Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

巨匠たちの英国水彩画展

2012-11-22 20:01:00 | いろいろ
渋谷は東急文化村で開催中の「巨匠たちの英国水彩画展」に行って来ました。
Hedgehogさんのブログで、Parade's End原作者のフォード・マードックスの
祖父フォード・マードックス・ブラウンの絵もあると知ったからです!
BBCドキュメンタリーで、小説家は祖父ブラウンの絵のモデルをしていた話や
絵そのものも何点か見てますし、今、日本に来ているそのブラウンの絵を
孫の小説のドラマ化作品の主演俳優のファンである私が見逃してはいけない!
という謎の使命感に燃えて行ってきました!

2点あるブラウンの1点がこちら「ロミオとジュリエット」↓

有名なバルコニーのシーンですが、忍び込んだロミオはジュリエットの肩に腕をまわし、首筋にキスをしています。で片足はまだバルコニーの手すりに乗ったまんま。ジュリエットも両腕をロミオの胴体にまわしてますよ。見ていた60歳くらいの女性ふたりが「変なポーズねえ」と話してましたが、ロミオ達って確か15歳くらいなんですよね。情熱で我を忘れて恍惚となってるんじゃないかなあ。画家も小説家と同じく女性には情熱的だったとドキュメンタリーで言ってたから、シェイクスピアのイタリアのお話を借りて、彼の内面が表れているのかもしれません。。。

水彩画の発展した理由のひとつに「グランドツアー」という良家の子女の
個人的な修学旅行みたいな外国旅行があったと展示にも解説がありました。

ああ、まさしく「眺めのいい部屋」だ!あの映画でも、イギリスのお嬢さんが
イタリアに旅行したのが物語の始まりでした。そして、お嬢さんルーシーの
気取り屋の婚約者(ダニエル・デイ・ルイスだよ~♫)が、歩いていた彼女に
「Don't move!」とかなんとか言って指を合わせたフレームごしに彼女を見て
「イタリアの絵画のように美しい」と賞賛するシーンがありましたっけ。。。

当時グランドツアーに画家を同行させ行った場所を絵に描かせたそうです。
写真がなかった時代、絵で外国を思い出にしたり、未知の国に憧れたのでしょう。
19世紀になるとイギリス画家の作品にスフィンクスや中国も登場します。
ツタンカーメンの墓を発見したのもイギリス人でしたね。

18世紀頃の風景では、イギリスにも、イタリアで今も見るような古い橋があり、橋の上にずらっと石造りの建物が並んでいました。そうか、イタリアはフィレンツエなんて最低500年は建っているというくらい古い建物が残っているんだけど、イギリスは産業革命の時にそういうのが最新の建築物に一新されていたからだったんだ!

「ピクチャレスク=絵のような」は美しい風景の修飾語だそうで、そこに必要なアイテムに、城、教会、聖堂、険しい自然がありましたが、建造物は、城跡のように朽ち果てていても可だそうです!水彩画にもたくさん出てきました。それでわかったのが、イギリスの地方へ行くとよく荒涼とした城跡が観光名所として保護、公開されているわけです!そうか、メインになったり、遠景に配されたりと、名画の必須アイテムだから今もそのまま大切にされているんですね。

義母の生まれた北アイルランドに旅行した時に訪れた「ダンスール城」が描かれた絵を見つけました。そこも城と言っても絶壁の上に建っていたほとんどは戦いで焼け城主の一家は崖下に落ちて一族が滅んだ。。。という冷たい風が草の上をなめて行く北アイルランドの荒野にあまりにぴったりなお話つきの古城でした。

↓ 下のクリアファイルの絵が「ヒナゲシ越しのダンスール城」byアンドリュー・ニコル


写真はショップで買ったもの。スケッチブックは水彩画が趣味の義父に。ダンスール城のクリアファイルは義母に。クリスマスプレゼント用です。ロミオとジュリエットのカードは自分に。スケッチブックは金のロゴが綺麗です。



