ガリレオの映画版の原作となるシリーズ3作目を読んだ。さすがに短編集よりも時間がかかったが、一気に読んでしまった。
この本では犯人を主人公として描いている。数学者の恋と、物理学者の友情の物語だ。
数学者は恋に自分を犠牲にし、物理学者は二人の友人の狭間で揺れ動く。
今回は数学者である石神が、好きな女性のためにトリックを考え実行する。
トリックは何重にも用意されており、警察も読者も最も重要なことにだまされる。
数学の難しい問題がトリックになっている訳ではない。数学的な発想、文中の表現を使うと「幾何の問題と思わせて、関数の問題になっている」のだという。それくらい発想の転換をしないと解けない難問なのだ。
しかし、こうも言われている。「天才のやることはシンプルだ」と。
きっと、トリックの真相に誰もがなんだそんなことかと思うだろう。それは完璧であるトリックとも言えるし、誰も想像しえなかったものだ。と、同時に涙が溢れる。湯川が「石神の愛情の深さが分かる」と言った通りで、最初から全てを見越してそこまで考えてあったのかと驚かせる。
ラストは感動的だ。
ページの大半がアリバイを崩そうとする警察の動きが描かれている。その速度が遅々として進まず、全体的に地味な印象がある。
著者の文章も大仰な表現をしない。しかし、ちゃんと伏線が隠されていて、最後に全てが結実する。それはまるで石神が仕組んだ通りの物だろう。
映画ではこれをどのように表現するのか楽しみだ。最終シーンまでに、観客を飽きさせない様々な演出が必要だろう。ラストシーンを感動的に描けないと成功とは言えない。
amazon:容疑者Xの献身
本を読んでから見ると、どのレビューも面白く読めるんでしょうね。
佐藤浩市も良いですね。「ザ・マジックアワー」良かったですよ。
「ザ・有頂天ホテル」にも出てましたね。
機会があれば、歌野さんの「葉桜の季節に君を想うということ」も読んでみてください。
クライマーズ・ハイはテレビ(NHK?)で佐藤浩市で見ました。良かったですよ。映画版も見たいです~
最初にホームレスが出てきたときに、何か意味があるんだろうなと思っただけで、その後はすっかり忘れていました。
それよりも、アリバイの方が重要だったじゃないですか。根本的に騙されていましたね。
堤真一って、私の中では地味なイメージだったのですけど、先日のクライマーズ・ハイでは好印象でした。
イメージが違うのは確かですね。石神という人物の女性に対するコンプレックスを彼で描けるとは思えませんね。柴崎コウの存在が、この作品の大きな原作との違いですから、そう来たかという感じではありますが、石神のイメージの違いは事件の根幹に関わる設定変更と言えそうですね。
以前、歌野晶午の本で 思いがけないトリックにすっかり騙されたのを思い出しました。
ホームレスの顔ぶれがなんとなく足りないなぁと思ってたけど思い込み激しい方で(笑)母娘が崩れるんじゃないかとハラハラしてしまいました。
映画では堤真一が数学者の役に?
ちょっと違うと思いませんか?観客動員のためには仕方ないか…。