SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
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グリーグ没後100周年特集(その3 モーツァルト2P編曲編)

2007年01月18日 23時58分08秒 | ピアノ関連
★モーツァルト:ピアノ・ソナタ&幻想曲~グリーグによる2台ピアノ版
            (演奏:エリーザベト・レオンスカヤ、スヴャトスラフ・リヒテル)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲~第2ピアノ伴奏譜:エドヴァルド・グリーグ
1.ピアノ・ソナタ第15番 ハ長調 K.545
2.幻想曲 ハ短調 K.475
3.ピアノ・ソナタ ヘ長調 K.533/494(第18番)
                  (1993年録音)

不思議なことが2つあります。
何故グリーグはこんなことをしたのかということと、何故かのリヒテル(とレオンスカヤ)がこの曲を録音したのかということです。

はじめの疑問には、ライナーノートに書いてある、書いてある。(^^)/
グリーグ自身も「当初は教育目的であった」と、私のような疑問が当然起きるだろうと想定し予防線張りまくりだったようです。2台ピアノや4手ピアノで音楽教育がなされるのが主流であった当時の事情から、自身の野心を前面に出すのではなく偶然の産物のように説明するシナリオは準備していたようですね。

しかしながら、実演に触れてグリーグの生きていた時代における当世風な響き、グリーグがその空気を吸っていたノルウェーの環境に適合した響きを実現できているという、手応えも摑んでいたようであります。

でもグリーグさん! 私にはやっぱり余計なことと思えてしまうのですが・・・。
というわけで、ごめんなさい。
いえいえ、私にもノルウェーの訛りはしっかり聴き取れるのですよ。でもですねぇ~、敢えて方言の合いの手を入れなきゃいけないという必然性が、どうしてもわからないと言ってるだけなんです。

2つめの疑問についてはディスクのオビに、リヒテルがかねてこの譜面に注目していたということが書かれているだけで、それ以上のことは私にはわかりません。

そしてパートナーがレオンスカヤであることを考えるとき、実は25年ぐらい何やかや組んで活動をしてきたレオンスカヤと何か共同の“目に見える仕事”を残しておきたくて、このレパートリーを選んだのではないかという気もしないではありません。
確かに晩年には、フィリップスだけでなくいろんなレーベルに録音を遺しているリヒテルですが、スタジオ録音を残しているのはごく限られています。それもどちらかというとレオンスカヤのホームグラウンドであるワーナー(テルデック)のディスクであることを考え合わせると、レオンスカヤの録音プランにリヒテルが乗っかったようにも見えるのですが、考えすぎでしょうか?

コチシュもリヒテルに乞われて練習にステージに相方として長年(といってもレオンスカヤのほうが長い)活動をともにすることがあったけれど、このようにメジャーなところで形として残っているものはないと思います。
こういうときの相手はやっぱり女性だよね、ってコトじゃないんでしょうか?

さて演奏はといえばもちろん長年のパートナーだけあって、息もあってるし悪かろうはずはありません。丹精ながら生気にもことかかない、いわゆる名演奏であるとおもいます。
しかしながら見紛うことないモーツァルトの旋律ではあっても、これを俄かにモーツァルトと言っていいのかという思いをどうしても禁じえません。
2台ピアノになっているだけあって、確かにシンフォニックにはなっています。
でもくどいようですが、初心者のためのやさしいソナタをシンフォニックにする必要があるのかと・・・。

実は解説にも書いてあるのですが、リヒテル・レオンスカヤのアプローチは中途半端なモーツァルト曲ではなく、モーツァルトを下敷きにグリーグの作曲した新しい曲と割り切ったうえで演奏しているということには首肯できます。
モーツァルトの曲じゃないということであれば、違和感はそれほど。。。

やっぱりこの旋律でモーツァルトじゃないと考える方に無理があるという結論じゃだめでしょうか!?

ご承知のとおりリヒテルは既に鬼籍に入っています。
キャリアの最後になって、記念にいいものが創れてよかったですね。
ジャケットの写真を見るだけで、功成り名遂げた父娘という感じでほほえましい思いがいたします。

それでも私なら、モーツァルトの2台のピアノのためのソナタとか、シューベルトの4手のロンド、幻想曲を残してもらっていたほうが、みんながハッピーだったかななどと思ったりします。
ん~、でもリヒテルさんがこれがいいって言うのなら。。。(^^)v

この特集3回目ですが、いよいよグリーグにぶん殴られるか化けて出られるかしそうになってきましたね・・・。
読んでるみなさんの枕元にも、グリーグの姿が現れるかもしれませんがお許しくださいね~。