蛇口が取れた

4年半の杭州生活を終え、ついに帰国。現在、中国人化後遺症に悩まされ、好評リハビリ中。

あわてんぼうたちの集い

2011-04-06 01:33:13 | 杭州・杭州周辺
前回、情報のばらつきについて書きました。
情報が限定的であればあるほど、
人々は不安に駆られ、最悪な場合は恐慌状態に陥ってしまいます。

日本でも、隠さずに、小出しにしなければ、
もっと冷静に考えることが出来ることもあるのではないか、
という風にも思います。

さて、話題は中国のことです。
前回お伝えしたように、中国でも連日、地震・原発は話題。
特に原発問題は、大変興味深い模様。
なにせ、中国にも原発たくさんありますからねえ。
(ちなみに、原発は中国語で「核電駅」と言います。)

日本でもどうやら報道されていたようですが、一時、塩が市場から姿を消しました。
これも元はといえば、ネットでの流言が発端。
いわく、「海がやばいから、塩やばいぜ」というもの。
(しかし、最近の動きを見ると、笑い事じゃなくなってきているけど・・・)

これを真に受けた人々が、塩の買い占めに走ったわけ。
実際、その最中に、相方の家族から、
「中国に来るなら、塩買ってきて」との依頼があったほど。
なにせ、事の発端が、まさに杭州だったもので。

この騒動、「塩、在庫、ものすごくあるんですけど」という確かな情報が流れて、
一気に収束していきました。
そして、あとに残ったのは、返品騒動と、
そして、流言を流した人物の10日間の拘束。

それ以外にも、いろいろ敏感に反応しています。
前回の写真をいまいちどよ~く見て下さい。
これ、薬屋さんの扉に貼ってあったもの。
「輻射」というのは、「被ばく」のこと。
つまり、「抗輻射」というのは、「被ばくに効きますよ」ということ。
その薬が、緑茶っていうんだから、あんたねえ、ですが。

さらに、今回の写真。
これ、社区の入り口近くの掲示板に貼られていたもの。
何かというと、

「核(放射能)知識講座開催についてのお知らせ」

全部訳すと、
「近頃、日本の放射能漏れがみんなの関心を引いているけど、
これって私たちの日常生活にとって一体影響は大きいの?
そういった放射能知識を普及するために、
社区は3月25日(日)午前9時から社区のレクリエーションホールで
放射能汚染とその対応についての専門講座を開催することにしました。
みんな来てね。」
ってことになります。

素早い対応に感心。
でも、25日って日曜日じゃないんだよね。
ちょっと慌てすぎ。

でも、実は日本人が鈍感すぎるって気もしないではないけど。

打てる手は打つ

2011-03-30 11:26:03 | 杭州・杭州周辺
大震災、原発事故と不安な日々が続きますが、
みなさんいかがお過ごしでしょうか?

連日の報道にあるとおり、在日外国人が国外に退避しています。
私が住む街にはフランス人が多くいるのですが、
どうやら早々に退避していたようで、早くから姿が見られなくなりました。

そんな中、我々一家も夜逃げ同然に日本を離れました。
目的は一つ。
ちびりんこを守るため。

うちのちびりんこは、生後10ヶ月余り。
大人なら問題ない値でも、彼にとっては重要な問題。
今後の彼の人生のためにも、打てる手を打とう、
それが、我々の出した結論でした。

保育園にも無理を言って身体検査を早めてもらい、
17日夜、羽田から韓国ソウル経由で上海入りをしました。
ちびりんこの体に負担をかけるのではないかと心配をしましたが、
幸いにも体調も崩さず、元気に中国まで無事たどり着きました。
(それにしても、仁川空港、ちょっと不満。
子供のミルクを作るのに、お湯がなかなか手に入らず、あまり優しくない空港だと感じました。)

現在、彼は問題なく元気に過ごしています。
今しばらく日本の様子を見てから帰国ということになりそうです。
(なお、私はすでに帰国しています)

さて、なぜ在日外国人はいち早く日本を脱出したのか。
一つは、もちろん「帰る場所」があるから。
脱出する場所があるというのは、この場合間違いなく強みです。
私も中国にいるとき、何かあったら日本に戻るという選択オプションをもっていたのは、
実際使う場面はなかったものの、心強いものでした。

それと、中国のみとの比較ですが、
中国人は基本的に政府を信用していない、というのがあります。
というより、日本人は政府を基本的に信用しすぎているということです。
日本人は頭のどこかで政府が自分たちを最終的には守ってくれると信じているのだと思っております。
もちろん、私も日本人ですから、中国人よりも政府を信用しています。

