桜の開花は寒の戻りで遅々として進まない
「全然、咲いてないな」
若い声が通りすぎていく
青春は振り返るために存在することを
只中の人々は知らない
この世界はなるようにしかならない
この人生もなるようにしかならない
諦観はずっしりとした絶望と
掴みどころのない安堵が混じり合う
蒸し暑い部屋で冷たい汗を流したり
弱者であることを滲ませる強がりを口にしたり
大いなる鳥かごの中で小さく夢を見たり
そして、ついには行き着くところに行き着くのだ
只中にある人よ
これから花が咲き
暖かくなり
日も長くなり
どこまでも長くなり
いつしか闇は消えて
光に満ちた世界が完成されるね
目に鮮やかな青天井の下
足どり軽やかに美しく走れ
青春が振り返るために存在することを知る
その日までは