2015/10/13追記:朗報!10/15(木)WOWOWで「ブロークン・ポイント」というタイトルで放送されます!楽しみですね~
先日、見られなかったアメリカのDVD、わが家にあったもう1台のプレイヤーで見られました。お騒がせしてすみません。アメリカの田舎に大家族が集まってひと騒動、って解説とトレイラーで「8月の家族たち」を思い出した私でしたが、まったく違ってました。(そりゃそうです)
『「8月」の方は舞台の映画化でしたが脚本がしっかりばっちりできててわかりやすかったな』と、こちらのDays and Nightsを見始めて、登場人物の関係もわかりにくいし、人物の行動の意味もエキセントリックでようわからん!と思ってDVDの後を見たら「チェーコフ」の「かもめ」が原作で、調べてみたら「かもめ」も戯曲でした・・・つまり、こちらも舞台の映画化・・・!
嬉しい驚きは、11人の登場人物のうち、ウィショー君はカバーの写真でも最下段、クレジットでも最後だったので出番があまりないんだろうと思っていたら、なんと主役らしく出番はずっとありました。
舞台は1984年のニューイングランド(米国北東部)。ウィショー君の役エリックは、原作ではコンスタンチンといい、大女優エリザベスの息子です。物語は、その女優である母と彼女の愛人ピーターがニューヨークから電車に乗って田舎の彼女の兄の家に来るところから始まります。その兄の家は小学校かと思われるようなステージまである大きな家で、そのステージの幕の中でエリックは彼のミューズの金髪美人エヴァと演劇の練習をしています。
で、その家には人が大勢いてその関係がわからず混乱したのですが、原作「かもめ」のあらすじを読んだらロシアの話だからか家族の中には家主や医者なども含まれ、同じ食卓を囲み、戸外でも同じ陣地でピクニックのように一緒にだらだらと過ごしているので血のつながった一族と思ったのです。ロシアでは共同体意識が強いの?
話の大筋は、エリックのミューズをめぐって彼とピーターとの緊張と闘いです。残念なのは、ウィショー君がその闘いのために本当に迷彩の戦闘服を着て顔も黒く塗って登場するのでせっかくの顔がよく見えないシーンが長い!ああ、もったいない。恋愛だけでなく、ピーターは作家で、エリックは作家志望なので、芸術の闘いでもあります。ちなみにエリックは前衛的で、原作でチェーコフが自己を投影したのはピーターの方で、本物チェーコフの写真を模した、このDays and Nightsのキャスト&スタッフによる写真が興味深いです。
本物のとの比較はコチラの記事に
女優達、レッドカーペットなどで見慣れた引き締まったボディではなく、みんなプヨプヨしてて、母世代は仕方ないけど、ミューズの美女でさえ素人っぽい体型だな・・・と、調べたら監督・脚本・ピーター役のクリスチャンという人の奥さんだったので、贔屓のヒロイン役か、と思ったら、またまたどっこい彼女はイギリス生まれのシェイクスピア俳優でした(!)。
他にも、ウィリアム・ハートやジャン・レノ、ケイティ・ホームズなども出演してインディー映画にしては豪華キャストです。ウィリアム・ハート演じるエリックの叔父ハーブがとても良かったです。重病人だけどヒョウヒョウと元気で、若くて前途がありながら鬱気質のエリックと好対象だったと思います。
DVDには削除シーンと舞台裏、キャスト&スタッフインタビューがついていました。(クリスチャンのコメンタリーも入っていて、製作裏話が聞けるかと再生しようとしたら、どうも何かの調子が悪く音声が出なくなってしまいました。こちらは聞けたらまたの機会にアップします。)
そのインタビューでウィショー君が「かもめの同じ役をまた演じるのは2006年の繰り返しになると思ったが・・・」と言っていて、彼は舞台で「かもめ」をやっていたのですね。その時のプロモ用インタビューが中国の動画サイトにありました。→ コチラ
「Come and see Seagull... cause, it..er...I think it'll be really surprising, ...and just funny ...and moving...strange....come and see gorgeous people, check it out.」
