南の国の会社社長の「遅ればせながら青春」

50を過ぎてからの青春時代があってもいい。香港から東京に移った南の国の会社社長が引き続き体験する青春の日々。

南京のコンサート

2007-10-11 00:52:55 | Weblog
10月6日の南京のコンサートです。さて誰のコンサートでしょ
う?男性です。台湾の歌手です。去年、ジェイ・チョウを抜
て、興行収入(楽曲売上、広告収入などすべて含む)で台湾
のトップになったタレントです。タレントというより、歌手
ですが、自ら曲を作っていますし、数々の楽器をこなします。
そしてアン・リー監督の映画『色・戒』に出演しています。
さて、その人は誰でしょう。答えは、数日前の記事の中に
あります。

うちの会社は広告会社なのですが、このタレントを某カメラ
メーカーの中国での広告に起用して、キャンペーンを行って
います。日本では、キムタクを、そして韓国ではレイン
使っていて、このたび中国ではこのタレントを起用すること
になったのです。

仕事のことは一応守秘義務もありますので、あまり詳しくは
公開できないのが残念です。コマーシャル撮影や、写真撮影
で本人には何度かあったことがあります。タレントは裏表が
ある人もいますが、彼はイメージ通りの純粋な好青年でした。

中国本土で人気がある歌手は、だいたいが台湾か、香港出身。
台湾と中国は、政治的にはぎくしゃくしていますが、こと
音楽に関しては、台湾歌手が中国大陸の音楽ビジネスを独占
していると言ってもよいでしょう。台湾は、本土と同じ北京
語というのが強みです。香港の歌手は基本的には広東語なの
で、本土でヒットするためには北京語でも歌えなければなり
ません。

中国大陸出身の歌手は、フェイ・ウォンとかは別格として、
あまりスター性のあるタレントが育ってこない。何か田舎っ
ぽいのですね。(差別的発言失礼)それにひきかえ、台湾や
香港の歌手は、歌もうまいし、スター性もある。中国大陸は
音楽(ポップス)分野ではまだまだ発展途上国なのです。

シンガポール出身のステファニー・スン(孫燕姿)なども
中国本土では常にヒットチャートにいます。シンガポールも
言葉は北京語なのです。彼女はルックスもいいし、音楽性も
新しいし、けっこう私も気に入っています。

さて、南京のコンサートです。屋外スタジアムで開催されま
した。雨が降ったらどうなることやら心配したのですが、
その日は台風が迫ってきていたにも関わらず、いい天気で
した。まあこういう運を天にまかせる大らかさが、いかにも
中国的というか。

中国のコンサートは私はこれが二回目ですが、南京は初めて。
しかも屋外は初めてです。座席は公安(警察)が最前列およ
び通路側の席を独占しています。全部で何百人も公安がいま
した。デモを警備しているんじゃないんだかから、こんなに
警備する必要があるのかなと思ったのですが、まあ南京に入
れば南京に従えです。

前のコンサートでもびっくりしたのですが、コンサートでの
写真撮影、ビデオ撮影は全然OKなのです。かなりの人が、
コンパクトカメラ持参です。一眼レフを持っている女性も
何人かみかけました。ビデオカメラで撮影している人も
います。携帯で撮影している人もいます。日本とか最近の
状況はわかりませんが、以前、日本とか、シンガポールで
さえも、撮影は厳しく規制されていました。写真を撮ろう
ものなら、ガードマンが飛んできて、フィルム没収となった
のを何度か目撃しています。撮影に関しては、中国の公安の
人たちは全く注意をしません。これの大陸的大らかさには
感心しました。おかげで私も大々的にデジタル一眼レフで
撮影ができました。

もう一つ驚いたことは、コンサートで立ち上がることを公安
が厳しく規制したことです。日本では、というか世界的に、
コンサートで立ち上がるのは当たり前。クラシックコンサー
トならいざしらず、ロックや、ニューミュージック(古い?)
のコンサートでは立ち上がって聴くのがむしろ正常。
ところが、この南京のコンサートでは、立ち上がると、公安
がとんできて、モグラたたきのように座らせていくのです。
この管理的コンサートがいかにも共産中国です。

しかし、途中で、ゲスト出演した同じく台湾の女性歌手が、
「さあみんな立ち上がって!」と言った途端、全員総立ち。
公安は座らせようとしたのですが、やがて座らせることを
あきらめました。3時間ほどのコンサートの最後のアンコー
ルは、椅子の上に立ち上がる人が続出する始末。その時は
公安はなすすべなしでした。

後でわかったのですが、そのコンサートの一週間前、日中
国交正常化35周年を記念して、南京で谷村新司さんの
コンサートが開催されていたのですね。日本人としては
初めてのコンサートだったようです。「昴」が南京の街に
響いていたのですね。南京といえば、虐殺の枕詞のように
なってしまっていますが、自虐的に暗くなっているだけで
は健全なる友好関係は築けないのではと思います。

南京で過去に起こったと言われていることのどこまでが
真実で、どこまでが虚構なのか、情報が錯綜していて、
はっきりと断定することはできません。この件に関しては
あらゆる主張を話し半分に聞いています。この場合、安易
に信じることは危険のような気がします。

平原綾香さんも谷村新司さんと一緒に、この南京コンサー
トで歌ったそうです。彼女の『ジュピター』が新潟の地震
で打ちのめされた被害者の心を癒したように、中国の人々
の心を癒してくれたのではないかと思います。日本人の犯
した過去の罪はそんなことでは癒されるわけはないと言う
人もいるかもしれません。しかし、音楽には、人の心を癒
す力もあれば、歴史を変える力もある。そんなことを思い
ます。