

昨日すでにこの作品の概説とクラリネットによる原曲の感想を述べた。ヴィオラ版はブラームス自身の編曲である。
私はこのCDを何回聴いただろうか。こちらの方がクラリネットによる昨日のCDよりも多分5年ほど後の1988年頃に購入している。しかし聴いている回数は特段に多い。他のCDに比べても再生回数はすこぶる多いと思う。昔のレコードならば溝がすり減って買い直さなくてはいけないほどに何度も聴いたはずた。
ヴィオラの音が実に艶やかである。今井信子の演奏はこのほかにバッハの「無伴奏チェロ組曲全曲」を持っているが、私はこのブラームスを惹いたCDが好みである。ヴィオラという楽器がこんなにも艶やかで、メリハリが効いて、ソロ楽器として活躍するというのをはじめて知った。
このブラームスの作品120にしても、昨日のCDによるクラリネットの演奏と比べてヴィオラパートが浮き上がるように聴こえる。ヴィオラとクラリネットの違いなのだろうか、演奏家の問題なのか、ピアノとの音量のバランスの差なのか、私には答えを出す力はない。
このCDの方がパアノは伴奏に徹しているのだろうか。そうするとピアノとヴィオラ、あるいはピアノとクラリネットが対等で対話をするソナタとはいい難いかもしれない。ブラームスの本来意図したのはどちらの演奏なのか、これも私にはわからない。
しかし私は今井信子という方の力量の大きさだと思うことにしている。
一緒に収録されているシューマンのヴィオラとピアノのための「おとぎの絵本」もいつの間にか覚えてしまった。シューマンに多大な影響を受けたブラームスの晩年の作品と、シューマンのやはり晩年(死の5年前)の作品を比べるのもまた面白い。40数年の時間差があるが、シューマンの曲もみずみずしい。