ええ、こんなかわいいウィショー君にこんなこと言われたらできるものなら行きたいですが、9年前じゃあね。・・・あ!だけどその時私ロンドンに住んでたんじゃないですか?!なんて惜しいことを・・・
2/25追記;
*エリザベスと愛人ピーターは、物語冒頭から倦怠ムードでした。落ち目の女優のステレオタイプのようなプライド高く我が儘な女と、愛の情熱は無くしたけどまだ離れてはいない男。その男とエヴァの会話を見て、ふたりに親密になるチャンスをけしかけたのはエリザベスなんですよ。彼女の狙いは何だったのかわからないな。
*上のウィショー君の2006年のインタビュー、顔があまりにかわいいので何回も見たので内容を書いておきます。
「2年前にやったハムレットと『かもめ』のコンスタンチンはとても似ていて、ふたつが共鳴して面白いのと同時に難しかった。でもやりたいと思ったのは、Katie Mitchellの作品の大ファンだからかな。2003年の『三姉妹』を見て圧倒されたんだ。リアルさが半端じゃなく、心に訴えて来て、見たことがないものだった。それでファンレターを書いた。一緒に仕事をしたいって。そしたらやることになって、夢が叶ったんだ。これは『かもめ』でも興味深い作品になった。Martin Crimpが脚色、Katieは戯曲の19世紀的要素、扇情的で情緒的な演劇の形式をなくしてモダンな劇にした。今の観客が距離を感じるような台詞も大幅にカットして。だからコンテンポラリーでキャラクターが分かりやすいと感じてもらえるといいな。みんなが自分の生活にもあると思えるように。それに舞台の特別な雰囲気もある。Katieはダンスや音楽を面白い方法で使ってチェーホフから解放されてる。魅力的で斬新だと思う。普通じゃない効果音もあるし、印象的なヴィジュアルの作品だよ。キャラクターが巨大な空間で漂流しているような感覚があるんだ。」ここから、上の英文の「見に来てね!」につながる。
(私としては、このブログで1個前でハムレットについて書いたばかりだったので、そこに1番反応しました!ふむ、このふたつのキャラは同じ種類か!)
それで、今度はDays and NightsのDVD特典インタビューでは、「『かもめ』の繰り返しはしたくなかった。」と今回も監督&脚本のクリスチャンに引かれたことを語ってました。
先日、見られなかったアメリカのDVD、わが家にあったもう1台のプレイヤーで見られました。お騒がせしてすみません。アメリカの田舎に大家族が集まってひと騒動、って解説とトレイラーで「8月の家族たち」を思い出した私でしたが、まったく違ってました。(そりゃそうです)
『「8月」の方は舞台の映画化でしたが脚本がしっかりばっちりできててわかりやすかったな』と、こちらのDays and Nightsを見始めて、登場人物の関係もわかりにくいし、人物の行動の意味もエキセントリックでようわからん!と思ってDVDの後を見たら「チェーコフ」の「かもめ」が原作で、調べてみたら「かもめ」も戯曲でした・・・つまり、こちらも舞台の映画化・・・!
嬉しい驚きは、11人の登場人物のうち、ウィショー君はカバーの写真でも最下段、クレジットでも最後だったので出番があまりないんだろうと思っていたら、なんと主役らしく出番はずっとありました。
舞台は1984年のニューイングランド(米国北東部)。ウィショー君の役エリックは、原作ではコンスタンチンといい、大女優エリザベスの息子です。物語は、その女優である母と彼女の愛人ピーターがニューヨークから電車に乗って田舎の彼女の兄の家に来るところから始まります。その兄の家は小学校かと思われるようなステージまである大きな家で、そのステージの幕の中でエリックは彼のミューズの金髪美人エヴァと演劇の練習をしています。
で、その家には人が大勢いてその関係がわからず混乱したのですが、原作「かもめ」のあらすじを読んだらロシアの話だからか家族の中には家主や医者なども含まれ、同じ食卓を囲み、戸外でも同じ陣地でピクニックのように一緒にだらだらと過ごしているので血のつながった一族と思ったのです。ロシアでは共同体意識が強いの?
