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尾張・名古屋城 東海古城研究会の見学会が催行されました

2021-07-21 | 歴史

東海古城研究会の見学会は、コロナ禍で中止・延期が続いていますが7月8日(日)、久しぶりに見学会が行われ地下鉄市役所駅集合で、名古屋城三の丸の外堀・土塁・門と二の丸・本丸の見学をしました。
 二の丸・本丸は二の丸御殿が再建され、本丸の木造天守の再建も取り沙汰されて話題も多いのですが、三の丸は市街化の進行で関心も薄くなっていました。今回の見学会で三の丸にも意外に近世名古屋城の遺構が残されており、当日の資料や説明で往時の姿を想像できて楽しめましたので紹介したいと思います。
 なお、見学会の案内・説明は名古屋城のボランティアガイドも務める東海古城研究会の会員さんで、当日資料も各種準備され理解しやすかったです。


名古屋城三の丸 近世名古屋城の図
 名古屋城の三の丸は都市化が進み道路建設に伴って南側の土塁が開削・開口され外堀に橋がかけられ、一見すると往時の姿かと思えます。今回の見学会では説明を聞きながら元々あった東門、本町門、美園門や土塁、外堀などを確認しました。


名古屋城 三の丸の3つの門趾 現在の地図上で位置の確認をする
 尾張国名古屋城図には東門、本町門、美園門と外枡形が描かれていますので、現在の地図でその位置がほぼわかります。新美園橋、大津橋、久屋橋とそこを通る道は後世のもので、土塁が開削されていることもわかりました。


名古屋城 三の丸 東門の位置を想定する
 絵図に描かれた3つの門のうち、東門付近は道路工事で大きな改変が行われたようで、往時の姿がほとんど失われているようなので、名古屋市都市計画情報サービスのS30-33基本図などを参考にして東門の位置を想定してみました。
 S30-33基本図の時期には外堀の堀底を名鉄瀬戸線が走っていて、古くは瀬戸から堀川を結び、主に「瀬戸物」の出荷が行われていたということです。


名古屋城 三の丸 東門  東から 石垣は道路工事で切り取られ端部は積み直された  手前には外枡形があった
 東門は写真の中央付近にあったと想定できそうです。左右の石垣は筋違いになっていて、間に門があり南北方向に開いていたようです。今見る石垣は両方とも道路で削られ、端部が積み直されているようですが、パット見では往時のまま石垣が残っているように見えました。外枡形は瀬戸線の開削などでほとんど失われたようでした。


名古屋城 三の丸 南辺の土塁  東から 
 三の丸の土塁は、一部が道路工事で開口されましたが、かなりの部分が往時の姿を保っていることがわかりました。一般の観光客は見上げて歩くだけでしょうが、見学会の一行は登って見学し規模の大きさを体感しました。


名古屋城 三の丸 南辺の土塁 道路による開口で断面がよく分かる
 三の丸南辺土塁の規模の大きさは写真の土塁断面を歩く人物との比較で確認できました。


名古屋城 三の丸  外堀の折れ
 三の丸の外堀は東と南の堀底を瀬戸線が通るために一部改変が行われましたが、意外に往時の姿をとどめていました。写真の堀の折れは絵図で描かれた通りでした。


名古屋城 外堀に残る名鉄瀬戸線の遺構
 瀬戸線の目に見える遺構はここだけとの説明があり、コンクリートの階段が残されていました。外堀が埋められずに残ったのも瀬戸線が在ったためかもしれないと想像しました


名古屋城 三の丸   本町門 外枡形の堀
 本町門の外枡形の在った場所は大半が瀬戸線が通るために開削されてもとの地形はわかりにくくなっていましたが、当日頂いた資料と説明で図2の外枡形の堀の①の痕跡がここだとわかりました。


名古屋城 三の丸 本町門外枡形の南面石垣 西から
 本町門付近も道路工事で改変がありますが、この外枡形の石垣は見事で、図2の絵図に描かれている折れの部分も残っているようでした。石垣には大きな鏡石も 嵌め込まれていて、桝形を通る人に見せつけていたのだろうと思いました。この場所は普段人が立ち入らない場所ですが見学会で特別に入ることが出来、見事な石垣を堪能できました。


名古屋城 三の丸 桝形と本町門(想定)
 本町門は筋違いの東西方向の石垣の間に在りました。往時は南から(写真では右から)桝形に入り南面石垣の鏡石に威圧され、西に折れて本町門を通してもらって本丸方向の大名少路に向かったのでしょう。


名古屋城 三の丸 御園門 外桝形と石垣    西から
 御園門付近は瀬戸線の終点駅が設けられたためか、かなりの改変がありましたが、見事な石垣が残っていました。図2の絵図によると、この石垣はもう少し西に伸びていたようにも見えますので、端面は積み直されているかもしれません。しかしながら写真右端の人物と比較して分かるようにスケールの大きさに圧倒される「見ごたえあり」の石垣でした。

今回の三の丸見学は、三の丸の遺構は都市化によって殆どが失われてしまっているとの思い込みを覆す興味深い遺構にたくさん出会うことが出来、適切な説明・資料もあり楽しく見学できてよかったです。
 コロナ禍で、大型バスを使った見学会が出来ない中、現地集合・現地解散の見学会も「アリ」だなと改めて感じました。
   ※現地集合、現地解散の見学会  前回はこちら




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