イラク戦争の意思決定の過程と、戦争のコスト・ベネフィットを論じた本。
タイトルとサブタイトル(大義も正当性もない戦争の背景とコスト・ベネフィット)から予想されるようにブッシュ批判に終始していて、私のようなブッシュ嫌いには、湾岸戦争との比較で父ブッシュはまともだったと言い過ぎることを除けば、気持ちよく読める本です。
前半は国際的には支持を受けながらアメリカ国内の説得に苦労した湾岸戦争と国際的な支持を得損なったが国内では圧倒的に支持されたイラク戦争の経過の比較、後半は戦争のコスト・ベネフィット論です。まあ、だいたい聞き覚えのある話ですが、まとめて読むと読み応えはあります。研究者の論文なもので注が多くて読み進むのがかなり時間くいますけどね。私も3日かかったし・・・。
戦争でアメリカが負担することになったコストの指摘の中で、イラク戦争のおかげで石油が高騰し(これ自体アメリカには損失。ブッシュを始め政権関係者が関与する石油関係企業が大儲けしたのは別として)、それによって産油国のロシア、イラン、ベネズエラが国力をつけたこと、「ブッシュ政権の露骨な単独行動主義・覇権主義のために、多くの欧州諸国は距離を置き、イスラム諸国では反米感情が広がり、ロシアや中国は対抗的な動きを模索し始め、中南米諸国もアメリカ帝国主義の新たな影響力行使に慎重な姿勢をとるようになってきている。一方、そうしたブッシュ政権に歩み寄っているのは、オーストラリア、日本、中東欧・旧ソ連諸国等に限られてきている。」(172頁)というとりまとめは、ちょっといい切り口かなと思いました。

野崎久和 梓出版社 2006年12月20日発行
タイトルとサブタイトル(大義も正当性もない戦争の背景とコスト・ベネフィット)から予想されるようにブッシュ批判に終始していて、私のようなブッシュ嫌いには、湾岸戦争との比較で父ブッシュはまともだったと言い過ぎることを除けば、気持ちよく読める本です。
前半は国際的には支持を受けながらアメリカ国内の説得に苦労した湾岸戦争と国際的な支持を得損なったが国内では圧倒的に支持されたイラク戦争の経過の比較、後半は戦争のコスト・ベネフィット論です。まあ、だいたい聞き覚えのある話ですが、まとめて読むと読み応えはあります。研究者の論文なもので注が多くて読み進むのがかなり時間くいますけどね。私も3日かかったし・・・。
戦争でアメリカが負担することになったコストの指摘の中で、イラク戦争のおかげで石油が高騰し(これ自体アメリカには損失。ブッシュを始め政権関係者が関与する石油関係企業が大儲けしたのは別として)、それによって産油国のロシア、イラン、ベネズエラが国力をつけたこと、「ブッシュ政権の露骨な単独行動主義・覇権主義のために、多くの欧州諸国は距離を置き、イスラム諸国では反米感情が広がり、ロシアや中国は対抗的な動きを模索し始め、中南米諸国もアメリカ帝国主義の新たな影響力行使に慎重な姿勢をとるようになってきている。一方、そうしたブッシュ政権に歩み寄っているのは、オーストラリア、日本、中東欧・旧ソ連諸国等に限られてきている。」(172頁)というとりまとめは、ちょっといい切り口かなと思いました。

野崎久和 梓出版社 2006年12月20日発行