蛇口が取れた

4年半の杭州生活を終え、ついに帰国。現在、中国人化後遺症に悩まされ、好評リハビリ中。

基本の喪失

2010-05-19 00:57:41 | リハビリ
今日、区役所に行った。
書類を提出するためだ。

しばらくは順調に過ぎていった。
一ケ所目ではなんの問題もなく終わった。
問題が出たのは二ケ所目の窓口に行った時。

国から少しばかりお金を分捕る算段をしているとき、
今日は別にそんな手続きをする予定ではなかったので、
銀行の口座と保険証など持っていっていなかった。

なので、
「コピーしてあとで送って下さい」
と、宛先が印刷された封筒が渡された。
もちろん、切手は自分で貼って。

私は、
「はい、わかりました」
と素直に返事をしたものの、
ひとつどうしても気になることがあった。

しかし、へっぽこな私は悩んだ。
引っ込み思案の私は大いに悩んだ。
聞くべきなのか、それともそのままスルーすべきか。

だが、今聞かないと、
またあとで誰かに聞くことになる。
じゃあ、もうここで聞いてしまえ、
清水の舞台から靴を脱いで両足揃えて跳んでしまえ、
とばかりの決心を持って、ついに尋ねた。

弱々しい声で、
上目遣いで、
濡れそぼった子猫のように。

「すいません、切手って80円でしたっけ?」

ああ、基本中の基本。
日本国民としての常識。
それすらも忘却しつつあったのであった。

業務連絡

2010-05-09 17:46:57 | 日本・東京
先日、ようやく引っ越し等のはがきを皆様に送ったのですが、
何人かの方は、返ってきてしまいました。

もし、年賀状などを(かつて)私に送って下さっていて、
「あれ、でも届いていないよ」
という方がいらっしゃれば、
お手数ですが、ご連絡下さい。
(といっても連絡手段のない方はどうすることもできないのですが)

実家は以前と住所は変わっておりませんので。

変なお願いでスイマセン。
宜しくお願いします。

パブロフってる

2010-05-05 00:51:54 | リハビリ
まさに、ヨダレだらーな感じ。
そんな条件反射が誰にでもあるはずだ。

本屋の料理本コーナーに行ったとたんに腹がグーと鳴るとか、
電車の中でぶつかられると、その人を半分白目で睨んでしまうとか、
これからの季節、乙女らの脚につい目がいってしまうとか、
街中でいちゃいちゃしているカップルを見かけると、つい呪詛してしまうとか。
品行方正な私は、もちろん、そんなことはいたしませんが。

そんな由緒正しき家柄の子女である私にも条件反射はある。

職場でのこと。
その日、ようやく私の部屋にパソコンが届いた。
早速、箱からだし、もろもろセッティングをしていた。
元来、機械類に弱い私は、あれやこれや苦心しながら闘っていた。
もちろん、パソコン設定にのみ意識は集中していた。

まさに条件反射が出現する絶好のとき。

突然、部屋がノックされた。
同僚が用事があって来た模様。

私は当然、返事をする。
パソコンに意識を残しながら、返事をする。
相手に聞こえるように大きな声で、返事をする。
なんのためらいもなく大きな声で、返事をする。

そして、
私はこう叫んだ。

「請進!」

と。

ああ・・・
中国語だぁ・・・
完全に無意識だ・・・
ヨダレだら~だ・・・


*写真は小石川後楽園の「西湖堤」。条件反射で撮影。

似て非なる状況

2010-05-02 00:34:08 | リハビリ
最近、ようやく治ってきたことがある。

先月の初め頃、
若い子たちがいっぱいいる場所へ行った。
というより、現在の職場なんだけど、
とにかく、若い子たちがいっぱいうろうろしている。
そこで、少しばかり戸惑ってしまったことがある。

みんなに話したら、
「イヤ、それは私もそうだよ」
と、何人かの人たちに言われた。
でも、違うと思う、少し。
いや、かなり。

さて、何を戸惑ったのか。
それは、
「道ですれ違う若い子たちが何を言っているのか、一瞬わからなかった」
ということ。

恐らく、これを読んでいる人も、
「ああ、私もそうだよ。最近の子たちの言葉はねえ。」
と思うかもしれない。

だけど、そうじゃないのです。
ボクは、彼ら・彼女らが「何のことを言っているのか」がわからないのではなく、
彼ら・彼女らが「何語を話しているのか」が瞬時に判断できなかったのです。

よく冗談で、
「あいつの話している言葉は外国語みたいでわからないよ」
というけれど、
本気で、外国語のように聞こえてわからなかったのです。

つまり、彼ら・彼女らの言葉に声調がついていて、
その声調にボクの耳が反応し、
一瞬、中国語で会話しているように聞こえるんだけど、
当然、中国語としての意味を成していないので、
何を言っているのか、さっぱりわからなかった。

そして、しばらくして、
「ああ、日本語を話しているんだ」と理解して、
ようやく、内容が頭で理解できるようになった。

今はもうそんなことはほとんどないけど、
不意をつかれたら恐らくわからないかもしれない。

似ているけど、違うでしょ。