『資本論』学習資料室

泉州で開催された「『資本論』を読む会」の4年余りの記録です。『資本論』の学習に役立たせてください。

第33回「『資本論』を読む会」の案内

2011-03-12 18:56:13 | 『資本論』

『 資  本  論 』  を  読  ん  で  み  ま  せ  ん  か 

                                    
                                    
                                     
 第33回「『資本論』を読む会」の案内文を出そうと思いながら、ぐずぐずしていたら、東北の三陸沖でM8.8という(後にM9.0に修正)巨大な地震が起こり、東北地方や関東地方を含めて、甚大な被害に見舞われる災害が発生した。


3月12日『朝日新聞』夕刊より

 とくに大津波の猛威は想像をはるかに越えるものであり、大きな船もろともに家屋までもを巻き込んで、一切合切を撫で斬りに流し去ってしまっている。家も何も跡形もなく、残ったのはただ瓦礫の山だけになっている。そこで生活していた人たちはどうなってしまったのか、その安否を思うにつけ、心痛の限りであるが、ただテレビの画面に釘付けになり、見入ることしかできない自分に歯がゆさを感じざるを得ない。

 おまけに福島原子力発電所では、地震によって緊急停止装置が働き停止したのはよいものの、緊急炉心冷却システム(ECCS)が作動せず、第一原発の建屋が骨組みを残して吹っ飛んだとニュースでは報じている。これはチェルノブイリ原発事故に相当する災害をもたらしかねない事態が生じていることを物語っている。放射能による二次災害はさらに広い範囲に長期間に渡る被害をもたらすことが予想される。まさに大変な事態である。

 考えてみれば、われわれ人類が築いてきた産業や毎日の生活の営みは、ただ地球のマントルの上べりにできた瘡蓋(カサブタ=地殻)の上にあるわけである。その瘡蓋は地球自体の長い歴史のなかで、火の玉の状態から徐々に冷却してくる過程で生じたものであるが、当然のことながら、今もって、その冷却は進んでおり、その冷却を媒介しているものがマントルの対流なのである。それによって地球はその内部の熱を宇宙に放出して徐々に冷えているわけだ。

 そしてそのマントルの対流に応じて、その瘡蓋は地球の表面を長い時間をかけて(われわれ人類の歴史から見て長いだけであるが)移動しており、日本列島は、そうした瘡蓋(プレート)の幾つかが地球内部のマントルにもぐり込んでいる場所にできた島である。


プレートテクトニクスから見た日本列島

 だから今回のような地震は当然予想されてきた。東南海地震とか南海地震というのがそれであるが、まさか三陸沖にそれが生じるとはあまり予想されて来なかったのではないだろうか。しかしそうであるなら、やがては来るだろうといわれている南海地震も、同じような甚大な被害を関西地方にもたらすだろうことは容易に想像できる。だから、これはまったく人ごとではないわけである。

 マルクスは社会の歴史を地球の歴史になぞらえて「社会構成体(Gesellschaftsformation)」という概念を提起している。マルクスはこれを地質学の用語からとってきたと言われている。

 〈社会史の諸時代は抽象的な厳密な境界線によっては区分されないということは、地球史の諸時代の場合と同じことだからである。〉(全集23a486頁)

 〈さまざまな地質の累層の順次的継起について,ひとは,明確に分離された諸時代が突如として現われるなどと考えてはならないが,さまざまな社会構成体の形成についても同様である。〉(『1861-1863年草稿集』9巻129頁)

 地球の歴史は人類の歴史からすれば、気の遠くなるほど長いスタンスで変化しているものであるが、同じように人類の歴史も決して不変ではなく、現在の資本主義的生産様式も、やがては新しい社会構成体へと移行する一時代が来るものと思われる。それは今回の自然災害をもたらすようなものではないが、やはり世界全体を巻き込んだ一つの生みの苦しみともいうべき陣痛を伴うものなのかも知れない。

 そうしたことを今回の地震で考えさせられた。

 『資本論』など読んでいる場合ではない、と言われそうだが、一応、会場の予約もあり、第33回「『資本論』を読む会」は予定どおり開催します。

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第33回「『資本論』を読む会」・案内


 ■日   時    3月20 (日) 午後2時~

 ■会  場   堺市立南図書館
           (泉北高速・泉ヶ丘駅南西300m、駐車場はありません。)

 ■テキスト  『資本論』第一巻第一分冊(どの版でも結構です)

 ■主  催  『資本論』を読む会


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