【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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若い女性が初めて音楽産業のターゲットになった時代・・・ TVで「Princes Princes」を観ながら

2012年07月14日 | マーケティング話
自宅での作業の手を休め、TBS「音楽の日」を観てたら、再結成した Princess Princess の「Diamond」「M」がオンエア。

(1) 1982年に市場投入されたCDという、オサレで購入しやすいフォーマットの普及 (技術的要因)
(2) 安価で手軽なCDラジカセというハードの普及 (技術的要因)
(3) 1986年の男女雇用機会均等法施行を背景とした、労働市場への女性の一層の開放 (経済・社会的要因)

わが国のポピュラー音楽の“先導者”が、YAMAHAからSONYにバトンタッチされ、マス・マーケットの形成へ。
レコード=嗜好品が、オサレなCDとなって、社会進出を果たす若い女性が、音楽産業の大きなターゲットとなった。

(4) 1990年代の若年層をターゲットとしたカラオケの普及(自己表現の商品化 by烏賀陽) (メディア的要因)
(5) ドラマ・CMタイアップの全盛期へ (メディア的要因)

そんな時代の“申し子”の一組が Princess Princess なわけで。
Femaleバンドも多かったし、ピンでも多かった。

SNSでは、「メンバーの誰だれが老けた」といった声を聞くが、そりゃ時が経てば老けるって(笑)。
ただ、自分が気になったのは、解散によって生活の場が別々になり、各々の固有の人生を歩むことによって、一人一人の個人差(個体差)が顕著だったこと。
それは、このバンドだけのことではなく、どのバンドでもそう。
だから、再結成されたバンドを見るとき、感慨は深くなる。

で、彼女らの出番の後は、今日、記事をアップしたAKB48様。

う~ん、、、何回聴いても、「生身の人間の声」じゃないんですけどね(苦笑)。
曲は悪かないんだけどね。。。
パパパ、パフュームのように、一応「テクノ」つーことで割り切っちゃえばまだいいんだけど・・・。

そして次は、桑田佳祐。
この方は、昭和の青春歌謡のDNAなんですね。
地場は加山雄三と同じ湘南 (ミュージシャンとは、どんな音楽をやっても、出身地の雰囲気、色、空気感から自由にはならない、というのが私の自説)。
そのベースに、泥臭くてマニアックな米国のルーツ・ミュージックのエキスが染み込んでいる。
それが彼のオリジナリティ。

最後の最後に登場した、ベテラン男性5人組の皆様。
歌唱力、素人以下です。。。
おかげで私、NHK「朝ドラ」のテーマかかるたび、毎朝、気分が悪いです。。。
ドラマの内容は面白いんでなおさら苦痛・・・。
ゴスペラーズだよな、、、この曲歌っていいのは。

うわ~~~~~~~~~~、音程、フラットしすぎ、不安定にもほどがある!!!!!

今回は滅多に観ることのない「歌番組」の話題でした。

*タイトル写真は、拙宅マンション前の「中央公園(CENTRAL PARK)」。今日の午後、木陰のベンチでアイデアを捻出していた。

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「AKBビジネス」は、小泉改革後の「デフレ&格差社会の成功モデル」、ということ(井上)

2012年07月14日 | マーケティング話
フリーペーパー「R25」では、巻末で高橋秀実氏と石田衣良氏が交代で書いているコラムが一番好きだ。
2010年の11月の記事でも触れた)

で、7/5-7/18号、石田衣良氏の「空は、今日も、青いか?」第138回は「AKB48を考える」。
これが挑発的で面白い!

