このシリーズは実話を元に、被害者は有名ファッションデザイナーのヴェルサーチェ(日本語だと最後の「ェ」はない表記ですけど発音はチェなんですよね)。エミー賞で作品賞、監督賞および主演男優賞を受賞しているそうです。
でもそれよりも何よりも、私の動機は脚本のトム・ロブ・スミスでして、ベン・ウィショー主演のドラマ「ロンドン・スパイ」を書いた作家です。
連続殺人事件を9話に渡って描くこのドラマは、もちろん殺人シーンがあり血を見ます。しかし怖いのはそれだけでなく、1990年代のアメリカでは軍で同性愛は禁止だったため残酷な事件が起きたエピも非常に怖く、私はこのドラマが日本で見られる日を楽しみに待っていての鑑賞だったというのに、恐怖のため2話までしか見られませんでした。
しかし台風に襲われたこの2〜3日、スーパー台風恐怖におののき心が麻痺した隙を狙って残りを一気見することができました。
とてもよくできた脚本で時間軸の使い方が秀逸でした。
エピが進むにつれ、血が飛び散ることや暴力よりも怖いのは、犯人のアンドリュー・クナナンの人格ということがわかります。ドラマはそれを突き止める旅だったのです。
そして自身が同性愛者であるトム・ロブ・スミスによるゲイの社会的地位の現実をわかりやすく見せています。1話約60分の長さなので登場人物とその人間関係に時間をかけてあり、それぞれがゲイであることで社会でどのような目に遭っているかが描かれています。