伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

イラン人は神の国イランをどう考えているか

2007-04-06 08:45:05 | 人文・社会科学系
 イラン人の文化人15名によるイランの現状についてのエッセイを集めた本。
 当然のことながら、イランの人々が一枚岩でないことがわかります。かつてはパンクロック、服装倒錯、テレビの実録番組の発祥の地だった(181頁)イランは時代遅れの融通の利かない専制国家と見られているが、検閲を受けながらも様々な芸術運動が生きながらえている様子が、メディア・アート関係者から語られています。宗教指導者やイスラム原理主義の建前と一般市民の生活は必ずしも一致していない(一般市民の大勢がそうなのかは疑問ではありますが)、「革命前は、宗教指導者はスーパーの行列でも『お先にどうぞ』と言われ、レストランに行けば一番よい席をとってもらえたが、今では、お店に宗教指導者がいても、人々は腹立たしげな言葉をつぶやきながら、つっけんどんにそばを通り抜ける」(56頁)とか、壁の内側ではやりたい放題の飲酒や乱交パーティーが行われているという指摘も、表の世界での厳しい抑圧は結局そういう吹き出し方をするものだよねと納得してしまいます。


原題:My Sister, Guard Your Veil ; My Brother, Guard Your Eyes
レイラ・アーザム・ザンギャネー 訳:白須英子
草思社 2007年2月28日発行 (原書は2006年)
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