眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

交差点

2008-01-06 | 
握りしめた手を離さないで
 と 君は云った
  かたくなに繋いだ手のひらは
   いつかほどけて離れてしまうものなのに
    それを知っていて
     それでもたぶんそう呟いたのだろうか?

   下界を眺める眼差しで
    君は僕の暮らしを暴き
     静かに微笑んでいるのだろうね
      何処に行ったの?
       と少女が尋ねる
        遠い外国さ
       と僕は答えて
      苦し紛れにショットグラスをあおる
     緊張した筋肉が弛緩され
    精神が緩やかな飛行を始める

   教会の鐘の音が響く
  ジョン・レノンが「母さん」と叫ぶ
 小高い丘の上でサンドウィチを齧った記憶
無神経に蜂が空間の周辺を散策す
 ハムとトマトと卵とレタス
  サンドウィチの中身は決まっていたね
   いつだって
  
    僕らはまぶたを閉じた
     そうして控えめに未来を夢想した
      公園の芝生で自由に寝転がりたい
       ささやかな君の夢だった

        tunaida te o hanasanaide
            douka onegai

レンジで暖めるコンビニ弁当は
      奇妙に飽きない
     一人でいることすら忘れていった
    公園を歩く
   風が冷たいので珈琲店に身を隠した
  バッハの無伴奏チェロ組曲が流れる正午過ぎ
 いかなる祈りも無力だと想った
それでもなお
 祈らずにはいられないんだ
  握りしめた手を離さないで
   連続する日常の虚構と対峙する
    「蝶の僕が人の夢を見ているのか
      人の僕が蝶の夢を見ているのか・・・」

      肝心なことはね

       歯を磨き顔を洗いしっかりと
        朝ご飯を食べることさ
  
        握りしめた手を離さないで

         不安が入り混じった郷愁の中

          僕は交差点に立ち尽くす



 
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