終の棲家でのんびり暮らす田舎暮らし

リタイア後山中に終の棲家を建て、夫婦二人で自然すぎる環境での田舎暮らしは、どこまで続けられるか。

空飛ぶタイヤを観てあらためて

2018年06月30日 | つぶやいてみる

映画も面白いが、やはり原作本はもっと面白い

TOHOシネマズで、多くの皆さんはすでに「空飛ぶタイヤ」を観られたことでしょう。

私と池井戸潤(いけいどじゅん)との出会いは、皆さんと同じように『半沢直樹』でした。このドラマの原作になったのが「オレたちバブル入行組」、 「オレたち花のバブル組」で元銀行マンの真骨頂の作品でしたね。

すっかり池井戸作品の虜になった私は、刊行されている作品全てを読みました。

この映画、涙腺の緩くなった私は「落涙注意」を忘れ観てしまった。すべての映画・ドラマがそうだが原作本にすぐることはないと感じる。

大企業が製品事故に気づいてからリコール対策費が経営に与えるダメージを恐れて組織的隠蔽に走る。頭の中です~っと「さもありなん」と受け入れることに慣れてしまっていることは恐ろしい。ある物を無いと言い張れる世の中、それが通る社会。

どれもが読んで面白い作品ばかりだが、その中から「果つる底なき」、「架空通過」、「BT,63」の三つを選び皆さんにお勧めしたいと思う。

「果つる底なき」作品は、作家:池井戸潤のデビューとなった小説で江戸川乱歩賞を受賞している。主人公「伊木」に降りかかる怪事件、銀行を舞台にした小説だか手に汗握る「銀行ミステリー」だ。最初から「この人をひきつける魔力」、いまにつながっているのでしょう。

「架空通過」作品の主人公たちは一回目の不渡りを出し倒産の危機にある㈱黒沢金属工業の高校生の娘「麻紀」と以前商社で信用調査をやっていて、麻紀が通う高校の副担任の「辛島」の二人だ。

麻紀が父の会社の危機を救おうと「期前償還(きぜんしょうかん)」を「田神亜鉛」という地場企業に応じて貰おうと二人で行動するなかで降りかかる危険、地元の盟主である田神亜鉛の不正とその周辺にいる人々を巻き込んでの「田神券」をめぐる黒社会との繋がり。

「円」以上に力を持った闇の金、そこに狂った人々の騒乱、麻紀と辛島の二人に襲い掛かる危機、最後まで息が抜けない作品。

「BT,63」作品の主人公は大間木琢磨であるが、実は亡き父の史郎に起こったことがミステリーの本題だ。この小説はふたりが混沌と入れ替わる不思議な作品だ。

琢磨は金モールの入った亡き父の運送会社の制服を見つけてから、父・史郎の意識に琢磨の意識が同化する現象が起きるようになる。父には何があったのか?

小説のなかに出てくる闇の男「成沢」と義足の死神怪物「猫寅」、このふたりの怪しげな人物像には目が離せない。

産業廃棄物処理場の金属破砕機で猫寅の体が「ガツッ、ガツッ」と砕け散り物凄い血飛沫(ものすごいちしぶき)が上がる描写は頭が熱くなる。

読めば池井戸ファンが増えることでしょう。