朝から天気はパッとしない。
予報通り午後からは雨で、間の悪いことに午後から歯科の四度目のおやくそく。
一回目左上の型取りで二回目被せモノ。三・四回で今度は右上を済ます予定で本日最終回。
二箇所を4度の通院で済ますから、まあスムーズな歯科医院ではある。
「お座り下さい」「うがいをして下さい」と、言われたとおり難なくこなす。
で、先生がやって来て「はい、倒しますよ~」と言いつつ、操作ボタンを押す。
まったく、倒れない。
「ん??」とか言いながら、何度押せどもいじれども椅子は頑として動かない。
そう言うことで、隣の座席に移動を余儀なくされたものの、治療はスムーズに進行。
歯科医院の椅子に座って、動かない確率は限りなくゼロに近いのでは?
そう言えば、錠剤が立つこともある。
毎日2種類の錠剤を飲んでいる。
もちろんサプリメントではない、医者の処方薬である。
1錠は一日一錠、もう1錠は毎食後一錠で、たしか3月の始め頃から飲んでいる。
で、忘れないように薬の袋の後ろに、枠を作って飲んだらチェックをするようにして飲み忘れを防止している。
なに、忘れたって直ちに命に差し障るような薬ではないが・・・。
ほらよっ!と、パックからつまみ出してテーブルに放ると、何度かに一度くらいの確率で小さい方の錠剤が縦に立つ。
最初の時は、偶然だろうと思って見過ごした程だった。
が、何度か立つうちに一人で喜ぶのも何だからと、相方を呼んで自慢をしてやった。
「ああ、時々立つよね。私もときどきある・・・。」と驚くべき答えが。
こうなると、薬の錠剤が縦に立つ確率はかなりなものになって、歯科医院の椅子など問題ではない。
確率かァ・・・。
立つ確率、雨の降る確率、コロナに感染する確率、明日死亡する確率。
それぞれ、いろいろと専門的なややこしい計算になるのだろうな。
そう言えば、10年以上前に「このステージでの生検では、癌が見つかる確率は20%です」と言われたことがある。
「見つからない確率は80%と言うことですか?」と質問すると、「そうです」という答え。
「見つからないから、無かったわけではないですね。その時はどうするのですか?」と再び聞いた。
「場所を変えて生検サンプルを採取します」という答えだったが、最初の採取サンプルから癌が発見された。
これは又、今思えば「錠剤の立つ確率」や「歯科医の椅子が壊れる確率」の話よりやや深刻な話に属する。
私達の使う言葉は、とてもあやふやな基盤の上に立っているような気がする。
確率が数%であろうが99%であろうが、100%以外なら当人にとっては、五分と五分の50%。
有るか無いかの丁半でしかないではないか、などと。
妙に投げやりな結論になりつつあるが、その時の癌の確率が私に「立つ錠剤」を飲ませているのだ。
まあまあ、歯科医の椅子が動かなかった話だけに、奥歯にモノが挟まったような終わり方も仕方がない。
「急がないやらない価値もありそうな」・・・・しろ猫