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小原地区の城郭 三河 東海古城研究会の見学会で訪れました

2024-01-27 | 歴史

小原の城郭は愛知県豊田市小原町にあります。今回は東海古城研究会の日帰りバス見学会で訪れました。見学先は市場城→市場古城→大平本城→大平姫城 でした。午前中はあいにくの雨でしたが、午後は雨も上がり時折日が差す好天となり「終わりよければ全てよし」の見学会でした。

小原地区には13の城址があるとされます。戦国時代以前には各谷間に関東から来た支配者が割拠したとされます。戦国期には足助鈴木氏の一員(鱸氏とも)が市場古城を足掛かりにして、小原地区全体を市場城を中心にして支配したとされます。後に小原鈴木氏は家康の関東移封に従わず、改易となり没落したと伝わります。

市場城 当日はベテラン会員さんが作成した資料が準備され、詳しい現地解説が行われました。午前中は雨でしたが、参加者の皆さんは熱心に説明に耳を傾け、遺構を見学しました。

市場城 築城当初は土の城だったようですが、後に改修されて石垣が積まれ、外枡形状の遺構などもありました。愛知県下には二ヶ所しかないといわれる畝状竪堀群なども見学しました。現状の竪堀群は3条が明確ですが、以前は5条がハッキリ確認できたと、ベテラン会員さんらしい説明がありました。※当ブログの市場城その1 は→こちら

市場古城 雨で足場が悪いため、バスの中での説明にとどめる予定でしたが、参加者の皆さんの強い要望で見どころの大切岸を見学しました。小原地区の城郭の特徴として、急角度で高低差のある切岸が挙げられますが、市場古城にも、急角度で高い切岸が設けられていました。切岸の下端部は堀切状の地形で、切岸の高さと角度を造り出しているとの説明がありました。

大平(おおだいら)本城 午後になって雨が上がりましたが、足元は滑りやすいので注意しながらの見学でした。大平本城は高くて急な切岸と主郭部の大土塁が見どころでした。切岸の下端部には堀切と竪堀地形が見られました。

大平本城 主郭部の丁寧に削平された平場は大正時代に消防団の訓練場として整備され、その時に大甕三個が出土したと説明がありました。大土塁は主郭部の東側に設けられて、切岸と併せて東側の守りを強化していたようでした。

大平姫城 姫城と言ってもお姫様が住んでいた訳ではなく、大平本城よりも小規模だったので姫と名付けられたようです。大平本城との関連も考えられるとの説明がありました。ここも主郭部の両側は10mを越すような高さ急角度の切岸が守りの要となっていました。「敵もこの切岸を登る意欲はわかないよネ」というのが参加者の声でした。

大平姫城 主郭部は凸型に削平された3段の平場がありましたが、後世の耕作地として利用されていたので改変があると説明がありました。今は果樹園のようですが往時の姿がいくらか残っているようにも思える削平地でした。

大平姫城 主郭部東側の尾根を断ち切る幅広の堀切状地形があり、主郭東端部の高い切岸を造り出すために尾根が削られていました。

今回の見学会では、ベテラン会員さんの適切な説明もあり各城址で大きな切岸を確認でき、有意義な見学となりました。大平本城と大平姫城は想像していなかった興味深い遺構が多くありましたので、改めて訪れてじっくり見学したいと思いました。※当ブログの市場城その1 は→こちら