伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

イッキ乗り いま人間は、どんな運転をしているのか?

2007-04-28 14:17:26 | ノンフィクション
 様々なものの運転についてのルポ。
 どちらかというと乗り物以外の話の方がおもしろく読めました。例えば介護用のパワー・アシスト・スーツ。アルミ板とエアバッグの駆動機構を筋肉につけたセンサーの信号で動かして自力の倍の力を出すしくみとか(127~134頁)。「悲しき人形つかい」で読んだときは空想と思っていたんですがすでに実用化間近だったんですね。鵜飼の鵜匠は世襲の宮内庁式部職だとか(187頁)。知りませんでした。
 モーターパラグライダーのところでは、雲に入ると「微妙に湿気が体にまとわりつく感じ。冷たくはないです。逆に、サランラップが肌にくっついたような感覚かな。」(230頁)っていうのがいいなあと思いました。考えてみたら素肌をさらしたまま雲を突き抜ける乗り物ってあまりないですからね。


下野康史 二玄社 2007年3月23日発行
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冥王星パーティ

2007-04-28 08:19:15 | 小説
 高校生時代は純朴で人づきあいの苦手な青年だったが「自己改造」の結果証券会社に就職して派手な女性関係を結びつつそれに疲れてきている桜川衛くんと、高校時代は奥手で堅実だったが次々と男に振り回されて傷心の都築祥子さんが、祥子が作成したアダルトサイトをきっかけに再会するお話。
 社会に出て疲れた頃の28歳が、自分なりの憧れで始めたライフスタイルに疑問を持ち始めて、何か違う、これは「ホントの自分」じゃないと感じていたところに、11年前の高校生時代に遭遇し、純朴だったあの頃を思い出して「原点に返ろう」って思う。そう思いたい気持ちはわかる(40代でもそう思うことはある)けど、当時は当時で今が正しいとか原点だと思ってたわけでもないはずだし、やっぱり逃げだとも思います。そう思っていても、時々はそこに浸りたくなる魅力がありますけどね。
 それはさておき、作品としては、ちょっと散漫な感じだし、最後望月が遠慮するのはそれまでの人物造形からは違和感があって都合のいい設定だと感じますが、最後は前向きになれるのとエンディングの設定には好感が持てました。


平山瑞穂 新潮社 2007年3月20日発行
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