Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

読了「裸婦の中の裸婦」(澁澤龍彦・巌谷國士)

2020年09月27日 22時21分15秒 | 読書

 山梨県に降っていた強い雨は神奈川県に向って南下してきたがいつの間にか弱まって消えている。しかし富士山や箱根では80ミリを超える猛烈な雨の区域かあり、そのまま西に移動している。箱根を過ぎると20ミリ程度の雨になるようだが、確実に東進し、とうとう私の住むところでも本降りの雨となった。
 夜のウォーキングの予定であったが、断念。



 先ほど「裸婦の中の裸婦」(澁澤龍彦・巌谷國士、文春文庫)を読了。予定では12話(12の裸婦作品)は澁澤龍彦が全て執筆する予定も、癌により断念。巌谷國士が残り3話を引き継いだ。裸婦作品は11作品を澁澤龍彦が選択しており、最後のアングルについては、クールベかアングルかで悩んでいたらしいが、巌谷國士と協議の結果アングルに決まったとあとがきに記されている。
 巌谷國士はあとがきの冒頭で、
「澁澤龍彦は1986年3月号から一年間の予定で、「文芸春秋」誌上に連載を始めた。‥なによりも、それぞれの美術作品を、じつによく見ている、じつによく読み解いている、と感じた。澁澤さんの文章の根本のところには、しばしば「見る」という行為があるのだ。ます対象と向きあって、すみずみまで見わたして、肝心のものを見抜いて、それからまた自分にもどってきて、観念の操作をする。そのときすでに、観念はイメージとぴったり合致している澁澤さんの対象の読みかたは、いつも、「見る」体験と切りはなせないものである。」
と記している。

 「観念はイメージとびったり合致」していること、とは実に耳が痛い。私は少しは近づきたいものである。


「若冲」(辻惟雄) その4

2020年09月27日 20時10分08秒 | 読書

 水墨画で、私が好きな作品をいくつか。水墨画、好きな作品はいくつもあるが、3作品に絞った。



 本書では「野菜涅槃図」として取り上げているが、「若冲と蕪村展」(2015年)では「果疏涅槃図」となっている。この展覧会の解説には辻惟雄も解説を書いているので、「果疏涅槃図」と表記した。
 近年の研究で79歳以降の最晩年の作とされている。
「50種を超える野菜果物が、‥画箋紙に澱みなく描き分けながら、‥全体的構成への配慮も行き届いている。トウモロコシを沙羅双樹に、上から垂れる果実を摩耶夫人にといった、基地溢れる見立てを自ら楽しんでいる‥。若冲の感受性の健やかさを保証するものでもある。」
 実は私が一番最初に若冲を知ったときはこの作品であった。今から何年前の事であろうか。もうすっかり忘れてしまったが、最初に出会った作品というのは、印象深く、忘れることが出来ないものである。



 「五百羅漢図」は石峯寺に若冲(61~66歳頃、1776~1781)の指揮のもとに五百羅漢の石造群が作られた。
 この作品を群像図で、あまりに多くの羅漢が描かれている。しかし動植綵絵の鶏や牡丹の稠密な作品とは違って、画面に不思議な「く」の字、ないし段々畑のような秩序が設定され、落ち着いた構成だと感じる。羅漢の発する会話や所作による音も抑制的に聞こえる。また左から右上部にかけての空間と雲とその間に小さく描かれた羅漢の群れが、くどくないことに好印象を受ける。
 よく見ると象やその他の動物に乗った羅漢などが配置され、実に細やかな描写である。
 現在では、製作年代は1790年、75歳以降とされている。この書では取り上げていないが、1791年の「石峯寺図」と近い制作年代とされている。こちらの図も似たような羅漢が多数描かれている。
「渡海参集する阿羅漢縦50cm足らずの画面を埋めて描き込まれている。牛、象、鹿、龍などに乗ったり、三々五々談笑しあったり、ざわめきが響き上がってくるような賑やかさである。なかの一人が指さす、はるかかなたの雲上にも、豆粒のような羅漢の大群がみえる。若冲の心象世界の広がりを実感させる‥。」



 この作品「群鶏図押絵貼屏風」(1797、82歳)の図版。薄くて見にくいが、やむを得ない。
「それぞれ雌鶏と雛を従えた雄鶏が、一国一城の主よろしく、尾羽をふり立て、蹴爪をいからせて辺りを威嚇している。‥これまで無数に手がけてきた略画の鶏図ではあるが、画箋紙に墨を吸わせて羽紋をあらわす従来の工芸的手法を捨て、速度感ある運筆と、勅選、曲線の小きさみな対応によって、カリグラフィックな効果を狙うという新しい傾向がここにあらわれている。鶏の生態への感情移入など、海宝寺襖絵に通じ、それをより活力的に描き直したといえる面もあるが、筆勢の協調が、羽毛の感触や体躯のまるみの沈着な描出を犠牲にしたのはやむを得ない。‥八十歳をすぎて、なお新しい画壇の開拓を試みる若冲の意欲と、旺盛な筆力は驚嘆に値する。」
 私は音頭の尾羽の丸い描写が気に入っている。執拗ともいえるほどにこの描写を作者は繰り返している。この曲線に対するこだわりが出てきた由来や、解釈は分からないがとても気になる。

 この書が1974年に出版されて以降、「蔵と鯨図屏風」、「石灯籠図屏風」、「(いわゆる若冲モザイクといわれる)動物・鳥・花・果樹を描いたタイル状絵画」、「花鳥蔬菜押絵貼屏風」などはこの書では取り上げていない。やむを得ないとはいえもったいないと思った。


薄と彼岸花

2020年09月27日 16時23分59秒 | 天気と自然災害

         

 午後になって北側の雲が後退してきた。層積雲の切れ間から巻積雲や巻雲が覗いている。
 山梨県では猛烈な雨の区域があるようにレーダー雨量計には表示がある。神奈川県内では雨は今のところ免れている。



 団地の外でススキが美しかった。

     

 また例年よりもおそく彼岸花が蕾を開き始めた。例年には秋分の日の前にこのような状態になるので、1週間くらいは遅いと思う。咲くのはいつも同じ場所である。

 


晴間は一瞬だけ

2020年09月27日 13時34分30秒 | 日記風&ささやかな思索・批評

 午前中はオンライン講座。午後からは近くまで買い物に出かけることにした。ごく近くのドラッグストアまで。その後は読書タイム。
 すっきりと晴れるという天気予報は外れたようだ。厚い雲、それも低い雲が空を覆っている。今のところ太陽が顔を出したのはほんの数分だけであった。