ただの備忘記録

忘れないように記録を残します。忘れるから記録に残してます。そして、その記録が役立つといいかな。

映画「クライマーズ・ハイ」

2008年07月09日 | 映画
日航機の雄高山墜落事故を巡る地方新聞社を舞台にした映画だ。
新聞社に速報が流れる。編集部は事故の知らせに沸き立ち、情報を得るために各人が様々に動き出す。
社内の異端児、悠木が全権デスクに任命され、集められた記事を紙面に投入する。そこにも社内での確執がある。広告を削ると営業部を敵にし、締め切りを遅らせると配送部を敵にし、他面の記事を削ると同じ部署内でも敵を作る。
政治部の記者、佐山は独自に情報を収集し、行方不明機の墜落先が上野村だと推測する。悠木に速報よりも早く事故の発生を告げたのも彼だった。
現場の記者は必死に事実を集める。しかし、社内の問題で必ずしも記事が紙面に載るとは限らない。スクープも慎重になりすぎると他社に先んじられ、確認を怠ると偽りの記事となる。

佐山の記事は、涙を誘う。しかし、泥だらけになった佐山が朝刊を握りしめて編集部に戻ったのは、自分の記事がなかったからだ。
佐山役の堺雅人の鬼気迫る演技は見事だ。存在感が全然違う。しかし、大人しくなるとすっと見えなくもなる。

その後、事故原因のスクープで一悶着がある。
最後は、事故の機内から見つかった遺書が佐山によって読み上げられる。父親が書いた家族へ宛てた最後のメッセージだ。

新聞社の内部にそれぞれの役割があり、決して記事だけでなりたつものではないことが分かる。しかし、新聞の源は記事であり、それを生み出すのは記者だ。記事から新聞を作るという難しさも良く分かった。
現場の惨状を見たカメラマンはその光景が忘れられずに、生々しい記事を書くものの、それは遺族に読ませたくないとキッパリ言うのだ。真実も読者があってのものでなくてはならないということだ。

凄惨な映像はないので、純粋に新聞社というものが、どうやって動いているのか、社会ドラマとして十分に堪能できる映画だった。