脱ゆとり、夏休み短縮広がる…授業時間増加で

 夏休みを短縮し、最終日を8月31日より前倒しする公立小中学校が増えている。

 背景には「脱ゆとり教育」を目指した学習指導要領改定による授業時間の増加がある。

◆冷房完備

 「いよいよ夏休みに入りますが、今年からちょっと短くなります」

 今年から夏休みが8月24日までとなる大阪府豊中市の市立桜塚小学校。1学期最後の授業日だった今月16日、児童が担任の説明に「えー」と声を上げた。

 同市は小中学59校すべてで冷房の整備を終え、暑くても学べる環境を整えた。5年の女子児童(10)は「夏休みは短くなるのに、4年生の時より宿題が増えた。もう少し遊びたいけど」と浮かない表情。しかし、福森洋一校長(60)は「防犯教育やネットいじめ対策など、先生は授業以外もやることが多い。1日あたりの授業数が減らせるので余裕が生まれる」と期待する。

 大阪府では今年、豊中、泉佐野両市と太子町(中学校のみ)が夏休み短縮を新たに導入。小学校または中学校で実施する市町は22となり、全43市町村の半数を超えた。

◆指導要領を改定

 夏休み短縮は全国的な傾向だ。

 文部科学省によると、学校の休業期間は、各市町村教委が規則で定めている。北海道など涼しい地方で8月下旬に授業を再開するのは珍しくないが、9月1日だった多くの地域でも、夏休みを短くし始めている。

 東京都では、8月中に授業を始める小中学校は今年、17校増の771校で、全体の4割を上回った。宮崎県でも、26市町村のうち8割を占める。

 最大の理由は「授業時間数の確保」だ。

 2011~12年度から小中学校で全面実施された新たな学習指導要領では、約40年ぶりに授業時間数や内容が増えた。最低限必要とされる「標準授業時数」は、小学6年間で計278時限、中学3年間で計105時限増加している。

◆試行錯誤

 夏休み短縮以外にも、各教委は授業時間確保に試行錯誤している。

 方法の一つは、文科省が昨年度、授業時間に算入することを認めた「土曜授業」だ。全国で土曜授業を導入した小中学校は昨年度、12年度に比べほぼ倍増した。