話の大筋は、エリックのミューズをめぐって彼とピーターとの緊張と闘いです。残念なのは、ウィショー君がその闘いのために本当に迷彩の戦闘服を着て顔も黒く塗って登場するのでせっかくの顔がよく見えないシーンが長い!ああ、もったいない。恋愛だけでなく、ピーターは作家で、エリックは作家志望なので、芸術の闘いでもあります。ちなみにエリックは前衛的で、原作でチェーコフが自己を投影したのはピーターの方で、本物チェーコフの写真を模した、このDays and Nightsのキャスト&スタッフによる写真が興味深いです。
本物のとの比較はコチラの記事に
女優達、レッドカーペットなどで見慣れた引き締まったボディではなく、みんなプヨプヨしてて、母世代は仕方ないけど、ミューズの美女でさえ素人っぽい体型だな・・・と、調べたら監督・脚本・ピーター役のクリスチャンという人の奥さんだったので、贔屓のヒロイン役か、と思ったら、またまたどっこい彼女はイギリス生まれのシェイクスピア俳優でした(!)。
他にも、ウィリアム・ハートやジャン・レノ、ケイティ・ホームズなども出演してインディー映画にしては豪華キャストです。ウィリアム・ハート演じるエリックの叔父ハーブがとても良かったです。重病人だけどヒョウヒョウと元気で、若くて前途がありながら鬱気質のエリックと好対象だったと思います。
DVDには削除シーンと舞台裏、キャスト&スタッフインタビューがついていました。(クリスチャンのコメンタリーも入っていて、製作裏話が聞けるかと再生しようとしたら、どうも何かの調子が悪く音声が出なくなってしまいました。こちらは聞けたらまたの機会にアップします。)
そのインタビューでウィショー君が「かもめの同じ役をまた演じるのは2006年の繰り返しになると思ったが・・・」と言っていて、彼は舞台で「かもめ」をやっていたのですね。その時のプロモ用インタビューが中国の動画サイトにありました。→ コチラ
「Come and see Seagull... cause, it..er...I think it'll be really surprising, ...and just funny ...and moving...strange....come and see gorgeous people, check it out.」
ええ、こんなかわいいウィショー君にこんなこと言われたらできるものなら行きたいですが、9年前じゃあね。・・・あ!だけどその時私ロンドンに住んでたんじゃないですか?!なんて惜しいことを・・・
2/25追記;
*エリザベスと愛人ピーターは、物語冒頭から倦怠ムードでした。落ち目の女優のステレオタイプのようなプライド高く我が儘な女と、愛の情熱は無くしたけどまだ離れてはいない男。その男とエヴァの会話を見て、ふたりに親密になるチャンスをけしかけたのはエリザベスなんですよ。彼女の狙いは何だったのかわからないな。
*上のウィショー君の2006年のインタビュー、顔があまりにかわいいので何回も見たので内容を書いておきます。
「2年前にやったハムレットと『かもめ』のコンスタンチンはとても似ていて、ふたつが共鳴して面白いのと同時に難しかった。でもやりたいと思ったのは、Katie Mitchellの作品の大ファンだからかな。2003年の『三姉妹』を見て圧倒されたんだ。リアルさが半端じゃなく、心に訴えて来て、見たことがないものだった。それでファンレターを書いた。一緒に仕事をしたいって。そしたらやることになって、夢が叶ったんだ。これは『かもめ』でも興味深い作品になった。Martin Crimpが脚色、Katieは戯曲の19世紀的要素、扇情的で情緒的な演劇の形式をなくしてモダンな劇にした。今の観客が距離を感じるような台詞も大幅にカットして。だからコンテンポラリーでキャラクターが分かりやすいと感じてもらえるといいな。みんなが自分の生活にもあると思えるように。それに舞台の特別な雰囲気もある。Katieはダンスや音楽を面白い方法で使ってチェーホフから解放されてる。魅力的で斬新だと思う。普通じゃない効果音もあるし、印象的なヴィジュアルの作品だよ。キャラクターが巨大な空間で漂流しているような感覚があるんだ。」ここから、上の英文の「見に来てね!」につながる。
(私としては、このブログで1個前でハムレットについて書いたばかりだったので、そこに1番反応しました!ふむ、このふたつのキャラは同じ種類か!)
それで、今度はDays and NightsのDVD特典インタビューでは、「『かもめ』の繰り返しはしたくなかった。」と今回も監督&脚本のクリスチャンに引かれたことを語ってました。
でも、「ワーニヤ伯父さん」が「アンクル・ワーニャ」なのはいいとして、「かもめ」を「シーガル」と言われると、内心凄い違和感が……だって、有名な台詞「私はかもめ」(ロシア語では「ヤー・チャイカ」)を、英語で"I'm a seagull"とか言われると、つい「(かもめの)ジョナサン?」と言いたくなるんですもの。
>ロシアでは共同体意識が強いの?