「社会現象となったAKBについて書いてみる」、と石田氏。
(以下、黒字部分は引用箇所)

「抗議も賛意も、どしどし送ってください。いいたいことを勝手にいっていいのが、言論の自由なのだ」

「だいたいNHKニュースまでアイドルグループの選挙イベントを流すなんて気持ちわるいよね、。バランス感覚を失っている。誰かがはっきり指摘したほうがいい。それは単なる美少女ビジネスにすぎない。ただの金儲けだ、あまり騒ぐことないよって」

彼女らのファンでなければ、ごく常識的な見解だ。

TVの番組収録でAKB48のメンバーと一緒になったことがあるそうだが、あんまり興味がなかったので、顔と名前が一致しなかったそうだ。
これも当然だろう。
もし私が石田氏と同じ立場だったとしても同じだろう。

「みな感じのいい女の子で、とくにかわいいともオーラがあるとも感じなかった。タレント個々については、好感情も悪感情もない」

言うまでもないことだけど、ファン以外の人にとってはそんなもんだ。
これも当たり前。

CDが売れなくなったから、ライブで日銭を稼ぎ、コアファンを高回転させる。
ソロのアイドルでは厳しいので、数の論理=「数を頼む戦略」(石田氏)をとる。
グループ内での苛烈な競争原理が発揮される。
しかも「地方分権」にも対応し、全国主要都市間での地域間競争を煽れる。
そういった厳しすぎる競争原理に対し、石田氏は違和感を覚えている。

「その女の子を応援するのが、デフレ下で大量に非正規雇用化している若い男性というのが、皮肉な哀感を誘う。何年たっても給料もスキルも上昇しにくい契約労働の男子が、ぎりぎりの競争を強いられた女子を必死に応援する。なけなしの生活費から、数十枚というCDの対価をしぼりだすのだ」

彼女らのファンの性・年代・職業別の正確なデータはないので断定的なことは言えないが、石田氏が言ったような男性の「非正規雇用」労働者がファン層のボリュームであるとは限らない。
私の知人でも、「握手会」とかに足を運んでいるのは正社員でそこそこの収入のある連中だ(これもバイアスかかってるけどね・・・)。
だから、統計的データではなく、マスコミで喧伝されているイメージで、石田氏が語っていると考える。

つまり「偏見」であり、「差別だ」と怒る方もいるだろう。
言うまでもなく、石田氏はそれを百も承知の上で、敢えて挑発的なメッセージを発しているのだ。
そんな石田氏を私は好きだ。

それに、石田氏の見方を、単なる「予断と偏見」として否定しきることはできないだろう。
男性の「非正規雇用」労働者が、ファン層のボリュームではなかったとしても、先端的なコア層を形成していることはまず間違いないと考えるからだ。
たとえ「AKB」がマスに浸透した現在でも。

「なんだか救われない話になってきたなあ」

と石田氏はぼやくが(笑)、たしかに救われない話だろう。。。

石田氏の見解を私流に解釈すれば、この記事のタイトルになるのだが、ある意味、「救われない」状況でも、“うまいビジネスモデル”を考える人は健在だし、それにつられるファン層も、「救われない」世の中を、意識することなく健気に生きてるのかなと(苦笑)。
これも「終わりなき日常」(宮台真司)を生き抜く上での術(すべ)の一つなのだろうか?



1ヶ月前に書いたが、そのビジネスモデルは「大量消費・大量廃棄」で古いと思う。
「アイドル」への欲求・欲望は、流行の循環こそあれ、普遍性をもっているとは考えてはいるが。

わが国の人口構成の変化を背景とした社会の成熟化。
そんな環境下、多くのカテゴリで、「顧客のエクステンションよりリテンション」というのがマーケティングの主流になりつつある。
が、AKB流ビジネスは、ますます“マーケティングの悪者化”を推し進めることになると私は考えている。
間違っても、「日本を救う!」なんて勘違いはしないでほしい。
「顧客生涯価値(LTV)」とは、長期的な視点かつ、顧客の幸せを中心に考えるもので、“使い捨て”の思想ではないと考えるからだ。

ところで、石田氏は、最後にこう言い放つ。

「恋や性が不潔で許せないなんて幼稚な押しつけで、アイドルを応援しないほうが、精神衛生上もいいと思うよ」

ま、このへんはね(笑)。
たしかにそれは言えるんですが、私は「アイドル文化」そのものは否定はしませんので・・・。
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