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伊東良徳の超乱読読書日記

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パチンコの経済学

2007-04-22 20:51:57 | ノンフィクション
 30兆円産業と呼ばれるパチンコ業界について経営サイドから検討した本。著者はパチンコチェーンの元役員。
 近年パチンコ産業は年間売上30億円弱で横ばい、パチンコ人口は約1710万人で1995年からほぼ半減、その理由は機械が射幸性が強く(ハイリスク・ハイリターンに)なりヘビーユーザーだけが残り1回につぎ込む金が増えたためだそうです。
 そして著者の推計によれば日本のギャンブルによる客の純損失は2005年で約5兆3641億円でその3分の2をパチンコが占めているそうです(44頁)。競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ、サッカーくじを全部あわせてもパチンコの半分・・・。日本のギャンブル支出はイギリス並みで世界トップレベルだとか(45頁)。これにはビックリしました。自己破産で相談者に聞いたら半分以上はパチンコやってますもんね。
 アメリカのカジノのスロットマシンなんかは単調で著者には物足りなく感じたが、アメリカ人に言わせれば日本のパチンコのように釘をいじるのは犯罪行為で、リーチ等の過剰な演出はギャンブル依存症の温床になるから問題だそうです(74~76頁)。現に依存症の人がたくさんいますからね。


佐藤仁 東洋経済新報社 2007年3月15日発行
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新聞社 破綻したビジネスモデル

2007-04-22 09:24:59 | ノンフィクション
 新聞の販売コストや購読者・広告収入の減少などの実情と生き残り策について論じた本。フリーライターじゃなくて2006年まで毎日新聞の常務取締役だった人が書いているのがミソです。
 新聞社が独禁法の建前から一斉値上げを避け大手紙が輪番制で先行値上げをする不文律があった(23頁)とか、これってずっとそうだろうなと思っていたんですがやっぱりですね。
 実売部数より多くの部数を販売店に送り(注文させ)部数を基準にする広告料をつり上げ、販売店には複雑怪奇な販売促進費・補助金で手当てし、その結果実売部数は社長も知らない、販売経費率が(表の数字で)45%前後という異常な事態。このあたりの新聞営業の分析をしている第1章・第2章が読ませどころです。
 著者の新聞再生策として毎日・産経・中日が提携して第三極を作りという話を展開する第4章は好みが別れるところでしょう。
 インターネット時代の生き残り策を論じる第5章で展開する、論評・解説に重点を置き(記者クラブは共同通信に任せる)という話はよく聞く話ですが、ロングテールを考慮してこれまで紙に載らなかった没原稿を配信してニーズの少ない専門情報の販売で生き残るという方向性はありかなと思います。


河内孝 新潮新書 2007年3月20日発行
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