仕事上の関係で知り合った人が、病に倒れた。
ご家族によれば、すぐに手術だと言う。
一命はとり止めても、もう会うことはないかもしれない。
今年、初めて会い、それでも数十回は顔を合わせた。
大体、僕から話かけることが多かった。
無口でいて、温厚が伝わってくるような人。
印象に残っている言葉は
「中秋の名月、見ましたか?」
静かな語り口だった。
60代半ば、これから少しはゆっくり過ごせただろうに
僕はそんなことを考えながら、何年か前の秋服に身を包み、日毎に活気をなくしていく街を歩いた。
風が冷たくなった
まもなく木枯らしでも吹くのだろう
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