怒涛の3日間が終わった。
初日の稲生座では高木克っちゃんが遊びに来てくれて2~3曲リハをしているうちに、全曲参加しましょか~みたいなノリになり(予想はしていたけれど)終止サックスとギターに耳を傾ける。エミちゃんもピアノでやってくれて音圧となる。初対面だったシャケさんもよかったなぁ。
翌日は謎だらけの店、「魔法を信じるかい」で春との初都内でのライブ。リハーサルでポスターの写真撮影が始まり、マスターはすぐに居なくなり、後はなすが、なるがまま。窓越しの様子。やっぱりマスターは不思議な人だった。なんだか空間をごちゃ混ぜにした様な夜だったな。
そして気持ち良く早めに帰ろうと歩いているとスペイン人の二人と意気投合して歩道に輪になり杯、そこへロシアの人も交わりまた杯。まれにない体調の悪さで翌日ディランに向かう事になった。視点も定まらないしまっすぐ歩けないんだもの。
そして初めてお台場たる場所に降りる。途中ゆりかもめに揺られながら、オレンジ色の陽が落ちる。その輝きに細やかに照らされて浮かぶ漁船の群。
背中を押される様にして会場に入る。時間通りに暗闇から音が鳴り出しついにディラン、あーディランだ。もうヤバい、歌っている。もう堪える事は何もない、向け、音に、ディランに。アルコール混じりの涙が落ちる。
よく今のディランはもう・・とかいう人がいるけど微塵もない。そんな人はこの場にいなくていい。昔のレコードでも聴いて浸っていればよいのだ。
やっぱりディランはあのニューポートフォークフェスティバル以来裏切り続ける人だと思った。そうやって闘ってきたひと、無論自分との、それを体感出来た事が最高に嬉しかった。そして目配せ、合図など何もない、その空気を自由自在に遊べるバンドのメンバー達。詞で打つディラン。これでしょ。他に何がある?
明日からしばらくは次を考えず、今あるもの、出せるもの、言葉に向き、息、空間、自然に体が揺れる事にもがいてみるとしよう。それらを録る事、一日か一年かかるかそれは解らないけれど。
今は新幹線の中。山形に着いたら今日は買ってきたディランのレコードを一人店で聴きながらビールと笑おう。