ですが、中国人(恐らくほかの外国人も)は、
政府の出す情報は嘘が混じっている、むしろ本当のことは言っていない、
と思っているために、自分の身は自分で守るしかないと考えているのです。
そう、ポイントは「自分の身は自分で守る」ということなのです。

さらには、情報が中心から離れれば離れるほど限定的になり、
それがために、恐怖が倍増されていくということもあるのかもしれません。
中国でも連日特集を組んでニュースを流していましたが、
津波の映像、破壊された町の映像、原発から漏れ出る放射性物質の情報などを中心的に取り上げ、
日本のテレビなどで連日報道されているような復興への努力や
放射性物質がどこまで危険でどこまで安全かということについては、さほど報道されていません。
報道されていても、今の段階では中国での生活には直接関係していないので、
日本人のように真剣に番組内容を捉えてはいないのかもしれません。

いずれにしても、「地震」「津波」「原発事故」というキーワードだけが人々に印象付けられ、
そのため、逆に「大変だ」「危険だ」という気持ちが膨らんでいくのだと思います。
恐らく、国外退避をした人たちの中にも、母国にいる家族や友人からの強い勧めによって決断したという人たちが多くいることと思います。
実際、我々もそうでしたから。

ほかにもまだいろいろ理由はあると思いますが、
在日外国人たちは、いろんなことを判断した上で退避したのだと思います。
中には、「逃げた」と批判する向きもあるみたいですが、
逆の立場になれば、そう判断するのも止むを得ないということに気づくはずです。

今、東京では水の購入が困難な状況になっています。
無駄な買占めはもちろんいけませんが、
それを一面的に批判するのもどうなんだろうと思います。
お年寄りが水をたくさん買っているのも、
もしかしたら、乳飲み子の孫のために買っているかもしれないですし。

人が何かをするとき、
人それぞれの事情・背景があって行動を起こします。
もちろん、全てが正しいというわけではないのですが、
こんなときこそだからこそ、
様々な「どうだろう?」という現象を一面的に捉え批判せずに、
冷静に判断できたらと強く思いました。


それにしても、政治家がここまでダメダメだとは正直がっかりですが。

残念でなりません

2010-09-21 00:12:37 | 杭州・杭州周辺
最近の日中間の衝突の中、
杭州の日本人学校に煉瓦が投げ込まれたという記事がありました。
(http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010092000256)

杭州の日本人学校は、
2年前に杭州の日本企業を中心として、
中国政府の認可を経て設立されたものです。
設立に際しては、私も縁あって少々協力させていただきました。
といっても、あることに名義を貸しただけなんですが。

日本人学校のある場所は杭州郊外の下沙というところ。
ここは、近年の経済発展に伴い急速に開発が進んだ場所で、
多くの日本企業もこの場所に会社や工場を置いています。

近年、中国の多くの大学が市街地から郊外へキャンパスを移しています。
杭州も例外ではなく、市街地のキャンパスを売却し、
その資金を元手に郊外の下沙に移ってきた大学がたくさんあります。
(杭州市が下沙を大学街とする政策をとってもいます)
私の職場も実はそこにありました。
(自宅は市内でしたけど)

記事によると、自転車3台に分乗した6人の若者が目撃されたとのこと。
ここで、軽々しく判断するわけにはいきませんが、
どこかの学生であった可能性も否定することはできません。

もしそうであれば、残念です。
非常に残念です。

2005年に中国全土で反日デモがあったとき、
杭州でもデモはあったと聞きます。
しかし、さほど大きなものではなく、
多くの善良な中国人たちはこういった動きに反対だったようです。
そういった話を事前に聞いていたため、
私は何の心配もせず、2005年の秋に杭州へ渡りました。

2008年、北京オリンピックの聖火リレーがフランスで妨害されたとき、
杭州市内にあるフランス資本の大手スーパーへ向けてデモが起こるという噂が流れました。
しかし、それも関係各位の努力により未然に防ぐことが出来たようです。

今回の出来事は一部の若者が起こしたことであり、
また実際にけが人が出たわけではないので、
過剰に反応する必要はないかもしれません。

しかし、なぜか、
自分でびっくりするくらい、
このことを残念に感じています。
不思議なくらいがっかりしている自分がいます。
はっきりと理由はわからないのですが、
残念だなあ、という気持ちが私の心を支配しています。

もう、こんなことは起こってほしくないです。

奮闘の記録

2010-02-28 12:35:18 | 杭州・杭州周辺
それにしても色々な物が壊れたものだ。
回顧がてら、何が壊れたか挙げていこう。

まずは、蛇口。
これからこのブログの歴史ははじまった。

その後、順不同で、
給湯器、シャワー、トイレ、
玄関のカギ、ケーブルテレビ受信機、
電話、DVD機、ラジカセ、洗濯機。

その他、
水漏れで壁が大変なことになったり、
長時間断水になったり、
6階なのにトカゲが出現したり、
隙間風がいくら頑張っても吹き込んできたり。

いろんな人の助けを得たりもしたが、
そのたびに、うんざりしながらも対応してきた。

ああ、我ながらよく頑張った。
自分を褒めてあげよう。
偉いぞ、オレ!

