蛇口が取れた

4年半の杭州生活を終え、ついに帰国。現在、中国人化後遺症に悩まされ、好評リハビリ中。

論語ミュージカル

2010-02-24 12:51:48 | テレビ・映画
上映当初からかなり批判を浴びていた。
大人気の『阿凡達』(2D版)に代わり、
全国で一斉に上映されたため国策だと罵られた。
不幸なはじまり方をした映画、それが『孔子』だ。

孔子を知らない人はいないだろう。
この映画は魯国の官僚であった時から、
流浪し死に至るまでの孔子の半生を
果敢にも描こうとした意欲作だ。

しかし、「描こうとした」にすぎない。
少なくとも、私はそう感じた。

脚本は苦労したのであろう。
所々に『論語』の文章が登場してくる。
普通のセリフにまぜて、『論語』が現れる。
まるで、突然歌い出すミュージカルのように。

途中、老子も登場する。
孔子meets老子。
当然、老子も歌い出す。
「上善如水」などと歌い出す。

苦労はわかる。
しかし、技に溺れた感がある。
いかに、『論語』を破綻なく織り交ぜるか。
そこにのみ意識を集中していたのかもしれない。

そのせいか、残念ながら、人物像が薄っぺらいのだ。
孔子の苦悩があまりにも軽い。
弟子の顔回や子路の死に直面しても、
見ている私は、感情移入ができないでいた。

孔子役は世界的な俳優チョウ・ユンファ周潤発)。
さすがの熱演である。
視線一つで、手の動き一つで何かを表現しようとしてた。
だからこそ、もどかしかった。
脚本の甘さがもどかしかった。

果敢に挑戦した。
しかし、「聖人」を扱いあぐねていた。
どうも、そんな感じがする作品だった。

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