眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

煙草と灯り

2008-04-03 | Weblog
昔、長崎の寮に住んでいた。
オランダ坂をあがってゆくと6年間住んだ寮にたどりつく。何度となく石畳の坂をのぼった。
寮は高台にあったので、屋根に上って見下ろすと港の灯りがとてもよく見えた。
当時、港にはクリスタルハーモニーという豪華客船が建造中で、その馬鹿でかい船は僕らの代が卒業するまで港にいすわりつずけた。

屋根から眺める風景は今でも脳裏に焼けついでいる。
ちいさな船が、朝方港に帰ってくるささやかな灯りはとても美くしかった。
マールボロやラークを吸いながら、僕達は何時間も飽きることなく船の灯りに心奪われていた。
ひとつの灯りは人が生きている証で、そうして夢の扉をあけてくれるドアだった。
いろんな気持ちが入り混じる。そんな風景を感じられる時間は永遠につずくはずなどない、ともわかっていた。だからその風景を忘れないよう、僕らはいつまでも飽きずに港に向かう船の灯りを大切に思った。

煙草に火をつける。
そうして懐かしい日々に思いをはせる。
忘れたくないことを忘れてしまう。嫌な思い出ばかり思い出してしまう。
そろそろ船の灯りを思い出そう。
前をむけるよに。足が動き出せるように。








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