覚醒する中国

2010-02-26 13:26:39 | 杭州・杭州周辺
中国は環境汚染がひどい。
東京から杭州に戻ると、
空気が汚く、喉が痛くなる。

早急に手を打たないと、中国のみならず、世界環境に影響する。
そんなことが、ずいぶんと前から言われ続けていた。

先日、ポストの中にある小冊子が入っていた。
題名は『杭州市生活ゴミ分類 宣伝手帳』。
ついに、杭州市でゴミの分別収集がはじまるのだ。

これまで、ゴミは無造作に捨てられていた。
分類もしなければ、曜日も決まっていない。
生ゴミもビニールゴミもいっしょくたにして捨てられていた。

街中では、一応再利用可能かどうかの2種類のゴミ箱が設置されていたが、
しかし、それはそれほど厳格ではなく、
家庭のゴミは、全く分類されず各社区のゴミ箱に捨てられていた。

それが、来月から試験的に分別収集となるのである。
まずは、いくつかの地区を指定し、
そこで、どうなるのかということを確認するらしい。

どうやら、私の住む社区がその指定地域となっているようだ。
3月1日からは、みんなちゃんと分類しなくてはいけない。
果たして、みんなそれをちゃんと分類するのだろうか。

しかし、私にはそれを確認する術はもうない。

続けるべきか、やめるべきか

2010-02-22 19:41:43 | 杭州・杭州周辺
大いに思案中。

うすうす、
いやはっきりと気づいている方もいると思うが、
4年半の杭州生活を終え、日本に完全帰国することとなった。
それに伴い、どうしようかと悩んでいるのがこのブログ。

このブログ、
そもそもが中国生活の寂しさを紛らわせるためにはじめたもの。
だから、中国から撤退する今、その存在意義が問われているのである。

そしてもう一つ。
中国だからこその面白さがあったはず。
中国はネタの宝庫なのだから。
それが日本に戻ったらちっとも面白くなくなってしまう可能性がある。

もちろん、友人諸氏のように、
自分の仕事関係の話をディープにすればいいのかもしれない。
しかし、私は断固としてそれを拒否する。

なぜならば、私はうすっぺらだから。
みんな凄すぎますよ、ホントに。
なんて真面目で、なんて物事を考えているのでしょうか。
そんな方々と比べてしまうと、私なんかはとてもとても。

そう、簡単に言うと、自信がないのである。
「へっぽこ三銃士」の私にはピアノがない。
君に聞かせる腕もない。
ルルル~、ルルルル~、ルル~、ルルル~。
なのである。
全くもって西田敏行なのである。
池中源太80㎏なのである。
すっから母さんなのである。

というわけで、現在絶賛思案中。


*今月いっぱいは少なくとも続けるけどね。時間があればだけど。

杭州出産事情

2010-02-21 19:13:51 | 杭州・杭州周辺
新聞によると、
今年の正月(初一ね)には40人の子供たちが杭州で生まれたという。
(新聞では、「春晩」でのアイドルグループにひっかけて「小虎隊」と呼んでいる)
そのうち、男の子が26人、女の子が14人という男の子優勢の状況。

一番多かったのが、杭州で最も大きい産婦人科病院で、
男の子が20人、女の子が6人だったという。
それ以外の病院ごとに見ると、
3人(男1:女2)、5人(男2:女3)、
5人(男2:女3)、1人(男0:女1)という割合。
なので、最大産婦人科がちょっとバランスが悪い。

中国では未だに男児出産を望む声が大きい。
そして、一人っ子政策は今でも継続中である。
もし、お腹の中の子が女の子であるとわかったら、
最悪の時は、それを理由に中絶をしかねない状況なのである。

なので、妊娠中に子供の性別を医者が教えることは御法度。
もし、教えたのがばれれば、その医者は医師免許剥奪もあり得る。
政府も非常に厳しくこの問題に臨んでいることがわかろう。

しかし、もちろん、ここは中国。
制度を人のつながりが乗り越えることは良くあること。
法治国家である前に、人治国家であることは今も昔も変わらない。
いろいろな手を使って知ることは当然ながら可能なのである。
なので、ちょっとバランスの悪さが気になるところだが、
そんなことはなかったと信じておきたい。

