https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171110-00007014-nallabout-hlth
この研究グループは、他の研究結果も同様の結果が出ているため、温かいものはそのまま消化、吸収されるが、冷たいものは一旦、胃の中で温まるのを待ってから消化、吸収されるのではないか、とまとめています。
さらに、温かい飲み物に関しては、65℃で提供されたものを火傷しないよう冷ましながら飲んでいたため、胃に到達する頃には40℃くらいになっていると考えられるそうです。冷たいものを飲んでも温かいものを飲んでも胃での消化吸収は体温に近い温度になるまで待ってから行われているのかもしれません。
一方で、温かい飲み物で身体を温めてばかりいると、体内の熱産生が行われにくくなるのではないか、と言う説もあります。主な熱産生は代謝、エネルギーの産生によって行われますが、温かい飲み物で身体が温まることで、身体はそれ以上体温を上げる必要はないと考え、熱産生を活発に行わなくなるのではないか、というのが理由です。
さらに、国立がん研究センターでは、上咽頭がんの原因として「喫煙、飲酒、熱い飲食物もリスクを高くすることが確実とされています」と解説しています。
消化吸収や消化器官の負担を考えれば、温かい飲み物を飲む場合でも熱すぎるのは考えもので、体温に近い温度の飲み物を選ぶのが身体にやさしいと言えるかもしれません。
一般的に料理は体温±25~30℃が適温と言われていますが、酸味以外の基本味は温度に左右されやすいことも知られています。
例えば、甘味は体温付近が最も強く感じ、塩味と苦味は温度が低いほうが強く感じるといわれています。そのため、スープやみそ汁など、調理直後の熱いときにちょうどよい塩加減にしてしまうと、食卓で飲んでいる間に冷めて味を濃く感じてしまうということも起こり得ます。
また、幼児や高齢者の場合、温度の閾値が狭くなっていることがあります。病院でも、7度で冷蔵したサラダを患者様に提供したところ、「冷たい。歯が浮いて食べられない」と言われたことがあります。
■飲食物を美味しく感じる適温の目安
・サイダー:5度
・冷水:10度
・ビール:10度
・冷奴:15~17度
・酢の物:20~25度
・かゆ:37~42度
・温めた牛乳:40度
・酒のかん:50~60度
・湯豆腐・茶碗蒸し:60~65度
・スープ・紅茶・コーヒーなどの一般的な飲み物:60~65度
例えば、炎天下で大量の汗をかき、水分補給のためにお茶を飲むような場合、水分補給に加えて身体を冷やす目的も大切ですので、温かいものではなく冷たい飲み物を飲むほうが効果的です。
ここまで命に関わるような状態でなくても、寒い屋外から暖かい室内に入って飲む温かいコーヒーは、身体だけでなく心も温まります。飲食物はそれらの持つ栄養素だけでなく、「美味しい」ことによる「うれしさ」を得られる存在でなければ意味がありません。飲み物や料理は温度を上手く選んだり調節したりすることで、美味しい、うれしいを引き出すことが可能なのです。
必ずしも、温かければよい、冷たければよい、というものではありません。その料理の種類や、暑さ・寒さなどの環境、体調や気分なども考えて、飲み物や料理の温度に気を配られるのがよいと思います。