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本庄山砦 遠江 夫婦のカモシカに出会い城郭遺構を二種類の立体図で確認して楽しむ

2024-06-26 | 歴史
本庄山砦は静岡県袋井市春岡字春日山にあります。古くから城郭または見張り台として利用されたと伝わりますが、今見る姿は徳川と武田が争った戦国期に構築されたものと考えられるようです。大正期以降に茶畑として利用された時期があり城郭遺構はかなり改変されたようですが、砦のイメージからはかけ離れた大きな規模の城郭遺構が残されていました。今回の参考資料は(1)「静岡県の中世城館跡」静岡県教育委員会 1978  (2)「静岡県の城跡 西部・遠江国版」静岡県の城跡編集委員会2022 と 静岡県3次元点群データ、静岡県CS立体図 などです。

本庄山砦 周囲には武田と徳川の奪い合った城郭が多数
 徳川が先行し、武田が奪い、それをまた徳川が奪い返すという争いが行われた遠江は、多数の城郭・砦が残されました。本庄山砦もその一つだったようです。

本庄山砦 CS立体図で遺構を確認する
 おなじみの、ひなたGISから静岡県のCS立体図を見ると、一部が茶畑として改変された城郭遺構の地形を見る事ができます。

本庄山砦 3次元点群データによる立体図
 静岡県では県の公式ホームページにある「VIRTUAL SHIZUOKA」で、上空からだけではなく平面のデータも組み合わせる3次元点群データを公開し、自由に使うことが出来るようになっています。今回そのデータを使っての立体図を試してみました。赤色立体図と比較してみると地形表現がいくらか異なる部分があるようですが、地形が鮮明に見えるようです。

本庄山砦 隣接する春日神社(豊岡神社)には案内板が立つ
 かつては城域だった可能性のある一画に春日神社が造営されており、駐車場に静岡古城研究会の資料による案内板が在り縄張図も掲載されていました。なお春日神社は豊岡神社とも呼ばれるようです。

庄山砦 案内板の図 一部加筆
 茶畑により改変された場所が示されていましたので、それを考慮して見学することが出来ました。

本庄山砦 カモシカの夫婦に出会う
 中部地方の山城巡りで、一番出会うことが多い動物が日本カモシカです。今回は角のあるなしから夫婦のカモシカだと思いました。夫婦のカモシカに出会うのは珍しいですね。

本庄山砦 Ⅳ郭 南から 右に墓地と極楽寺
 南西に延びた尾根の先端部にはⅣ郭がありました。墓地の造成で少し削られたようですが、おおむね往時の姿を残しているようです。

本庄山砦 Ⅱ郭 南西端から
 Ⅱ郭はⅣ郭との間に堀切2を設け、長く延びる尾根を削平した様に見えました。Ⅱ郭の東側は改変された様で、面積の広い平場となっていました。

本庄山砦 Ⅰ郭 南から
 Ⅰ郭は最高所にあり面積も広いので、主郭と思われます。後世の改変が多少有ったかもしれませんね。

本庄山砦 Ⅰ郭北下 左上にⅠ郭
 Ⅰ郭の北側は立体図でも判りますが尾根が掘り切られ小規模な曲輪が組み合わさった複雑な地形となっていました。北尾根がこの城郭の弱点だったのかもしれません。写真の平場も大堀切3に加えてⅠ郭の切岸を削り出しているようでした。

本庄山砦 大堀切3 東から 左上がⅠ郭方向
 堀切3は立体図でも確認できる幅広の大きな堀切でした。

本庄山砦 Ⅰ郭の南側の竪堀 南下から
 Ⅰ郭から南側への竪堀が設けられ、西側の竪堀とセットでⅠ郭の虎口3を守る形になっているようでした。 

本庄山砦 東側の横堀 今は宅地の道路となっている 左に城域
 宅地開発に伴って発掘調査が行われ、城域の東側と南側には幅広の横堀が設けられていたのが確認されたようです。一部は岩盤をくり抜いていたようで写真の中央部にも岩盤の露出が見えています。

本庄山砦は茶畑が放棄され、踏み入れることが困難な場所もありましたが、カモシカ君にも出合え立体図との確認など楽しく見学することができて良かったです。

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