こちらの動画で展示がひととおり見れますよ。

[[youtube:_RSSumO-AOs]]



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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
しましまさん (hedgehog)
2012-11-22 23:43:29
あのロミオのポーズ、私はあのピンと伸ばした左手のほうが気になりました。不自然なポーズはラファエル前派の絵にはありがち、ということでスルーしちゃいましたが(←ひどい偏見)。

それより何より、ダンスール城に行かれたことがあるんですね! 実際に行ったことのある場所を描いた絵、となると感慨もひとしおですよね、羨ましいなあ~。
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こんにちは。 (たけ)
2012-11-23 11:27:22
そうか、『眺めのいい部屋』はグランドツアーから始まるのですね!最初映画を見た時、そんなにお嬢さんに虫がつかないようピリピリするなら海外行かなきゃいいのに…と思ったものでした。 なるほど…。
ピクチャレスクという概念と18世紀?に流行った廃墟はグランドツアーで結びついていた、とどこかで読みました。
この展覧会、廃墟好きの私も見に行かねばです…。
ありがとうございました。
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@hedgehogさん、ロミオの左手! (sofiaandfreya)
2012-11-23 15:49:05
体操のフィニッシュのように伸びてました!!
あれは情熱では説明できないものがありますね。
わかった、バルコニーまたいだ時に脚がつったけど
ジュリエットを前に後にはひけない少年の苦悩だ。。。w
真面目な話、そうですか、ラファエル前派のポーズの特徴なんですか。
つい奇麗に描かれた顔とか構図とか見てポーズのことを考えたこと
ありませんでした。勉強になりました。
次に絵を見る時はポーズにも注目して見よう♫

ダンスール城は、8月だというのに、曇りで風が冷たくて「何が嬉しくてこんな寂れた城跡を見てるのか。滅んだ一族の呪いでもかかってそうだ」と思ったんですが、この絵画展の解説で、恵まれない天候も廃墟も美しいとされていたんだと知り、目から鱗でした。

それに、ホントにこういう水彩画のお手本を、学校の図工の時間に見せて欲しかったですよね。透明水彩絵の具の良さもわかったし、学校の図工のレベルの低さにすごくがっかりしました!いいお手本と絵の具の種類を見せてくれるだけでも違うのに!

平日の昼間、平均年齢60歳くらいで混雑してました。
英国と水彩画って人気なんですね w
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@たけさん!廃墟好きなんですか!それはそれは。。!! (sofiaandfreya(しましま))
2012-11-23 15:58:43
そして、なるほど、「ピクチャレスクとグランドツアーは結びついていた」
私、展示の解説読んだ時にはひとつひとつ読んで「へえ~!」と思いましたが、結びつけられませんでした。
でも交通手段の発達で遠方へ旅行できるようになったのと
絵が結びついてるのは、今のガイドブックの写真なんだな、と
思いました。
それで展覧会でも、最初、風景画は写真見た方がいいなあ、と思ったんですが、
よく考えたら17~19世紀の風景写真って存在しないんだから、
そうか、絵を見ることはタイムワープなんだ!と気がつき楽しくなりました。
「眺めのいい部屋」でもイタリアへの憧れが随所に出てきましたね。
美術の歴史を知る事も、映画がいっそう楽しめるんですね~
たけさんも、ぜひ、廃墟見学へいらしてください!!
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しましまさん (hedgehog)
2012-11-23 22:38:58
>後にはひけない少年の苦悩

なるほど! ぽん!(←膝を打った音)

