サルバトール・だれ?  by 澁澤寅彦

笑いは地球を救う。
妻Rは足下をすくう

WTC

2001-09-13 14:27:33 | Weblog
夕方、シカゴにいたときの同僚のヨルダン人が家に来た。
彼は、出張でNY に来ていて、World Trade Center にあるホテルに泊まっていた。
最初の爆発で避難して、打ち合わせをする予定だった近くのビルに移った。
途中で二度目の爆発も聞いた。
目的のビルに行くと、そこでも避難命令が出ていて、しばらくロビーでうろうろしていると、WTC が倒壊したための煙で、ビルの周りは真っ暗になった。
かれは、ベンチに置いていたかばんを取りに戻って、避難するのが遅れたのだが、真っ暗な中、中二階のロビーから一回に飛び降り、足を痛め、その後周囲にいた人とともに、ガラス窓を椅子で叩き割って、煙の中を逃げて来たと言う。
ホテルを探すが、何処もいっぱいで、レンタカーを借りようとしても、どこも車がなく、また、タクシーで外に逃げようとしても、乗せてくれない。(一度マンハッタンから出たら、中に入れないだろうということで、乗車拒否にあった)
9時間歩き回って、つかれきった彼は、シャツもズボンもかばんも真っ白だった。
煙と埃にやられた彼は、目は真っ赤で、何度も咳き込んでいた。
高血圧の薬をホテルに置いてきたといって、心配していた。
シャワーを浴びてもらい、汚れた服を洗濯した。
胃の調子が悪いと言う彼は、夜も何も食べず、ベッドに入った。
不思議に静かな夜だった。窓を開けて寝るのだが、車の音も聞こえてこない。
翌日、朝も何も食べず、彼は、運転を再開した電車で New Jersey に移って、レンタカーを借りてシカゴに帰っていった。こんなところには、いられないと言って。


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