Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

雁渡る

2020年09月15日 23時01分52秒 | 俳句・短歌・詩等関連

 最近はとんと雁が渡って来る姿を見ることがなくなった。1960年代前半、横浜市の西の端に住んでいたころ、近くの高台に上ると富士山や丹沢山系が近くにどっしりと見えた。その景色を背景に秋になると雁の渡る姿を時々見かけた。夕日に映えた富士山や丹沢の山々のすぐ上に見える姿は印象的であった。特に知識はなかったが5年生だったか6年生の私にもすぐに「あれが雁の渡りなのだ」とわかった。十数羽がさまざまに形を変えながらも独特の隊列で飛行する。学校帰りに一人で眺めていたら、傍を通る大人が「雁が来る季節だね」と会話をしていて、嬉しかった。同時に秋の寒さを感じた。多分9月も過ぎて、10月くらいに見かけたと思う。
 中学3年までその地に暮したけれども、中学生の頃にはすでに見た記憶がない。田んぼの農薬により、数が激減していた時期と重なるのかもしれない。
 今では横浜市の中心部におり、富士山や丹沢山系の姿は遠くになり、水田は近くにはまったく存在することはなく、その渡りの姿を見ることは無くなってしまった。
 富士山や丹沢に夕日がかかるのを見るたびに、雁の渡りを思い出す。

★雁のこゑすべて月下を過ぎ終る     山口誓子
★一列は一途のかたち雁渡る       西嶋あさ子
★亡き兵の妻の名負ふも雁の頃      馬場移公子

 当時、どこかの書物に、家族のきずなの強い雁は、先頭がかわるがわる交代して、お互いの疲労が均等になるように飛んでいる、という記述があったと記憶している。しかし私が見る限り、先頭を変わっているようには思えなかった。この話の真偽、だれか教えてくれないだろうか。
 さらにもう一つの雁にまつわる思いがある。伊藤若冲の動植綵絵には「芦雁図」があるのだが、大きく1羽を描いている。下りてくる様でる。これもまた雁の飛翔の特徴をよくとらえていると思うのだが、群れを成して飛ぶその姿を、若冲ならどう描いたのだろうか、その思いがいつも浮んで来る。それほど私はあの渡りの飛行が頭に残っている。



 


病院代がかさむ

2020年09月15日 17時11分08秒 | 日記風&ささやかな思索・批評

 整形外科にて右足の痛みの経過説明。そして足首化に下の浮腫みと両膝の痛みについて相談。血液検査、腰、膝のエックス線撮影などを行った。妻もまた腰の痛みについて診断を受けた。一週間後は連休なので混雑が予想されるため、再来週に再度受診予定。
 妻はリハビリを受けたが、私は特に受ける予定はないようだ。
 しかしかなり高額であった。エックス線撮影・検査等のためだろうが、痛い出費であった。本日はだいぶ混雑していた。検査やらでも時間がかかり、11時過ぎに受付したものの終了したのは14時。
 病院と最寄り駅の周辺には食事するところがなく、バスでJRの駅まで行ってようやく昼食。30分以上かけて歩いて帰宅。


愚感偶感

2020年09月15日 10時23分50秒 | 思いつき・エッセイ・・・

 自民党のつまらない総裁選挙、「身内の選挙だからとやかく言うな」というのは、総裁が総理大臣となるという意味合いの重さを無視している。
 この「選挙」の評価はただひとこと、自民党には自浄能力はないということ。日本という国が、戦後世界の理念である憲法を頂点とした政治理念や歴史観とは切り離されてしまって孤立を深めるばかりであることをさらに国の内外に宣言したに等しい。
 水準としては中国などの政治理念にますます近くなっている。憲法よりも閣議決定が上位であり、立法権よりも行政権が上位となり、議論を重視するのではなく上意下達で済ませてしまう政治である。
 議論が出来ない議員、憲法に則った政治理念はなく明治維新の亡霊にすがった議員しかいない自民党ということである。それが国会で圧倒的に多数を占めてしまったという呆然とするような現実。

 多分、政治の対立はますます亀裂が広がり、修復するのは今後ますます困難になると思われる。富の格差の拡大、貧困の深刻化、国民の階層の両極化、議員も官僚も経営も世襲化が進行、経済・教育・技術・科学あらゆる面で世界水準から取り残されることは間違いなさそうである。頭脳の国外流出も加速される。
 戦後75年といわれる。また新たな戦前になったともいわれる。しかし私はすでに国家の崩壊が始まっていると危惧している。
 たかが「政治」によって戦後75年が崩壊させられている、という危機意識が私の中で大きく膨らみ続けている。