家にあるものに溢れていて私的には楽しめました。絵皿のコレクションが並べられた食器棚、陶器の動物や踊り子の置物、そしてキッチンにはトースターが目の高さについているクッカーも。


6/17追記

コナーは13歳で、母の死という辛い出来事をきっかけに、自分の中の意識をモンスターに具現化して向き合うことができました。

それは「認めたくない自分の本心」と「受け入れたくない現実」とふた通りあると思うんです。どちらも無かったことにしてスルーすれば傷つかずに済む。

が、世の中には何歳になってもそれらから目を離し、本心や現実をうまく自分以外の事象に責任転嫁して生きている人いるな・・・これは思春期の少年だけの話ではなく、大人の話にもなりえます。