それから、もう一つ。
中国は帝王切開が多いことが知られている。
ボクの同僚の多くも帝王切開だ。
特に35歳を過ぎたら、その確率はぐ~んと高くなる。

なお、日本ではプライバシーや人権の問題もあり、
希望者のみに行われる「胎児異常の有無検査」(正式名称はしらない)が、
中国では高齢出産予定者には必ず行われるらしい。
恐らく、もしこれによって異常が発覚したら、中絶してしまう場合もあると聞く。
なにせ、一人っ子政策なので。

話を戻すと、帝王切開についても新聞では触れている。
26人が生まれた最大の産婦人科では、6人だけが帝王切開だという。
以下、上記の配列通りに記していくと、
1人、5人、1人、0人となっている。

5人全員が帝王切開の病院が一つだけあるが、
それ以外は概して少ない。
どうやら帝王切開よりも自然分娩というのが、
少なくとも杭州での流れのようだ。

出産事情もお国柄がでるもんなんですねえ。
(ちなみに、産後もずいぶんと日本とは違います。)


*写真は最大の産婦人科。

新参者に挨拶をかます

2010-02-19 19:38:08 | 杭州・杭州周辺
杭州には多くの寺院がある。
霊隠寺・浄慈寺・三天竺などなど。
これらは全て制覇した。

ところが、今月、再建された寺が新たにオープン。
その名も、「香積寺」。
(新しいので「新香積寺」とも言うらしい)
ならば、行かない手はない。

ということで、行ってみた。
場所は他の寺のように西湖近辺ではなく、
京杭大運河のほとりにある。

寺院の創建は北宋のとき(978年)。
初めは「興福寺」と呼ばれていたが、
のち真宗によって「香積寺」と賜額される。
寺の前には運河があることから、多くの船が往来し、
参拝客も大勢ここを訪れた。
そのため、ここは「運河第一香」とも称されていた。

その後、元代末に火災に遭い、何度か修建され、
清の康熙帝のとき(1713年)に東西二つの石塔が建てられた。
1963年に重点文物保護指定をうけるが、
5年後には東塔が倒れ、西塔だけが残った。

こんな経歴を持つ寺であるが、それが再建されたのである。

まず一番手前に「天王殿」がある。
そこには他の杭州寺院同様に、
弥勒と四天王・韋駄天が安置されている。

しかし、そこからが違う。
普通は韋駄天が見守る「大雄宝殿」があるはずなのだが、
「天王殿」と「大雄宝殿」との間に、
「大聖緊那羅王菩薩殿」があり、
そこに、写真のこいつと、その裏には弁天がいるのだ。

この伽藍配置は他の杭州寺院とは異なり、非常に興味深い。
その他には、観音殿・文殊殿・普賢殿や鐘楼・鼓楼がある。

そしてもう一つ、「伽藍殿」なるものが出口付近にあり、
ここには、「関公」(関帝・関羽)が祀られている。
やはりこれも杭州の他の寺院では見られない特徴である。
(洛陽の白馬寺にも関公が祀られていたような記憶が・・・)

あまり期待をしないで行ったが、
なかなかどうして、
意外に楽しめた。

杭州にまた一つ、観光スポット(ただし、歴史に興味ある人のみ)が増えたわけだ。

火災発生注意

2010-02-17 18:30:31 | 杭州・杭州周辺
初詣に行った。

前回書いたが、
大晦日と初一(中国正月の元旦のこと)は雪だったため、
初一は危ないだろうということで、
外で雪だるまを作ったり、
春晩の再放送を見たりして過ごした。

なので、初詣に行ったのは初二。
行ったのはやはりここでしょ。
杭州最大の寺院、霊隠寺

中国全体ではどうなのかは知らないが、
少なくとも杭州では結構な人が初詣に行く。
日本のように神社はないので、
もっぱら寺院ということになる。

その中でも最高の人出となるのが霊隠寺。
一緒に行った人によると、例年よりは少ないとのことだが、
それでもやはり普段よりは当然ながら多い。

私は公園カードも寺院カードも持っているので、
入場するのにはお金がかからない。
そもそもこれらのカードは霊隠寺に入るために持っているようなもの。
早速、カードの価値を発揮したというわけ。

さて、今回はいつもと違い線香を焚いた。
まずは大雄宝殿の前で、六本の線香を焚く。
つづいて、殿内に入り、本尊の前で手を合わせる。
そのようなことを4箇所でくり返し、無事終了。

みなそこかしこで同様に線香を焚いている。
なので、気を付けて歩かないと危ない。
かくいう私も危うく背中が燃やされかけた。
危ないったらありゃしない。

でも、改めて感じるのは、
杭州の人たちの信仰心の篤さ。
私はそんなところも好きだったりするのであった。