>そうですか、ラファエル前派のポーズの特徴なんですか。

あうう、自分で書いておきながら「ほんとにそうかよ?」とだんだん不安になってきました。ただ、私があのロミオの不自然にぴんと伸びた左手を見て咄嗟に思い出したのが、ジョン・エヴァレット・ミレーの「ロレンツォとイザベラ」だったもんで、つい。良かったら、この絵に出てくる不自然にピンと伸びた足を、ぐぐって確認してみてください。
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@hedgehogさん (sofiaandfreya(しましま))
2012-11-25 10:05:45
ジョン・エヴァレット・ミレーの「ロレンツォとイザベラ」見つけました!
ほ、ほんとだーーー!ロミオの左手に同じでした。
どっちかがどっちかに影響受けたと思えるほど似てました。
変ですよね~あんなポーズが日常に潜むなんて。。。。
いつか知りたい謎のひとつに追加します。
こんな些細なことが気になりだしたら、
もしかして「歴女」のドアをたたいてる?と自問しました。
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しましまさん (hedgehog)
2012-11-25 21:06:00
ね、似てるでしょ~?

>こんな些細なことが気になりだしたら、
もしかして「歴女」のドアをたたいてる?と自問しました。

私は「泥沼の戦線拡大」と称しておりますw 

ちなみに私は、「フォード・マドックス・フォードと悪魔の使途」というタイトルにつられて、好きでもないヘミングウェイの『移動祝祭日』まで読んでしまいました。

本当は、そんなの読むヒマがあったら『ネバーウェア』を読むべきなのに(頭の中はもはや大混戦)。

そんなことはさておき、真面目な話(?)、「ロレンツォとイザベラ」に描かれた不自然なまでにピンと伸びた足は、向かいの席の女性へのsexual intercourseをヴィクトリア朝風に表現したもの、という説もあるようです。となると、ロミオのピンと伸びた左手が意味するものは、ただ一つですが。
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@hedgehogさん (sofiaandfreya(しましま))
2012-11-26 13:55:18
「泥沼の戦線拡大」~~! その通りですっ。

ふむ。ヘミングウェイは、読んだこともないのに、私も好きではありません。
あの「男のロマンの香り」が受け付けられないので。
きっとフォード・マードックスも男のロマンは求めていたと思うけど
(作品そのものを読んでないので大きい声では言えませんが)
どこか内向的で自虐的だったのでヘミングウェイになれなかった気がします。
あー、よかった www

NeverwhereってTLで今良く見かけますね。
ラジオだったら熊ちゃんなしでもiPlayerで聞けそうですね。楽しみです!!
私も原作本があるなら読みたくなってきました。
そしてドイル本はなかなか進まない、と。

はい、ピンと伸びた足に意味をつけるなら、どうしてもそうなってしまいそうです。
でもそんな単純なことでいいの?と画家さんに言いつけたくもなります。
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しましまさん (hedgehog)
2012-11-26 21:24:46
フォードとヘミングウェイの取り合わせなんて全然ピンとこない、と思って『移動祝祭日』を読んでみたら、案の定ヘミングウェイにボロクソに書かれてました……フォードは、彼が編集していた文芸誌にヘミングウェイの文章を載せたこともあったのに。ま、フォード=クリストファーだとしたら、二人の意見や価値観が合うはずもないかw

iPlayer、ラジオのほうはBBCのサイトで簡単に聴くことができます。放送から1週間以内なら、何度でも聴けるはず。是非おためしください。
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@hedgehogさん (sofiaandfreya(しましま))
2012-11-27 20:14:40
「移動祝祭日」は小説ではなく日本風に言うとエッセイのようなものなのですね。
それで人をボロクソに。。。。
さっき密林見たら、後年に発表されたと書いてありましたが、
現在だったら情報スピード化につきフォード自身が読んで可愛そう。(涙)
ヘミングウェイも売れっ子のくせに大人げないな。やっぱヤナ奴。

昔、同じ会社に、ヘミングウェイを敬愛する服のデザイナーさん(偉い人)が
いらっしゃいまして、私の上司はゲイの男性だったので
その二人はお互いに忌み嫌っておりました。
ゲイと気が合う女ともヘミングウェイは相性悪い気がします。

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