隣の町まで馬車で早くて半日、天気が悪くて道が通行不能だと何日も陸の孤島、みたいなロシアの田舎では、農奴よりもう少し身分が高くて、字が読める程度の教養がある人たちは、地主階級の家に集って語らうより他することがない、ということではないでしょうか。領地が広すぎるのも考えものですね(ちょっと違う?)。
Days and Nights、日本でも公開してくれることを祈ってます。2014年の作品だもの、日本のベン・ウィショー人気にのっかってくれる配給会社があってもよさそうなものだっ。
それに家が学校みたいにステージがあって幕までついてるのも謎だし、
ダイニングも広くて80年代のニューヨークのロフトみたいにオープンな空間なのは80年代のアメリカ東海岸だからなのか、でも田舎の家だからNYの流行には関係ないだろうし、とにかくよくわからなかったです。
でも原作がロシア、と知ったら、なんとなくわからないことに納得です。
本当にまだ最近の映画だから日本でも公開してくれるといいのですけど
もし公開がなかったらDVD見ていただいて
hedgehogさんにロシアの解釈をお聞きしたいものです!
と言うと何だかつまらなかったようですが、とんでもない、実際に見ている間、私は大いに楽しんでいました。ベン・ウィショーのエリックだけでなく、ウィリアム・ハートとかマーク・ライランスとか、意外なくらい大物が顔を揃ってましたし、ちょっと意外なところではジャン・レノ! まさかここでお目にかかるとは思いませんでしたわ。
マーク・ライランスに喜べるならこの映画さぞかし楽しいですよね!
ジャン・レノは私もこの並びに異質さを覚えたのですが、
それがなぜかというとフランス語圏というよりも青い着ぐるみを着て
日本語を喋りそうだからなんです・・・
それにしても本当にエリックの行動は私にはわけがわかりませんでした。
ワシを殺したのは、あれは巣を見てたら襲われそうになって怖かったからでしょうが、そもそも、なぜ巣を見に行ったのかがわからない。
あの戦闘服もなぜなのか・・・単なるピーターへの敵意??
あとやがて作家として売れたこともよくわからないし・・・
まだ見足りないということなんでしょうかねーーー
同じウィショーで舞台「かもめ」を見比らべて、この映画の
どこが原作と同じでどこが違うのかを比べたいものです。
自分から見に行ったんだから、鳥が戻って来てあんなにびっくりしなくても――というか、あの高さからあの姿勢で落ちたら、鳥に襲われるまでもなく大怪我しそうなものですよね。
ちなみに元ネタでは、芝居に失敗してやけを起こして引っ込んだ後、恋しい彼女のもとに撃ち殺したカモメを持って再登場、という流れになっています。それを「これをあなたの元に捧げます」と言って彼女の足元に置くが、彼女としては前衛作家気取りの彼がカモメの死骸で一体何を表現しているつもりなのかさっぱり分からない――が、彼が去った後、彼がライバル視している売れっ子作家が彼女と死んだカモメを見て、短編小説の題材を思い付く。空を飛ぶカモメのように自由で幸せな娘を、通りすがりの男が退屈まぎれに破滅させる、という話。そして芝居が進むうち、娘はこの売れっ子作家の気まぐれを信じて家を飛び出し、「死んだカモメ」になってしまう、という次第。
でも、この映画ではハクトウワシ=エヴァではないので、ベン・ウィショーが死んだハクトウワシを彼女に捧げても話が繋がりません。(カモメと違って)大変貴重な鳥をうっかり殺してしまい、本当なら誰にも知られないよう死骸を処分すべきところを彼女に捧げてどうするの、受け取った彼女に通報しろとでも言うのかい?!
変更はいいんですが、変更したなりのおもしろさも欲しいんですが、
どこがどうおもしろいのかかなりわからない・・・・っw
鳥学者と鳥がかもめとは違う形で出て来るけれど、なんであの貴重な種の鳥がこのストーリーにでてきたのかがわからない。そのわりに卵が孵ったりしてドラマチックなので、親鳥が死ぬのと次世代の誕生で、作家の世代交代の隠喩なのかな?なんて深読みしてみたり。でもだったらどうなんだってくらいそれでもあまり意味は感じなくて。
あと、時間がたってミューズの女の子があの家に帰って来た後のエリックの行動もなぜだかわからない。もっと彼女を探して今追いかければ自分のものになったかもしれないのに。昔の彼女が変わってしまったらもはやミューズは死んでしまって、ミューズなしの人生は考えられなかったのかしら・・・