リビングからの眺めが千鳥ヶ淵というお宅を訪問しました。木々の向こうには日本武道館の屋根も。マンションの主人は夫のクリケット仲間のイギリス人と日本人の奥様です。
東京一等地のモダンで大きなマンションや家に住む外国人は、夫の友人に少なくありません。うちは日本式に言えばサラリーマン家庭、イギリス式に言えば労働者階級ですが、日本に住む西洋人のイギリス式に言う中流(エリートサラリーマン=金融業界人または弁護士)の人は、階級の壁を越えてうちのような家庭も招いてくれます。さすがに上流(貴族)には招かれたことはありません(笑)。
で、そのご主人は、ご自身はケンブリッジ卒なのだけれど、前の奥様がオックスフォードに住んでいて(たぶん本人もそこに住んでいたんだろう)今もいい友人なので、今の奥様と一緒にイギリスに里帰りする時は、その家に泊まるのだそうです。そこでもちろん私は「モースで見たのでオックスフォードは私の憧れ!」と言ったところ、彼も「モースはいいよね。ジョン・ソー以外の役者は考えられないから筆者が続編は作らないと言ったんだよ。」と賛同してくれましたが、「実は若モースを最初好きになり、元の話を後追い中です。」と返した私にはそれ以上何も言ってくれませんでした。私の説明がよくわからなかったのかもしれませんが。筆者のコリン・デクスターもカメオ出演してると教えてあげればよかった。
ご主人の、前の奥様とのお嬢さんがイギリスから来ていました。うちの娘と年が近いので「遊び相手にいい」と両家喜ぶ。そのお嬢さんは寄宿制の女子校に行っていて、春休みは3週間半もあるそうです。夏休みは2ヶ月半。(いいの?授業料高いのに)で、私は彼女に会った時まったく予備知識なかったから、まず日本に住んでるのかイギリスなのかも知らなかったので「どこの学校に行ってるの?」ときいたんですね。そしたら返事が学校の名前だった・・・どうやら有名女子校らしいので学校名を答えるのが彼女にとっては当たり前だったみたいなんですね。
ご主人の弟さんもイギリスから来ていて、兄弟そろってケンブリッジ大だそう。だけどご主人の息子さんはオックスフォード。・・・そう言えば、このオックスブリッジ卒業生って、出会ってすぐ、初対面か2回目くらいに自分から言うんですよ。もしやつながりの糸口を求めて早めに出所を明かせば話が早いからかな。
そう言われても有名大学出身でない私は、「そうですか」としか返事でできず話題に困りますが、当人がエリートだということだけはわかります。ご主人はあと1~3年のうちに弁護士を引退したら、今は仕事で読んでばかりいるので余暇にまでやる気がしない読書とゴルフがしたい、とおっしゃってます。で、この方、玄関で出迎えてくれた時からリラックスしたいい人オーラを発していました。
奥様からするとけっこう年上でティーンエイジャーの子供ふたり付きのバツイチ夫なわけですが、「離婚の慰謝料で家計の収支は大変」と本人言いながらも立派なお住まいの暮らしぶりです。いい人そうだしこういう人となぜ結婚しなかったのか、と昔の私を責めました!
私がイギリスに興味を持って英語を勉強した原因は、もともとUKロック&ポップカルチャーでしたので、そもそもの出発点が保守的な価値観への反発だったのですよね・・・・その私がいなければ、今こうしてケンブリッジ卒の弁護士のおじさん紳士と話もしてなかったであろうというこの矛盾・・・
若い頃だったら、ゴルフが趣味で変なデザインのラグビーシャツを休日に着るおじさん紳士は私とは違う人種だわ(本来の意味ではそうだが)と思ったけれど、物腰柔らかくて、自慢げにではなく自分のことを喋るいい人だな~と思える自分に驚きました。人間ある程度の年齢になると反抗しようにも自分が大人なんだから反抗される側だし。
新婚1年の英日カップルのCDラックの一番目立つところには、ジョン&ヨーコの「Milk & Honey」が置いてありました。ジョンはバリバリ労働者階級出身だったし、ヨーコさんは名家出身のものすごいお嬢さんなんですよね・・・・