Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

秋を惜しむ

2018年10月25日 23時19分25秒 | 俳句・短歌・詩等関連
メール閉じ一日終る秋深し     吉住外茂夫
★一滴に一音秋のふかみけり     吉本登美恵
★身を出でて離れざる影秋惜しむ   深谷雄大


 秋というのは、立秋から立冬の前の日までであるから、今年の暦でいえば8月7日(火)から11月6日(火)までとなる。本日は10月25日、あと12日で立冬である。秋を惜しむ時節であろうか。
 私は秋の深まりのイメージは都会にはない。色づいた樹々の間を落葉を踏みながら歩くことが最初に浮かんでくる。沢の音も欠かせない。樹の根元から水が沁み出て細い水の流れにであれば嬉しい。山道の水場に色づいた葉が張り付いているのもうれしい。水が冷たいと色が鮮やかになるように思われる。水の一滴ごとに映える色も音も違う。色と音に秋の深みを知る。水の流れる石も触れると冷たく、そして尖っている。そんな山道が好みである。

 都会の中では影が長くなり、夕方は眩しくなる。しかしこれは冬の方が私には相応しく感じる。プラタナスなどの大きな葉がばさりと落ち始めるとお祖迫った秋を感ずることはある。残念ながら都会の中では秋の深まりはあまり豊かなイメージが湧かない。たぶん慌ただしい時期と重なる40年間だったのが災いしているかもしれない。

 自分の影が長くなったと感ずるのは、確かに秋だが、私の場合は秋の半ば。やはり季節感というのは、個人的な要素が大きく作用する。これと一般的な暦の上の季節とのズレが、俳句の面白味でもあるといえる。
 

秋の終りに

2018年10月25日 21時06分30秒 | 俳句・短歌・詩等関連
★秋深し身をつらぬきて滝こだま    鶯谷七菜子
★独房に釦おとして秋終る       秋元不死男


 第1句、体調もだいぶ戻ったがまだまだ頭の反応が思うように回復していない。アルコールも解除されていない。紅葉の山の中で沢の音を聞きながら、温泉にでも浸かって療養したい気もするが、まだ無理である。療養の身に鋭い滝の音がどのような作用をするのか。気になる。

 第2句、秋元不死男は1941年に治安維持法による俳句事件で2年投獄されている。独房というのだから、多分「思想犯」として隔離されているのであろう。このさきどのような扱いを受けるのかまったくわからず、理不尽な扱いを受けたと思われる。独房で何をされるかもわからない。服のボタンが落ちた音が響き渡る寒々しい建物の中で時の流れを絶望のうちに聞く。
 80年近く前を忘れたかのような今の時代、どこか切実感がある句である。
 戦争はそれを体験した人が去った後、または体験が風化させられた時がいちばん危険である。再びそのように言われたくない。何かとてつもない支えを喪失したような時代である。

本日からの講座「キーワードで観る美術鑑賞」

2018年10月25日 17時30分15秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等


 本日の講座は神奈川大学の生涯学習・エクステンション講座で開講している「キーワードで観る美術鑑賞」。講師はいつものとおりアートナビゲーターの中村宏美氏。
 5回講座の内の第1回目「旅と絵画」。『「旅」を描いた絵画、「旅」をした絵画』ということで、ヴァン・ダイク、ティントレット、ヴェロッキオ、ゴヤ、パティニール、カナレット、ルーベンス、カミーユ・コロー、モネ、ゴッホ、ゴーギャン、藤田嗣治などを取り上げた。

 いくつもの美術展のチラシももらったが、三菱一号館美術館の「フィリップス・コレクション展」(~2.11)、国立西洋美術館の「ルーベンス展」(~1.20)、新国立美術館の「ピエール・ボナール展」(~12.17)に行ってみたいと思っている。

 いづれも11月に入ってから体調と相談しながらとなる。

 また来年4月から東京都美術館で「クリムト展」も予定されている。クリムトは「ユディット」しか知らないので、全体像が見られる今回の展覧会は見逃せないと思っている。
 その前に横浜美術館の「駒井哲郎―煌めく紙上の宇宙」(~12.16)と「コレクション展」(~12.16)を見に行きたい。