6日、文部科学省は、全国の国公立大学2次試験の出願状況を発表したが、少々意外な大学が2年連続で倍率全国1位となった。
少々受験をかじった者であれば、倍率だけなら東大や京大は大したことはないのはご存知のはず。長らく倍率1位の指定席は東京芸大だったが、今回倍率1位となったのは岐阜大学医学部で、募集人員55人に対し2373人の志願者を集め(後期日程)、倍率は実に43.1倍となった(2月6日現在)。
岐阜大学が、昨年度より医学部の後期日程の募集人数を増やしたこと、さらにセンター試験での足切りが無いことなどが人気の理由だというが、この驚きの高倍率も、ある高校教師に言わせれば「昨今の典型的な受験傾向」ということになるらしい。
この教師は、都内屈指の進学校に勤めているが、「この年代の生徒は、長く続いた就職難のイメージから、大学受験の際にすでに就職のことを考えている」と語る。それゆえ優秀な生徒は就職に強い理系に集まり、中でも医学部は大人気で「東大に入る力のある生徒でも、地方の国立大の医学部を目指す者が何人もいる」(同)らしい。
この教師は「最近の生徒は、たかだか10年前と比べても、良くも悪くもとにかく現実的」と語るが、今年度の受験生は、中高6年間を「ゆとり教育」の中で過ごした初めての学年。ことあるごとに「ゆとり世代」と揶揄される彼らだが、現実的な選択は、果たして吉と出るのだろうか?