眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

口笛

2008-04-09 | 
それらが見落とした世界の狭間で
 少女が口笛を吹いた
  哀しい旋律が空気の海を流れ行く
   どうして
    どうして鐘の音はあんなにも切ない
     
    僕は病室のベットで点滴の間
      草原の夢を見る

     色褪せた写真の中の
      みんなが笑っている
       懐かしい手紙は
        酔いどれの忘却の果て
         あれから時が流れ
          全ての物は草原の
           少女の口笛の記憶
            羅列された封印
             入り口の鍵が無い
              出口も見えない夢の淵
               哀しき口笛が歌った「絵のない絵本」

     馬鹿なのよ、あなた

     少女が呆れ顔で葉っぱを悪戯しながら呟いた
      大切な物に気付けないのよ
       失くしてから記憶にすがって

      そのとうりだ
       僕はなにも云えず黙って空を眺める
        丘の上から灰色の街が見渡せた
         あそこで僕はハンバーガーを齧り
          ワインを飲んだ
           一人きりの虚無の部屋
            ありきたりに調理道具をそろえ
             スパゲッティーを茹でた

         僕は夢をみる
        みんなが笑っていた
       もちろん僕も

     大丈夫。
    時間とはそうゆう物よ
   少しずつ痛みが薄らいでゆくの
  
  でも傷跡は消えない
 それに・・・。それにいつか君も消え行く。

少女は優しく微笑んだ
 大丈夫。
  あなたといるの悪くないわ
   
   僕は少しだけ安心して眠った
    
    大丈夫
     本当に大切なものは消えないわ

      少女の口笛が
       空想の草原に流れた


コメント (2)
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