こういう芝居だったのですね!
タイトル以外ほとんど知らずに見た「三文オペラ」。
ローリーさんの役(主役)マックはロンドンはソーホーの悪党なのか。
不細工な悪党?
あのちょび髭はちょっとコミカルなイメージだったのか・・・
(「ちょい」どころではないのはポスターから憶測可であろうが)
シアターライブの冒頭舞台裏でも、眉毛テンプレートみたいな型抜きでヒゲメイクされてたローリーさん。その定規を鼻の下に当てられながらも『モゴモゴ』とメイクさんと雑談してたのが可笑しい。そんなにしゃべりたい?他人に顔を触れられるというちょっとプライベートゾーンへの侵入みたいな状況では、無言だと返って気まずいからでしょうか。
チラリと作品概要に目を通した時は、1920年代ベルリンの大ヒット劇とあったのでてっきりドイツの話かと思ってた私は、おっとどっこい私の第2の故郷ロンドンが舞台と知りにわかに親しみを感じました。
場末の貧民街と言えばイーストエンドだろうと思ったら、エンドはエンドでもウエストの方はNYのブロードウエイと並ぶ演劇の聖地ソーホーではありませんか。
しかしそれはソーホーの一面で、実際は今でも売春宿とかのぞき部屋のような一角も地味にあるし、ゲイバーやセクシーグッズのショップもある。バーとカフェがぎっちり、生地屋も多い(衣装製作のため?)100年前はもっといかがわしかった、それが三文オペラの舞台ですね。
そこにローリーさんの似合うこと!
「容姿に恵まれてはいない悪色男」って言われてもビジュアル化が難しいですが、ローリーさんの役がまさにそれ。
ローリー・キニアは私にとって「ハムレット」や「007」、「嘆きの王冠」の演技派のイメージがまずあって、その後「カムバック」「マンアップ」系のちょいゲス男もやけに上手くて大好きですが、
このマックも大変似合っていました。
それどころか、彼の「ゲスくても気品のある」キャラ作りというか、滲み出るものに大変救われていると思いました。
「みんなのシアター」ナショナルシアターとはいえ、乞食、盗賊、売春婦に囲まれた女好きの犯罪者を主役に見せるには、悪党の顔の向こうに気品がないといけないと思います。
そんな濃いキャラでもローリーさんの薄い顔立ちで、他のもっと濃い出演者とのバランスが取れていました。
ところで、社会の底辺の悪い男たちが幅を利かす世界で、女は男に翻弄されていそうで、実はもっと計算高くて強かなのがこの話のいいところなんですが、
・・・なんか最近こういう話あった、と思ったら「T2 トレインスポッティング」でした。
ケチな意見:
ナショナルシアターライブは、映画館の割引料金も適応されない特別枠上映なのですが、確かにこういう舞台記録というものは、見たい人は割引じゃなくても見に来ると思います。
でもそれならばなぜ私が見に行った映画館ではいつもの邦画の予告編も見せるのか。しかも高校生ものとか、客層外したらそれは拷問。
その後の、ナショナルシアターライブの予告、「ヘッダ・カーブレル」「誰もいない国」はもちろん見る方も嬉しいし、映画館としても適切な次の宣伝となりましょう。
シネコンだから、ありとあらゆる映画を上映してくれるのはありがたいんですけどね、それなら豊富なラインナップから、youtubeみたいに「これが好きならこれもどう?」的なお勧めしてくれたらいいのに。