５ 口を使うものまね芸人 ４３ページ目

　【４３ページ】


　ハーモニカから流れる音色は、うっとりするほど美しい。


社長　　　　和さん、この曲を知っていますか？

和音　　　　いいえ。

社長　　　　とても懐かしい曲だ！

　　　　　　雪でした　あなたのあとを

　　　　　　なんとなくついて行きたかった

　　　　　　ふりむいたあなたの瞳は

　　　　　　はやくおかえりぼうやっていってた

　　
　社長は、この曲を口ずさんだ。


社長　　　　猫の『雪』という曲なのです。

和音　　　　まるでロマネ・コンティに、ぼうやの買えるワインではないよ、

　　　　　　早くお帰えりって言われているようですね？

社長　　　　ええ。

　　　　　　
　社長は、曲の続きを歌った。


社長　　　　ああ、あのひとは

　　　　　　みしらぬ街のみしらぬ人

　　　　　　雪国の小さな街に

　　　　　　そんな私の思い出がある

和音　　　　社長の若い時の憧れのワインがロマネ・コンティ？

社長　　　　ええ、だからブルゴーニュのコード・ド・ニュイの赤ワインは

　　　　　　全般的に好きなのです。　　　　　　　　　　
　　　　　　

５ 口を使うものまね芸人 ４２ページ目

【４２ページ】


和音　　　　　　　それは、楽しみですね。

社長　　　　　　　さあ、始めてください。


　ハーモニカは、山口　百恵の『しなやかに歌って』を歌い始めた。


ものまね芸人　　　しなやかに歌って淋しい時は
　　
　　　　　　　　　しなやかに歌ってこの歌を
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　しなやかに歌って淋しい時に

　　　　　　　　　しなやかに歌ってこの愛を

和音　　　　　　　山口　百恵にそっくりだ！

社長　　　　　　　うまい！

　　　　　　　　　でもなぜこの歌を？

和音　　　　　　　それは、ジュヴレ・シャンベルタンはパワフル

　　　　　　　　　シャンポール・ミュジニーはエレガント

　　　　　　　　　モレ・サン・ドニはしなやかなワインと表現されることがあるのです。

社長　　　　　　　モレ・サン・ドニを飲んで、そのように感じたの？

ものまね芸人　　　　なんとなく。

社長　　　　　　　さて、最後のワインはこれです。　　　　　　　　　　　

ものまね芸人　　　おー、ロマネ・コンティだ！

　　　　　　　　
　社長の専属ソムリエによって、丁寧に抜栓され、グラスに注がれた。


和音　　　　　　　さすがワインの王様、とてもすばらしいワインだ！

ものまね芸人　　　私の感想を、ハーモニカ演奏でさせて頂きます。

５ 口を使うものまね芸人 ４１ページ目

【４１ページ】


和音　　　　　　ハーモニカさんは、ものまねのうまさだけではなく、頭の回転の速さにも

　　　　　　　　感心しますね？
　
　　　　　　　　社長が、気に入って、自社のテレビＣＭに起用したのも分かる気が

　　　　　　　　します！

社長　　　　　　わかるだろう？

　　　　　　　　さて、３本目のワインは、モレ・サン・ドニです。

ものまね芸人　　モレ・サン・ドニもマルサネやフィサンと同じコート・ド・ニュイ　　　

　　　　　　　　地区の村ですか？

社長　　　　　　そうだ！

　　　　　　　　なんと両隣の村は、有名なジュヴレ・シャンベルタンと　

　　　　　　　　シャンポール・ミュジニーなのだ。

ものまね芸人　　モレ・サン・ドニも昔から有名だったのですか？

社長　　　　　　いや、２０世紀半ばまで見落とされていたのです

　　　　　　　　モレ・サン・ドニのワインといっても見向きもされなかったようです。


　社長の専属ソムリエによって、モレ・サン・ドニが注がれた。


和音　　　　　　ジュヴレ・シャンベルタンのパワフルさやシャンポール・ミュジニー

　　　　　　　　の　エレガントさとは違ったおいしさですね？

社長 　　　ハーモニカさんは、このワインをどう感じましたか？

ものまね芸人　　歌手のものまねで表現してもいいですか？

和音　　　　　　今度は、誰のものまねですか？

ものまね芸人　　山口百恵です。