眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

深夜

2010-11-21 | 
明日がやってくるよ
 夜のしじまにこっそりと熊の人形が囁いた
  ベットから起き上がった僕は
   カーテンを少しだけ開けて
    青い月明かりを尋ねた
     青い三カ月の夜
      街灯に束ねられた夢の残骸に
       僕はいつか火をくべなければならないのだろうか?
        大切な記憶ほど燃やせない
         そうして記憶はらせん状の断層になるのだ
          自転車の音がする
           頭をポリポリ掻いて
            しらんぷりした

            赤いトマトが転がり
           路なりに傾斜する街の夜を誘う
          もう食べられないよアイスクリーム以外
         飽食の果て世界の虚構
        指先がやたらと痒くって
       傷口を噛んだら赤い血が流れた
      明日がくるよ
     もう一度熊が呟く
    今日は二度と来ないのだ
   宿命的に懺悔した
  どうして昨日には帰れないのだろう?
 明日がくると今日は消え去るのだ
どんなにそれが苦しくて切ない物であったとしても
 だから眠れない
  今日が終わって欲しくなかった少年の深夜ラジオ
   番組だっていつか終了するのに
    そんなことにだって気ずかない
     夢の名残を言葉に変換する
      明日がやってくるよ

      ナイジェル・ノースのリュートを流した

       バッハの無伴奏チェロ曲が流れ出す
        僕はワインの瓶を空にした
         リュートはとても繊細で美しい楽器だ
          美しい完璧だ
           まるで明日がこない記憶の今日の様に
            この夜が永遠に続くなら
             僕は道化のままで暮らしを風化させる
              夢だけを食べる少年
               100円玉でお菓子を買った

               四角い窓から朝日がさざめきだす頃合

               勝手な都合で昨日が消された

               大型店舗のスーパーができ
              地面のぬかるみの感触を忘れさせる
             コンクリートやアスファルトに覆われた路
            僕は手紙に火をつけた
           想ったよりも手早く
          記憶は抹消された
         と同時に僕の存在意義も
        燃えて白い灰になった

      明日がくるよ

    お腹が空いたので

   お粥と梅干を食した





      
コメント (2)
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